民族時報 第1111号(07.04.15)


【解説】国民大衆の意見収れんせず/韓国農業は破滅必至との声

    韓米FTA妥結の内容と問題点

 韓米自由貿易協定(FTA)交渉が四月二日、電撃的に妥結した。昨年六月の公式交渉開始から十か月だ。六月末までに両国が正式署名、締結した後、九月頃に始まる定期国会で在席議員の過半数の賛成で批准され発効される。

 市場開放は農産物、商品、自動車、金融、繊維、医薬品、サービス、放送、映画、知的財産権などの分野で関税の即時撤廃、長ければ十五年かけて米国に市場を全面開放することになった。交渉妥結によりハンナラ党などの保守勢力が盧政権の業績をほめたたえるという珍事が起こっており、今回の交渉妥結の意味を示唆している。韓国政府が得たものは別になく、米国企業、投資家の利益を大幅に受容する内容に合意したという批判の声が強い。問題は国民の十分な意見収れんもなく政府が性急に妥結したという点だ。

狂牛病憂慮

 農業分野の場合、コメを除外してほとんど全面的に市場開放した。税関分類基準千五百三十一品目の三七・六%にあたる五百七十六品目の関税が即時撤廃される。牛肉は現在四〇%の関税を十五年かけて漸進的に撤廃、豚肉と鶏肉も七年から十二年かけて完全撤廃され、畜産分野は危機に置かれている。米国産オレンジも七年後に撤廃、かんきつ農家を圧迫することが予想される。農家を保護するための季節関税適用、セーフガード(緊急輸入制限)を導入するというが、その効果は未知数だ。

 農産物の関税が十年間で段階的な引き下げを経てなくなった場合、牛肉、りんごなど二十六の主要品目の生産は一年で八千七百億ウォン程度減少すると見られている。競争力を失った生産農家が減少することにより国民の食生活が輸入品に依存してしまうと憂慮されている。韓国にとっては対米輸出の有力品目の三千CC以下の乗用車の関税(二・五%)即時撤廃が有利だというが、韓国はハイブリッドカーを除外したすべての車の関税(八%)をなくし、米国で生産した日本車も関税廃止の恩恵が適用され、日本車が韓国に大量流入すると憂慮される。また韓国は自動車の税率を下げることにし、年間税収がおよそ四千億ウォン減ると見られている。

 法律、会計、通信、エネルギー、宅配なども段階的に開放する。繊維は原産地規定の一部緩和で韓国が有利だというが、小規模なものに過ぎない。外国の新薬に対しては特許期間延長で消費者の医薬品費負担も増えると見られている。スクリーンクォーター制は現在、七十三日を越すことはできなくなっており、知的財産権、著作権の保護期間を五十年から七十年に延長し、文化産業部門でも損失が大きい。

 注目された開城公団製品の韓国産認定は朝鮮半島の非核化進展や南北関係におよぼす影響などを考慮して、一定地域を域外加工地域(OPZ)に指定し、「朝鮮半島域外加工地域委員会」を設置して論議することにした。しかし開城公団を明示しておらず、域外加工地域に該当されるのか疑問だ。そのうえ衛生検疫は交渉対象ではないにも関わらず、狂牛病の危険性が高い骨付き肉の輸入を約束し、遺伝子組み替え生体(LMO)などで米国の要求を受け入れたという疑惑も大きい。

農業抹殺する交渉

 コメは守ったというが、当初から議題になりえない品目だ。すでに世界貿易機構(WTO)での交渉を通じて韓国は、今後十年間で三百十七万トンを輸入することになっており、米国産のコメは一年に五万トンを購買することで、米国に特恵を与えている状態だ。

 韓米FTA農畜水産非常対策委員会はこの日、「牛肉、酪農、果樹、野菜、貿易救済など、前代未聞の農業抹殺交渉」であるとして拙速な妥結に憤慨している。韓米FTA阻止汎国民運動本部(約三百団体で構成)は盧武鉉政権退陣闘争を宣言し、拙速妥結に反対する国会議員五十四人は「非常時局会議」を構成して、国会批准などの阻止のための準備に入り、聴聞会、国勢調査を要求する方針だ。

 政府は米国産輸入で被害が発生する場合、所得保全、雇用安全事業拡大などで支援するというが、根本解決は難しいだろう。残った道は、批准反対闘争しかない。

(金明姫記者)


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