民族時報 第1010号(03.07.01)


【論説】

    悪らつな米国の対北圧殺政策

 先制攻撃に沿ったシナリオ  国際包囲網づくりに躍起

米国の対北圧殺・戦争策動が日増しに悪らつ化し、朝鮮半島はいまや「戦争か平和か」の岐路に立たされている。

 四月の北京での三者会談(北、米、中)で、北側は米国に対して「朝米双方の懸念を同時に解消できる新たな寛大な解決方途」を提示した。これは報道によると、朝米間の懸案を一括妥結するための行程表(ロードマップ)を示したものだという。

 だが、一国主義による覇権を追求する米国のブッシュ政権は、それから二か月が経過した現在に至るまで何らの対応策も示さず、その反面、北の「崩壊」をめざす「大量破壊兵器封じ込め」のための多国間協調体制づくりに必死だ。そのシナリオは海空からの阻止と押収・封鎖、経済制裁、それでも崩壊しなければ、イラクと同様に先制攻撃など軍事的手段によって「北の政権崩壊をめざす」三段階方式だという。そのために、ブッシュ政権は核、ミサイルなどの大量破壊兵器に加えて、「麻薬」「偽造紙幣」といった問題まで持ち出した。

 対北圧殺という国際包囲網づくりで、ブッシュ政権はイラク侵攻の手法を踏襲している。すなわちイラク攻撃に対する国際世論の反対が強いため、国際原子力機関(IAEA)のイラク査察が続いているというのに、国連安保理の決議もないまま、突如としてイラク攻撃を開始し、フセイン政権を崩壊させて石油利権を手に入れた。またブッシュ政権は意に従う同盟国(イギリス)と追随国(スペイン)を参戦国として選び、多くの国を威嚇と「ドル(援助)」によって協力させた。

 対北圧殺策動で、ブッシュ政権はもっとも忠実な追随国として、朝鮮半島に隣接する日本の小泉政権を選んだ。安倍官房副長官は、北の核問題について「対話だけでは解決できない。圧力をかけるべきだ」と公言したが、小泉内閣は「二段階の対北圧力方式」を設定した。平時には船舶や航空機の検査、臨検、押収などの強化、さらに緊張が激化した場合は、北との貿易や送金の停止、交流禁止などの経済制裁を行うというものだ。

最近の万景峰号の新潟入港を前にした千五百人の重武装の警察隊や海上保安庁要員の「検査」を名分とする「船内突撃訓練」、や千五百台の右翼宣伝カーの乱舞などによって、朝日友好のシンボル、万景峰号は入港が不可能になった。富山港では北の貨物船が入港を拒否され、中国からの貨物を降ろすことができなかった。日本の保守右翼勢力はブッシュ政権の対北圧殺策動の先兵として最先頭に立っているのだ。

 だが、ブッシュ政権の対北「国際包囲網」づくりは成功していない。ブッシュ大統領は韓日中ロとの首脳会談に続いて、エビアン・サミット、十一か国外交軍事実務会談、東南アジア諸国連合(ASEAN)会議、韓米日三か国政策調整グループ(TCOG)会議などで、「対北国際包囲網参加」への圧力をかけた。しかし、いずれの会議でも、朝鮮半島の非核化を強調しつつも「包括的で平和的な解決」を促すという内容となった。

 中ロ首脳会談では、平和的手段による解決と北の安全保障を強調、「武力解決シナリオは容認しない」ことで合意した。米国内でも「ブッシュ政権は対話のテーブルに戻れ」の声が出ている。そのあげく、ブッシュ政権は国連安保理に「対北非難」議長声明を発表するよう決議案を非公式に提出し、関係諸国に圧力と懐柔工作を進めているが、結果は不利、不透明だという。

 それだけに、ブッシュ政権は対北軍事攻撃への執念を燃やしている。口では「平和的、外交的解決」をうんぬんしつつも、「いかなる選択肢も排除しない」と軍事的な野心を隠そうとはせず、ラムズフェルド国防長官は対北先制攻撃についても言及している。

 軍事的な側面でも、日本は対米協力の露払いの役割を果たしている。日本は米国のミサイル防衛(MD)体制に組み込まれ、朝鮮半島を対象とするイージス艦による海上発射のSM3ミサイルと、地上発射のパトリオット・ミサイル(PAC3)システムの完成を急いでいる。その一方で、空中給油機の導入決定、偵察(スパイ)衛星の打ち上げ、有事法制三法の成立に続き、専守防衛原則の否定、集団的自衛権の容認、改憲・核武装への論議があわただしい。

 石破防衛庁長官の「北朝鮮のミサイル施設に対する先制攻撃」との国会発言にも示されているように、これらの措置はみな米国の対北先制攻撃の一端を担うものだ。

 米国は韓国でも駐韓米軍をハイテク化した迅速機動旅団への改編、無人偵察機の導入、スマート爆弾の備蓄など対北軍事措置を進めており、韓国政府にも軍事費の増加を強いている。駐韓米軍司令部は七月までに、寧辺の核施設と軍事境界線一帯の北の陣地を同時に打撃する「新しい対北先制攻撃シナリオ」を作成するとの報道もある。北の核問題をめぐる米日の戦争準備は危険水位を超えている。

 北の核問題は対話によって平和的に解決せよ、というのが世界の声である。われわれはブッシュ政権の対北圧殺・戦争策動を断固として糾弾する。北はイラクとは違う。またいくら米国が北を封鎖し、崩壊を図るにせよ、同じ民族である南の政府と国民が反対し、中国、ロシアなど国際的な反対の声が高まれば、その企図は失敗に終わるだろう。

 ブッシュ政権とその追従勢力の朝鮮半島戦争シナリオを阻止する原動力は、六・一五南北共同宣言の履行行程で固められた民族の和解と協力、団結にある。われわれは七千万民族の大団結と民族協調によって外勢の戦争策動を破たんさせ、朝鮮半島の平和と繁栄を固守するために全力を尽くすであろう。 (金恩澤)


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