民族時報 第1006号(03.05.21)


【連載】

    有事法制廃案を主張する 各界インタビューA

中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)

 ――朝鮮半島での戦争を準備する有事法案が十五日、ついに衆議院本会議を通過したが、どう思うか。

 「有事法案について語る前に、米英のイラク攻撃について若干触れておきたい。今回の戦争は先制攻撃を公言して行われた露骨な侵略戦争だ。テロとの関係や大量破壊兵器をなくすとの名分で攻撃を開始したが、テロとの関係どころか、大量破壊兵器の確たる証拠もいまだ出ていない。これは明らかに、国連憲章に違反するばかりか、侵略以外の何ものでもない。イラクの石油を独り占めし、中東地域での支配権を拡大しようとする野蛮な覇権主義のあらわれだ。本当に危険な時代に入った気がする」

 「その流れのなかで、今回の有事法案の問題がある。この法案は、ブッシュ政権の先制攻撃戦略に日本が軍事的に全面的に加担していくものだ。これによって、日本は米国の起こす侵略戦争に自動的に組み込まれ、国内的に国民総動員体制が形づくられよう。つまり日本社会全体が軍事優先され、さまざまな人権侵害が起きるのは明らかだ。修正案では、基本的人権の尊重が明記されたとはいえ、『武力攻撃事態法案』自体が人権を抑圧する戦争システムであり、戦争遂行法案だ。人権尊重はあくまで建前で、絵に書いたもちにすぎない。日本が『戦争をする国家』に向かって一目散に進んでいるおり、全体的に右へ右へシフトしているのが、今の状況だと思う。空恐ろしいものを感じる」

 ――有事法制化の動きの一方で、「北朝鮮の脅威」が執ようにあおられているが、この状況をどう思うか。

 「軍国主義的ナショナリズムが台頭していると思う。拉(ら)致事件がその契機になった。もちろん、拉致事件はまったく許されない国家犯罪であるが、日朝両首脳が発表したピョンヤン宣言に沿って、日朝国交交渉の過程で誠実に解決していけばいい問題だ。相手がどうであれ、日本がピョンヤン宣言を実行し、朝鮮半島と東アジアの平和を作っていく道を進めば、朝鮮半島での軍事緊張は緩和されるだろうし、『北朝鮮の脅威』も解消されるだろう。今の日本の状況は、それと逆の道を進んでいるようだ。ブッシュ政権の先制攻撃戦略を支持し、朝鮮半島での軍事緊張をいたずらに高めている。小泉政権は、こうした動きを悪用しながら、有事法案を成立させる土壌を着々と作り上げてきたのだ。重要なのは、執ようにあおられる『北朝鮮の脅威』の虚構性を見抜き、有事法案を成立させようとする支配層の意図を砕くことだ」

 ――有事法案廃案に向けた読者へのメッセージを。

 「ブッシュ政権の対北先制攻撃の機運が強まるなかで、北朝鮮を『第二のイラク』にしてはいけないという運動を高めていく必要があるだろう。朝鮮半島のあるべき姿は、平和と統一である。このあるべき姿に向かって周辺諸国、とくに日本の果たすべき役割は大きい。日本民衆は北朝鮮への先制攻撃を何としても阻止し、朝鮮半島の平和と統一に寄与する運動を進めることだ。有事法案の廃案運動はそれにつながる道だ。日本の民衆運動の真価が問われている」 (崔誠一記者)


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