民族時報 第1006号(03.05.21)


【記事2】

    有事法案が衆議院で強行採決

各団体が一斉抗議 韓統連も声明発表

 有事法制関連三法案が十五日、衆議院本会議で強行採決された。これに関連して、韓統連は同日、有事法案の廃案を求める声明を発表した。

(声明は下記)

 同法案の廃案を求める声は今月に入って連日のようにわき起こり、採決後はさらに高まっている。戦争反対・有事法案を廃案へ!市民緊急行動や平和をつくり出す宗教者ネットなどが呼びかけた国会前での抗議集会には十三日から十五日までの三日間、市民ら約二千人がかけつけた。国会議員や市民団体、労組の代表らは、「朝鮮半島の脅威をつくっているのは共和国ではなく、ブッシュ政権や小泉政権だ」「有事法制は廃案しかない」と述べ、廃案まで闘う決意を明らかにした。

 十三日には、フォーラム平和・人権・環境や日本消費者連盟など五団体が都内の日比谷野外大音楽堂で「有事法制NO集会」を開き、「米英両軍はただちにイラクから撤退を」「有事法制NO」などと訴えるアピールを採択、銀座をデモ行進した。

 また、四日付の毎日新聞に「イラク反戦と有事法制反対」意見広告(同運動実行委の呼びかけ)が掲載され、個人二千三十九人、団体百三十三の賛同を集めた。韓統連も同運動に賛同するとともに、各種の抗議集会に積極的に参加した。

 

声明・有事関連三法案を廃案にせよ

 日本の有事関連三法案が十五日、衆議院本会議で与党三党と民主党などの賛成で可決され、参議院に送られた。有事法制が今国会中に成立するのは確実な見通しとなった。

 われわれは、与野党間の「修正」協議で基本的人権の保障が法案に明記されることになったからといって、有事法制の好戦的で人権じゅうりんの本質は何ら変わらないと考える。「戦争の放棄」をうたった日本国憲法を踏みにじり、日本の軍事大国化と自衛隊の海外派兵でアジア民衆の不安と恐怖を高める有事関連三法案を廃案にするよう主張する。

有事法制が、「備え」ではなく「攻撃」のための戦時法であることは、これまでの審議過程であからさまになっている。たとえば、武力攻撃事態法は外部からの直接攻撃だけでなく、「武力攻撃の恐れ」「予測される場合」にも発動される。日本政府が「恐れ」「予測」と判断すれば、敵対視する国に先制攻撃を加えられるようになっている。

 石波防衛庁長官はすでに、「北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射しようとする場合、日本がその基地を先制攻撃するのは違憲ではない」と強弁した。

 また、米国のイラク侵略戦争のような無法な戦争でも、米軍を支援する自衛隊が相手国から攻撃を受ければ有事法制が発動され、自治体や民間企業、住民を強制動員する戦時体制がしかれることになっている。

 九九年に成立した周辺事態法によれば、日本が攻撃を受けていない「周辺事態」で、戦闘行動を展開する米軍を自衛隊が海外にまで出ていって支援できる。有事関連法は周辺事態法と組み合わせられて、有事=戦事をたやすく生み出せるのである。

 米国は北朝鮮をイラク、イランとともに「悪の枢軸」と名指して核先制攻撃の対象と公言し、日本がそれに全面協力できるよう有事法制の制定を求めていた。したがって、イラク攻撃が終わった時点での有事法制の制定は、ブッシュ政権の対北朝鮮先制攻撃への誘惑を一層高める結果をもたらすだろう。

 しかし、世界で最も軍事密度が高い朝鮮半島で戦端が開かれれば、朝鮮半島はもちろん、日本を含む北東アジア全体を巻き込んだ全面戦争になり、この地域が核汚染で荒廃するのは火を見るよりも明らかである。

 戦争は最大の犯罪で最悪の人権じゅうりん事態をもたらす。われわれ在日同胞は、五十余年前の朝鮮戦争前夜にこうむった、ありとあらゆる弾圧と迫害の記憶が、今日、日本社会を覆い尽くしている「北朝鮮ネガティブキャンペーン」によって呼び覚まされている。このような弾圧が、やがて日本の労働組合や社会団体に拡大されていった歴史を忘れてはならないだろう。

 ブッシュ政権の戦争政策によって、世界に戦争とテロなどの暴力が渦巻いているいま、日本政府と国会がやるべきことは、有事法制を制定して戦争への道を進むことではない。わが国などアジア諸国と民族を侵略した過去の歴史を踏まえて、これらの国と民族の自主権を尊重し、よりいっそうの親善を図るべきである。

とくに北朝鮮とは、昨年九月の歴史的なピョンヤン会談の成果を生かし、米国の敵視政策に同調するのではなく、直接対話と交渉であらゆる懸案を平和的に解決する姿勢を内外に明らかにすべきである。

二〇〇三年五月十五日 

在日韓国民主統一連合 在日韓国青年同盟 在日韓国民主女性会 在日韓国人学生協議会


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