民族時報 第1102号(06.11.15)


【主張】

    制裁中断し対話で解決を

 北朝鮮の核実験以降、国連安保理の制裁決議、米日の突出した制裁行動などによって朝鮮半島情勢は極度の緊張状態になったが、十月末、北京での協議を通じて六者協議の再開が電撃的に合意され、対話による平和的解決の道が切り開かれることになった。

 また、十一月初めの米中間選挙で、ブッシュ政権の外交政策に批判的であった民主党が上下両院を掌握することになり、朝米対話を促進する環境が醸成されたことは歓迎すべき出来事だ。

 しかし、これらで朝鮮半島をめぐる情勢が対決局面から対話局面に転換したと楽観することはできない。状況は複雑であり、事態はまだまだ予断を許さない緊張状態にあるといえる。

 状況を複雑にし平和的解決を困難にしている根本要因は、クリントン政権による朝米合意を否定したブッシュ政権の対北強硬政策にある。

 核先制攻撃戦略による軍事的圧迫を強化し、核とミサイルだけでなく、人道問題や「紙幣偽造疑惑」など、あらゆる課題を押し立てて北朝鮮を圧迫することで体制崩壊を狙ったその思惑は、北の核実験強行によって破たんしてしまった。結果的に北朝鮮が核兵器の保有を公然化し、米国の北東アジア戦略に重大な脅威をもたらすことになってしまったからだ。また、ブッシュ政権がクリントン政権の対北政策を否定した理由として「北朝鮮が基本合意を先に違反した」という主張に対して、カーター元大統領が最近、これを「完全なうそで、でたらめだ」と非難し注目を集めている。ブッシュ政権の対北政策はすでに破たんしている。

 しかも、再開合意した六者協議が開かれる前から、朝米の異見が露呈しており、韓米日実務協議では「北を核保有国として認めない」ことを確認するなど、ブッシュ政権はさまざまな前提をつけることで、協議の進展に難関をつくりだそうとしている。北の核実験を事実として認めながら「核保有国として認めない」と強弁するのは、まったくのき弁である。また、六者協議の再開合意にもかかわらず国連決議にもとづく制裁行動を予定どおり推進しようとしている。

 米国の戦略は、これまでの制裁など強硬一辺倒の圧迫政策から、「対話と制裁を併用した圧迫政策」へと転換したと見るのが妥当だろう。協議が再開されても常に総体的な危機へと転換しうる軍事的緊張が持続するということだ。

 こうした状況に積極的な役割を果たしているのが日本政府だ。六者協議の再開を国際社会が歓迎する中で、日本政府の冷淡な姿勢は際立っている。安倍首相は十一月一日、「ミサイル、核実験、ら致問題の解決がなければ制裁を解除することはない」と明言した。これは「対話は不要で、制裁が目的だ」と言っているに等しい暴論である。

 対話と制裁は両立しない。日本政府は率先して制裁を解除し、平和的解決のために積極的な役割を果たすべきだ。反戦平和世論を喚起して米日の制裁策動に反対し、朝鮮半島核問題の平和的解決を促進することは緊要な課題だ。


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