民族時報 第1099号(06.10.01)


【映画紹介】平和テーマに異色のファンタジック・コメディ

    トンマッコルヘようこそ

朴クァンヒョン監督作品

 朝鮮戦争をテーマにしたコメディ映画『トンマッコルへようこそ』は昨年の夏、韓国映画界に新風を巻き起こした。無名の新人監督朴クァンヒョン氏が、投資者をさがすのにも、キャストを決めるのにも大変な苦労をして生み出したこの映画は、公開されるや口コミでその面白さが広がり、韓国で八百万人を動員して数々の映画賞を総なめにした。

 映画は、朝鮮人民軍と韓国軍、仁川に上陸した米軍が激しい戦闘を展開していた一九五〇年十一月、江原道の山奥にあるトンマッコル村の近くに米戦闘機が墜落したことから始まる。負傷した連合軍兵士スミスに続いて、韓国軍のピョ・ヒョンチョル(シン・ハギュン)らが食糧を求めて、人民軍の李スファ(チョン・ジェヨン)一行が村の少女ヨイル(カン・ヘジョン)に案内されて村にやってくる。

 「いらっしゃい」

 「ご飯食べましたか」

 戦争中であることさえ知らず、笑顔で兵士を迎える村人たちと、銃と手りゅう弾を構えて一触即発の雰囲気でにらみ合う兵士たち。ヘルメットが洗面器に、銃が棒切れにしかみえない村人らの前で、緊張でコチコチの兵士らは妙にこっけいだ。村人と兵士のちぐはぐなやりとりが、客席を爆笑の渦に巻き込み、いつしか兵士らは武装解除を余儀なくされる。そして、純粋な村人たちと、美しい自然のなかでの素朴な村の生活は、互いの敵がい心さえもとろけさせてしまうのだ。

 爆笑が泣き笑いとなって、何ともいえぬ幸福感に包まれる。村人や兵士らの笑顔には、激戦中の戦争の影さえ見えない。しかし、戦争は終わっていないのだ。それは、いま、このとき、休戦状態でしかない朝鮮半島の現実を痛いほどに実感させてくれる。

 映画は後半、米軍が村に侵入するところから急展開する。戦時という現実に引き戻されるのである。人民軍、韓国軍、米軍の兵士らは、平和な村―トンマッコルを守るために類例のない連合共同作戦を計画し・・・・・・。

 「そんなことはありえない」「トンマッコルは実在しない」

 いいえ、あの村はあるんです。この映画ができたこと、それはすでに平和な村―トンマッコルが人びとの心に建設されている証なんですよ。

 朝米関係が正常化され、米軍が撤退し、統一が実現されるその日、朝鮮半島全体が平和な村―トンマッコルとなる。この映画は、そんな希望を抱かせてくれる。

(幸)

 十月二十八日から全国ロードショー


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