民族時報 第1062号(05.04.11)


【解説】挑発的な「不法占拠」修正/米日連携で盧政権に圧迫へ

    教科書わい曲問題 日本政府が主導

 日本の文部科学省は五日、来春から中学校で使用される教科書の検定結果を発表し、「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)が編集した扶桑社発行の歴史・公民教科書も検定を通過した。

 今回の「つくる会」による中学校歴史教科書二〇〇五年改訂版では、わい曲の度合いがより深く巧妙になっている。

 この教科書は「朝鮮の近代化を助けた日本」という章を新しく設け、新羅と朝鮮が唐、清国の属国であったと表現しながら、日本の植民地支配が朝鮮の近代化に寄与したとして、植民統治を美化する内容を盛り込んでおり、「朝鮮半島では日清戦争が始まった後、日本式の姓を持つことを日本政府が認める創氏改名が行われた」と、まるで朝鮮人の希望を受けて日本政府が改名を認めたように記述している。この部分は二〇〇一年版教科書にはなく、一方で二〇〇一年版にあった「多くの朝鮮人が日本に連行された」との記述を削除し、強制連行や従軍「慰安婦」についての記述を一切なくした。

 また今回の教科書にも、前回のまま「朝鮮半島と日本の安全保障 東アジアの地図を見てみよう。日本はユーラシア大陸から少し離れて、海に浮かぶ島国である。この日本に向けて、大陸から一本の腕のように朝鮮半島が突き出ている。当時、朝鮮半島が日本に敵対的な大国の支配下に入れば、日本を攻撃する格好の基地となり、後背地をもたない島国の日本は,自国の防衛が困難となると考えられていた」と、侵略と植民地支配の正当化に「自衛」を持ちだしている。

 さらに、公民の教科書のうち扶桑社、東京書籍、大阪書籍の三社は、独島に関する記述も強化しており、扶桑社の教科書は独島の写真を掲載して「韓国が不法に占拠している竹島」との注釈が検定意見によって追加された。東京書籍では「竹島は日本固有の領土」という表現が追加され、大阪書籍は「韓国も領有権を主張している竹島」との新たな表現を加えた。

 「慰安婦」の記述に関しては、扶桑社だけでなく申請を行った八社すべての歴史教科書からその記述が削除されており、日本帝国主義の犯罪行為を記載しないことで歴史をわい曲、すなわち歴史的事実の抹殺を行っている。

 こうしたわい曲歴史教科書が検定を通過する前から、韓国や北朝鮮では歴史わい曲を批判する意見が相次いだ。

 三月十一日にはアジアの平和と歴史教育連帯(歴史連帯)が記者会見を開き、「つくる会」が申請している二〇〇五年改訂版教科書の内容とその問題点を明らかにした。

 また三月二十五日には歴史教育研究会と歴史教育学会が合同記者会見をもち、「わい曲教科書が教育現場で使われないよう努力すること」を求め、もし検定を通過した場合、「四月五日以後は採択率を低めるための運動を展開するしかない」と明らかにした。

 北朝鮮も三月二十九日付の労働新聞に「日本極右勢力はみだりに狂奔するな」という論評を掲載し、独島領有権問題とわい曲歴史教科書問題で日本を痛烈に批判した。

 問題は、教科書検定の責任者である中山文科大臣が妄言を繰り返していることである。昨年十一月、「日本の歴史教科書は非常に自虐的で、日本は悪いことだけしてきたと書かれている。従軍慰安婦や強制連行のような表現が減ったのは大変よい結果だ」と述べ、韓国などから厳しい批判があがった。このときは三日後に記者会見で謝罪したが、一月二十九日にも宮崎県で「自虐的な教科書がすごく多い」「日本が過去に悪いことしかしてこなかったと書かれた教科書が」と述べ、自身の謝罪を撤回した。

 そして中山大臣は三月二十九日の参議院文科委員会で、「日本の教科書記述の基準となる学習指導要領に竹島を日本の領土と明記しなければならない」と答弁した。これに対し、韓国外交通商部の潘基文長官は三月三十日、中山大臣の発言を「時代錯誤の発想であり、植民地支配を美化するのも同然」だと強く批判し、「中山大臣が日本の教科書検定を担当する長官として、果たして歴史を反省し、韓日関係の未来を少しでも考えているのか、疑念が抱かれる」とし、「日本が朝鮮半島を植民地化する過程で、違法に編入した独島を自国領土だと学生らに教えようとしていることについて、非常に遺憾に思っている」と述べ、「学習指導要領に韓国領土の独島を日本領土だと明記することに、強く反対する」と強調した。

 こうした中山大臣の発言に見られるように、わい曲教科書問題の動きが独島における主権侵害の動きと時を同じくして展開されている。実際、独島の記述に関しては文科省からの検定意見として記載するよう指導が行われており、歴史わい曲の動きは一部の右翼勢力によって主導されているものではなく、明確に日本政府の意図が働いているものと見ることができるだろう。こうした日本の強硬姿勢の背景には、米国の意図も無視できない。六者協議における韓米日の協調体制が崩れつつある中で、韓国側に圧力を加えることで北朝鮮との接近や関係強化をけん制し、米日との協調体制に引き戻そうの意図がうかがえる。

(康革柱記者)


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