民族時報 第1054号(05.01.21)


【韓国経済診断】貧富など格差拡大が深刻に 失業問題への取り組み至急

    極寒の韓国経済に再生の道はあるか

 厳しい批判にさらされる盧政権

二〇〇四年十二月二十日、政府に諮問する政策評価委員会は、政府中央庁舍で盧大統領が出席したなか、参与政府政策評価報告会を開き、過去二年間の盧武鉉政権の経済運営に対する中間報告を行った。それによると、盧政権の経済運営は「成長と分配の優先順位、革新主導型の経済、社会統合的市場経済など民主主義的価値と両立可能な政策をめぐり活発な論議が行われたのは発展」とした一方、「論議が分配か成長か、左派的か、そうでないかなど、多少抽象的な価値をめぐる理念論争へと変質してしまい、いざ必要な代案的経済政策の具体化はそれほど進展しなかった」と評価した。また、社会分野でも「超集中化した韓国社会の構造改革論議を本格化したことは大きな意味がある」とする一方、「所得と階層の急激な両極化にもかかわらず、社会政策の現実的かつ效果的な対策は不十分だった」とした。

要するに、経済・社会変革に対する論議だけが活発化し、それをどのように変革していくのか、という具体的改革は不十分であったというものだ。特に、盧政権が解決すべき優先課題について国民の八一・九%が「経済再生」をあげていることからも、景気回復に向けた有効な経済政策の具体的実行が望まれている。

韓国経済の何が問題か

では、現在の韓国経済は何が問題なのか。最大の問題は、通貨・経済危機を克服するためにIMFと約束した構造改革・市場開放を推し進めた結果、社会のあらゆる分野で二極化が進行している点だ。貧富の格差、地域間格差、男女間格差、学歴格差、産業間格差など、これらが韓国社会をむしばんでいる。なぜなら、格差が発生し拡大するということは、社会・経済システムが断絶していることを意味するからだ。社会・経済システムが断絶するということは、経済発展に必要な資源が公平に分配されなかったり、就業機会が平等に与えられなかったりし、経済成長の果実である所得も一部に集中するなどの不平等が拡大・固定化することになる。それらの弊害は、当然社会的弱者にしわ寄せがいく。たとえば、所得について見てみると、国家の主人公である国民(その多くは勤労者である)の生活はこの間急速に悪化している。韓国銀行によると、二〇〇四年九月末の一世帯当たりの負債は、三千四十一万ウォン(日本円で三百四万円)であった。これは一年前に比べて百十五万ウォンも増加したことになる。三千万ウォン以上の負債とは、都市勤労者世帯(四人家族)の月平均所得が約三百二十二万ウォンなので、一世帯当たり十か月分の所得に相当する。しかし、この数値はあくまでも平均値である。実際、貧困層だけに限ると、彼らの平均所得は八十三万ウォンにすぎず、この世帯の負債負担は三十七か月=三年分にあたる。これだけの負債を抱えながら、一方では企業の倒産が相次ぎ、就業機会の喪失の脅威さえ増している。十月の倒産企業数は四百十五社にも上った。それは当然失業率の増加に直結している。

統計庁が予想する昨年の失業率は三・五%であるが、三星経済研究所が十二月十二日に明らかにしたところによると、日雇い労働者のような雇用が不安定な労働者(これを類似失業者とよぶ)や、あまりに厳しい就職状況のため就職すること自体をあきらめた求職断念者をも失業者と考えると、実際の失業率は一五・一%にも上るという。これは生産活動人口の六人に一人が失業状態にあることを意味する。特に、失業問題で最も深刻なのが、大卒者の就職難である。韓国では「大卒者十人のうち六人が就職できない状況」(ソウル大学社会学科・林玄鎭教授)という指摘まであるとおり、若年層の失業問題は深刻である。これは単に若年層の社会に対する不満が増大するということにとどまらず、韓国経済・社会自体の活力が失われてしまうことを意味する。さらに深刻なのは、全就業者の三分の一を占める自営業者のうち、四四%が最低生計費さえもかせぐことができず、貧困生活を送っているという事実だ。彼らは働けば働くほど生活が悪化し、借金がふくらむという悪循環に陥っている。もし、韓国経済がこのままの状態が続けば、二〇四〇年には経済成長率が一%にまで低下してしまう、というデータまである。これは現在の長期不況にあえぐ日本と同じか、それ以上の厳しい状況が韓国でも起こるということだ。

こうした経済的困難の時期に、政府機能が十分に果たされていないことも、経済運営を厳しくしている要因である。本来、政府の経済政策をサポートすべき研究機関である韓国開発研究院(KDI)は、十二月十四日に韓国政府が提案した韓国型ニューディール政策である「総合投資計画(景気を回復させるため大規模な公共事業を展開し、そのために財政支出を拡大させようとするもの)」を批判した。これは極めて異例な事態である。その結果、政府内はもちろん、産業界、学界の間でも政府の経済政策をめぐって議論がおこり、経済政策を実行するのが難しくなっている。これでは、ますます経済不況が長引くばかりである。したがって、盧政権は経済関係閣僚・機関の人事・政策立案過程を再点検するとともに、強力なリーダー・シップを発揮して、国民の不信・不安感を払拭(ふっしょく)しなければならない。(つづく)


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