民族時報 第1046号(04.10.01)


【資料】

    Q&A 国家保安法廃止、そこが知りたい @

 

 市民団体などでつくる国家保安法廃止国民連帯は近ごろ、国民広報向けに「Q&A国家保安法廃止、そこが知りたい」を発表した。数回に分けて掲載する。

 

Q 国家保安法を廃止すると国家安保が危うくなるのではないか。

 もしかすると名前のせいでそんな風に考えるのではないか。「国家保安法」なので、「国家安保」のために必要なのだと。それは大きな錯覚だ。一例をあげてみよう。「集会とデモに関する法律」が制定されたのは、朴正煕執権初期の一九六二年だ。平和的な集会とデモを保護するためにこの法律を作ったのだろうか。決してそうではない。この法は集会とデモを妨害する目的を持っていた。国家保安法の母胎である日本帝国主義の治安維持法もそうだ。治安を維持するとの名目で、実際には朝鮮の独立活動家らを処罰した。

 国家保安法は一九四八年、麗水と順天で済州島の四・三ほう起の鎮圧を拒否する軍人らが反乱を起こすと、内乱を鎮圧するとの名目で一九四八年十二月一日に急造された。その後、今では到底理解できない状況が起こった。犯罪者の八〇%が国家保安法違反者だったのだから。彼らを収容したので監獄があふれて、新たに建てたりした。最悪なのは当時の李承晩大統領自身がこの法の「精神」(?)を毀(き)損したことだ。国家安保ではなく政敵の除去を通じて政権安保をはかるために国家保安法を乱発した。国家保安法制定に反対した国会議員らを国家保安法違反で逮捕して連行し、長期独裁のために一九五八年には最大の政治的ライバルだっだ奉岩・進歩党党首をスパイだとでっち上げて死刑にした。

 五・一六軍事クーデターで執権した朴正煕軍事独裁政権は、この奇怪な伝統をあまりにも忠実に継承した。つまり、もう一歩進んで、反共法を作り、中央情報部(KCIA)、保安司令部(KCIC)、対共分室などの公安機関を設置し、朴正煕への反対は、ただちに国家安保を脅かすことだと国民を脅迫した。全土がまさに監獄だった。「(朴正煕が)金日成より悪い」との表現も、反共法と国家保安法に問われたのである。金日成主席に対する称賛鼓舞だとして・・・・・・。政権危機が高まるとスパイ団事件をねつ造して国民を不安に震えるようにした。光州市民を虐殺して登場した全斗換、盧泰愚軍事政権も、政権安保がすなわち国家安保との信念で、国家保安法を乱用したのはいうまでもない。

 こんな過去があるのに、ぬけぬけと「国家保安法は国家安保のためになければならない」といいはれるのか。もう少し考えたらこんな疑問がわいてきた。永遠の敵、永遠の友邦もないのが冷厳な国際社会の現実だ。現時点でわれわれは北朝鮮を「主敵」と規定し、この「主敵」だけが敵国だと主張し続けられるだろうか。米国、日本、中国、ロシアのような列強の狭間で、体制維持と経済再生に懸命になっている北朝鮮ではなく、むしろこれら列強の脅威が、より大きいのではないだろうか。

もっと気が滅入るのは、国家保安法が廃止されたら明日にでも北朝鮮が攻め込んできて、韓国社会が社会主義化されると騒ぎ立てる人々の正体だ。そう彼らは過去に国家保安法を振りかざして独裁政権に忠誠をつくした者が大部分だ。彼らがいまになって国家安保をうんぬんするのだから、本当に厚かましいといわざるをえない。

われわれは法を信じない。われわれは世界が驚きに目を見張るほど独裁に抵抗して、韓国の民主主義発展を開拓してきた国民を信じる。国民とともにする限り、国家保安法を廃止しても韓国の国家安保の心配はない。自信がある。

最後に、こんな質問をしてみよう。「国家安保は法で守るのか。それとも軍事力で守るのか。ところで一九四八年に国家保安法が制定されたのに、どうして一年半後に起こった朝鮮戦争を阻止できなかったのか」と。

 刑法だけでは国の安全保障をえられないので、国家保安法という特別法を作ったのではないか。

 一九四八年八月十五日に大韓民国が「建国」したというが、国家らしい姿を取りそろえるには長い時間がかかったという。基本法といえる刑法が、朝鮮戦争のせいもあるが一九五三年にようやく制定された。思想犯を弾圧して逮捕する国家保安法は、これより五年も前に制定されたことは、韓国の法制史に長く記録されるハプニングだ。刑法を制定する時の争点の一つが、国家保安法を刑法に吸収することだった。国家保安法は臨時法だったので、法の精神と原理に忠実な法曹人なら当然、国家安保を目的にした法令を、どこの国もそうであるように、刑法のなかに入れようと考えたのだ。当時、刑法典を起草した人物は信望が高かった金ビョンノ大法院長だったし、国会議員のなかで日本帝国主義時代の郡主や弁護士の経歴を持つ者でさえ、法理上、刑法に入れるのが当然だと主張した。

そして、国家保安法の吸収に配慮した強い条文を包含させて刑法を作った。しかし、「共産党を弾圧して逮捕する」との名目で、李承晩政権は国家保安法を存置させた。まだ国家保安法を廃止するには時期尚早というのだ。いまも存続論者は時期尚早だというのだが、過去五十六年間、韓国社会は何の進展もない停滞した社会だったのだろうか。

ところで、刑法を読んだことがあるだろうか。内乱罪、軍反乱罪、外患罪などを読み進んでいくと、不気味なほどに強力でち密であることがわかる。これなら国家安保には十分だと安心できるほどだ。法務部法制処(局)のホームページを開けばたやすく見られるので、必ず一度は読んでほしい。


[HOME] [MENU] [バックナンバー]