民族時報 第1046号(04.10.01)


【論説】軍事独裁政権の同伴者が総結集/保安法で弾圧の前歴を隠す

    自称「元老」たちの時代錯誤宣言

 国家保安法(保安法)廃止が大勢になっているなかで、守旧保守勢力の反撃が極に達している。保安法完全廃止の意思を明らかにした盧武鉉大統領の発言(九月五日MBC対談)以後、開かれたわが党(ウリ党)は、党論を同法廃止に確定した。しかし廃止は安保不安をもたらすとの一部世論に配慮して代替立法も検討してきたが、ウリ党の保安法特別専門委員会の諮問団は、完全廃止をしても、一部で提起されているいわゆる安保不安や立法空白はないと主張しており、帰すうが注目される。一方、ウリ党と民主労働党、民主党は完全廃止、代替立法や刑法補完などに関して異見がありながらも、保安法廃止の原則に合意して、三党が保安法廃止で共闘することにした。「すべてをかけて保安法廃止を阻止する」(九月九日)と気炎をあげたハンナラ党の朴槿恵代表は、世論を意識して「政府せん称問題を削除することもできる」(九月二十日の東亜日報インタビュー)と一歩退いたが、党内の雰囲気は相変らずだ。ハンナラ党内では「保安法廃止を主導する政権内の若手政治家らは、主体思想派出身の核心分子で、いまも転向していない」(李ソンホン・ハンナラ党事務二副総長)など、旧態依然とした黒白論理で廃止を阻止しようと必死にあがいている。

 一方、民族民主、社会・市民団体は真の民主主義と人権擁護を実現するため保安法廃止運動を一層強化している。長い間民主化と民族統一のために献身して社会的尊敬を受けている各界の元老らも「保安法廃止を要求する元老共同宣言」を発表して廃止の正当性を主張している。韓国青年団体協議会は「国家保安法廃止百万人請願運動」に乗り出した。民主、統一運動団体は北の同胞を敵視し、人権弾圧と政権安保の道具に使われた悪法を廃止するのがわが国と民族の将来、国民の人権守護の道であることを知っているために、保安法廃止を叫んで街頭に立っているのである。

保守右翼勢力の反撃

 ところが過去に独裁政権下でトラの衣を借りたキツネだった者らが元老を自称して、時局宣言を発表した。彼らは「政府は安保を後回しにしたままで理念対立だけをあおり、国家の根本を動揺させている」とする。だから国家保安法廃止を主張する盧武鉉大統領は弾劾されなければならず、六・一五共同宣言は憲法に違反しているので破棄されなければならず、国論を分裂させる保安法廃止と過去清算の推進を中断しろ、というのだ。保守言論は、この「元老」らの時局宣言を特筆大書して「韓国が伝統性を失ない、危機に陥った」と冷戦意識を鼓吹している。

  「元老」とは何を意味するのか。官位、年令、徳望が高く、国への功績が大きい人をたたえる呼称だ。すなわち民衆のためにどれだけ奉仕したかが元老のものさしになるのだ。ところが時局宣言に名前を連ねた「元老」らは朴正煕、全斗煥軍部独裁政権の権力中枢にあって、独裁の手先あるいはほう助者として民衆弾圧に加担し、富をなし栄達した者らだ。国に功績があり、社会的な尊敬を受ける元老どころか、みじめでみにくい老いぼれにすぎない。

 ハンギョレ21の分析によると、時局宣言に参加した五十九人の前職長官のうち四十九人(約八三%)がクーデターで執権した維新政権と全斗煥・盧泰愚軍事政権で権勢を誇示した者たちだ。これ以外にも、不正事件に関係してワイロを受け取って拘束された者、全斗煥政権不正蓄財事件の核心人物、八〇年代の初めに大統領府公報秘書官として言論統廃合とジャーナリストの大量強制解職を主導した張本人、全斗換前大統領のウラ金作りに関係して有罪判決を受けた者らだ。また、過去に保安法を基盤にして国民を監視、抑圧、弾圧した機構に従事したり、癒着した人びとだ。

 彼らは自身の行いが否定され、恥ずかしい前歴があらわになるのが心配で、自衛に必死になっている。

「廃止は政府の義務」

 アムネスティ・インターナショナルは、韓国政府が国際的な義務をもつ国際人権規約に加入しているのだから保安法廃止は政府の義務で、いまが国際社会との約束を履行する時期と述べながら、廃止を歓迎している。保安法は冷戦と分断、そして過去数十年間の独裁政治の遺産であり、国際社会で普遍的に認定された人権法の原則に反し、国際人権規約が提示する人権基準にもまったくあわないものだ。

わが民族同士で統一することを約束した六・一五南北共同宣言の実践が成熟していく段階にある現在、希代の悪法である国家保安法は、すでに存在理由が消えて久しい。保安法廃止は時期尚早で、韓国内の分裂をもたらすという金寿換枢機卿の心配は杞憂(きゆう)にすぎず、むしろ国論を分裂する憂慮がある。保安法の存置を主張してせっかく作り出された南北和解と協力・交流にはどめをかけてはならない。わが民族の明るい未来のためにも、保安法廃止はこれ以上延ばすことのできない切迫した課題である。

真の元老である白基玩氏が述べたように、「米国が冷戦論理で民族を二つに引き裂いたが、これを法制化したのが保安法であり、わが民族が互いに争う戦争状態を法制化したものが保安法」であり、政権安保のために民主人士を逮捕し、拷問にかけ、死刑にした法が国家保安法である。自称「元老」らは深く反省しなければならない。

(金明姫記者)


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