民族時報 第1019号(03.10.11)


【論説】イラク攻撃の不法明らかに

    みずから墓穴を掘ったブッシュ大統領

 イラク問題をめぐり、これまで国連や国際世論を無視して単独主義で突っ走ってきたブッシュ米大統領が、九月二十三日の国連総会で演説し、「国連の役割」を認知した。そのうえで世界の国々にイラクへの派兵と復興費の支援を呼びかけ、その後、安保理に決議案を提出した。韓国にも五千人規模の派兵を要請している。

 これはブッシュ政権の無法な対イラク侵略戦争政策が行き詰まり、世界から孤立していることを自認するものだ。しかしブッシュ大統領はイラク占領政策の失敗を認めようとはせず、なおも統治の権限を握り続けることに固執するなど、国連や同盟国を自らの単独主義的外交目標達成の道具として利用しようとの高慢な魂胆さえかいま見える。

 ブッシュ政権はイラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠匿しており、それがテロ集団の手に渡る危険があると主張した。そして国連のイラク査察が行われているというのに、安保理の対イラク武力容認決議も認められないままに、三月に英国とともに突如としてイラクに先制攻撃を仕掛け、ハイテク兵器によってフセイン政権を制圧し、五月初めに「勝利宣言」を発表した。そして十四万人の米軍による暫定占領当局(CAP)のもとに、現地の親米勢力を糾合して統治協議会を設置し、年末までにイラク人政府を樹立して主権を移譲すると宣伝してきた。

 それから半年、イラクの現状はどうか。まず何よりも、米軍側のあらゆる捜索にもかかわらず、ブッシュ政権がイラク攻撃の口実にした大量破壊兵器がまったく見つからないことである。半年間にわたって大量破壊兵器を捜索してきた米CIA調査団は、その証拠を発見できなかったという「中間報告」を米議会に提出せざるをえなくなった。

 いまやブッシュ政権のイラク先制攻撃の不法性、虚構性が明らかになり、国内外で苦境に追い込まれている。英国のブレア首相も、虚偽の報告によって国民をイラク戦争に追い込んだと非難されている。

 ブッシュ政権はイラク戦直後、「圧制は打倒された。治安は回復し、経済も良くなる」と鳴り物入りで宣伝した。だが現実は外電が指摘するように、「二日に米軍一人が死亡、一週間の米軍維持費は十億ドル」「第二のベトナムの様相」を呈し、「混乱を極めている」。

 何よりも間断のないゲリラ攻撃の激化がある。フセイン政権の残存勢力をはじめ反フセイン勢力の間でも反米感情が日増しに高まっており、駐留米軍への攻撃が相次ぎ、犠牲者が増え続けている。開戦から終結宣言までの米兵の犠牲者は百三十八人だったが、その後は九月十五日現在で百五十六人に上る。英国の報道によると、米軍の負傷者は六千人以上で、そのうち千五百人が重傷だという。

 米国は解放者ではなく侵略者だと見なされ、連日反米デモが起きている。現地住民を見下す米軍はしばしばゲリラに脅え、婦女子やデモ隊、報道陣にまで銃砲撃を加えて死傷者を出している。住民の死傷者は数千人におよぶという。 フセイン政権崩壊後は、シリアなど他のアラブ出身イスラム原理主義者たちまでゲリラの隊列に加わっている。米国だけが連合軍をつくったのではなく、反米勢力、ゲリラ勢力も「反米連合軍」化している。最近は、米英占領軍や国連の事務所にまでロケット弾が撃ち込まれている実情だ。

 次はゲリラ攻撃による治安の悪化で、米軍駐留や復興計画の長期化による米軍の財政負担の増大だ。十四万人規模の米軍駐留費は一か月に四十億ドルで、当初予想の二倍に膨れあがった。年間七百億ドルの駐留費や復興費をイラク国内の石油収入で賄う皮算用が、ゲリラによる油田やパイプの破壊で狂ってしまった。ブッシュ政権は五月に七百四十七億ドルの対イラク追加予算を計上したが、九月にさらに八百七十億ドルの追加予算を議会に要請した。

 しかし米国内の反応も厳しい。報道によると、追加予算反対は六一%に達する。またブッシュ政権のイラク政策を支持する率も、八月の五四%から九月は五一%へと連続して下がり続けている。来年の米大統領選挙の予想(世論調査)でも、ブッシュ再選反対は四九%に達し、支持四四%を抑えている。

 米経済戦略研究所のクライド・プレスウイッツ所長は「ならず者国家」という著書のなかで、ブッシュの指導する米国を「軍事的優位と経済的放らつで世界を人質に取り、武器を売り、戦争をつくり出す無法者」「国益に無関係なものは無視し、石油を浪費して環境を破壊し、だれからも『憎まれるならず者国家』」だと痛烈に批判している。 こうしていまブッシュ政権は内外で孤立し、苦境に追い込まれて、これまで無視してきた国連や加盟国の支援を得ようと術策をろうしているが、世界は冷ややかである。

 ブッシュ政権はイラク侵略の非を認めてイラク問題を国連に任せ、イラク人によるイラク政府に主権を移譲し、米軍は速やかに撤退すべきである。イラク統治評議会も、これ以上の派兵に反対している。ブッシュ政権はこれ以上、イラクの内政に干渉して平和と安定を妨げてはならない。 (金恩澤)


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