民族時報 第1017号(03.09.21)


【論説】

    脅威増す日本の軍事大国化

 「戦争する国」へ改憲めざす  MD、軽空母導入などの増強計画

 昨年九月十七日に小泉首相が訪朝し、金正日国防委員長と首脳会談を行い、歴史的なピョンヤン宣言に調印・発表してから一周年になる。

 ピョンヤン宣言では前文で、「両首脳は、朝日間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確信した」。さらに本文第四項では、「双方は北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した」。

 しかしながら、その後の日本当局はピョンヤン宣言の合意に反し、「ら致問題」にかこつけて反北へと世論を誘導する一方、「北の核問題」を隠れみのにして専守防衛の原則、非核三原則をかなぐり捨て、軍事大国化を目指して「戦争する国」へと急速に突き進んでいる。

 今年に入ってからだけでも、有事関連三法の成立によって、米国の先制攻撃による朝鮮半島有事での共同作戦、後方支援体制(周辺事態法)に加えて、人的資源を含めた総動員体制を作り上げた。

 また三月には軍事偵察衛星(スパイ衛星)二基を打ち上げ、来年三月ごろからは四基体制で「対北朝鮮偵察・監視」を日常的に継続するという。のみならず、石破防衛庁長官は「発射段階にある北朝鮮のミサイル基地を自衛隊が先制攻撃を行う権利がある」と発言、「これは憲法違反ではない」と、途方もない強弁をしている。

 それだけではない。ブッシュ政権のミサイル防衛(MD)計画が来年から実戦段階に入るが、これにあわせて日本防衛庁は来年度の予算(概算要求)にMD予算を盛り込んでいる。弾道弾ミサイル迎撃用の地対空誘導ミサイルPAC3とイージス艦に装備するスタンダードミサイルSM3の導入費である。防衛庁はこのイージス艦を東海に配備する計画なのだ。しかも、MD計画の全予算は実に五兆九千億円という膨大なもので、今年度の軍事費(四兆九千五百億円)を上回る。日本政府は、MDシステム導入にあわせて安全保障会議と閣議を経ずに首相の判断で自衛隊の防衛出動を命じ、ミサイル迎撃を可能にすることの検討に入っている。

 九四年の朝鮮半島核危機のころから、日本では給油機の導入が論議されている。空中給油によって航続距離を倍化させ、自衛隊が無着陸で北への攻撃を可能にするためである。そして、今度は軽空母導入の計画である。大型ヘリ四機を発着させることのできるアジア最大(一万三千五百トン、建造費一千億円)で、防衛庁は来年度予算案に概算要求を盛り込んだ。

 安倍官房副長官は昨年五月、「憲法上は原爆保有も問題ない」と発言し、日本国内の原爆保有論議に火をつけたが、推進論者らは「北の核に対抗する」という口実で世論をあおっている。

 報道によると、日本政府は八月、六者協議で米国が北に核兵器の不使用を確約しないように要請した。この問題と関連して、西原正・防衛大学校校長は米紙への寄稿で、「米国が北と不可侵条約を結べば、日米安保条約と矛盾」し、「在韓米軍の撤退につながるだけでなく、日本の核武装を正当化することになる」と指摘したという。

 こうした日本側の発想こそ矛盾にみちており、米国の対北核攻撃を支持する一方、核武装への日本の野心を示すものだ。また「在韓米軍の撤退につながる」として不可侵条約に反対するのは、朝鮮半島の民族の念願に挑戦するもので、不当な内政干渉であり、許容するわけにはいかない。

さらに小泉首相は七月、自民党結党五十周年の二〇〇五年十一月までに、憲法改定案を取りまとめるよう指示した。軍備と戦争放棄を定めている憲法第九条をいよいよ削除し、名実ともに軍事大国、「戦う国」への仕上げを完了しようというのだ。

こうした日本の右傾化、軍事大国化への動きはアジアの平和と安定に反し、新たな対立と緊張をもたらす。かつて日本の侵略と植民地支配の犠牲となったアジアの人々は警戒心を持って鋭く注視している。(金恩澤)


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