民族時報 第1011号(03.07.11)


【インタビュー】

    朝鮮学校生徒の5人に一人が被害に

 在日コリアンの子どもたちに対する嫌がらせを許さない若手弁護士の会

杉尾健太郎代表に聞く

 ――会の発足の経緯について。

 「私たちは昨年十月に弁護士登録した新人弁護士十四人からなる会だ。東京、埼玉、横浜弁護士会に所属している。きっかけは、九・一七ピョンヤン宣言以後、名古屋のあるベテラン弁護士から朝鮮学校生徒に対して様々な嫌がらせがあるに違いないから調査してはどうかと言われ、名古屋弁護士会の同期新人三人が名古屋の朝鮮学校を訪ねて調査したところ、やはり多数の被害にあっていることがわかった」

「九四年の『核疑惑』や九八年の『テポドン発射』のときも、チマチョゴリ引き裂き事件など悪質な事件が頻発したが、昨年九月の日朝首脳会談のときは、ら致事件を自ら認めたということで、嫌がらせは過去と比較にならないほど多発しているだろうと、わたし自身も思った。しばらくして、東京でも積極的に調査してほしいとの依頼を受け、昨年十一月から一人で調査するようになった。新人の若手弁護士に幅広く呼びかけたところ、いまの十四人になった」

 ――朝鮮学校生徒への嫌がらせや暴行などの実態調査に取り組み、最近、報告集を発刊したが、実態調査の方法や報告集の内容について。

 「まず嫌がらせの被害実態を調査するために、東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木など関東地域の二十一校の朝鮮学校を訪問し、被害を受けた生徒や学校関係者に直接会って聞き取り調査を始めた。その結果、実態は全体被害の一部に過ぎないことがわかった。そこで、アンケート調査を実施することにした。もちろん会の弁護士が学校を訪ね、児童・生徒たちに説明したうえで直接アンケート調査し、回収することを原則にした」

 「児童・生徒二千七百十人からアンケートの回答を得ることができた。それを集計し、分析を加えたものが最近発刊した報告集だ。調査方法や回答内容の正確性が十分に担保されているかどうか指摘のあるところだが、在日コリアンの子どもたちに対する嫌がらせの実態を明らかにする初めての試みであり、資料として出す価値は十分にあると思っている」

 ――調査活動を進める過程で、わかったことは何か。

「客観的なデータ―として、九・一七以後、関東地域の朝鮮学校児童・生徒の五人に一人、つまり二〇%が何らかの被害を受けていることがわかった。また女生徒は四人に一人、さらに中級学校の女生徒は三人に一人という非常に高い割合で被害にあっている。この結果からわかるように、被害傾向として男子より女子に多く、高学年よりも低学年に被害が多い。つまり、弱い子どもたちに被害が集中しているということだ」

――嫌がらせや暴行が頻発する背景についてどう考えるか。

「嫌がらせの起きる原因について、実感として思うことは、日本人の無知からくる問題だと思っている。つまり、在日コリアンがなぜ日本に存在し生活しているのか、その歴史的な形成過程について知らない人が多いということだ。無知が偏見を生み、恐怖感が差別感を生み出す構図だ。今のマスコミはそれを助長し、あおる形で報道しているように思う。『ら致報道』に関しても、あまりにもバランスを欠いており、冷静な姿勢が望まれる。過去の歴史と戦後の不正常な日朝関係を深く認識すべきだ。その意味で、歴史教育の重要性を痛感する」 (李東洙記者)


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