【論説】対米屈辱交渉に国民の怒り/大統領弾劾へ発展のきざし

      BSE危険牛の輸入全面開放の問題点

 李明博政権による国民の健康を無視した無分別な米国産牛肉の輸入全面開放に、国民たちの怒りが爆発、民心離反が加速している。政府を批判し、再交渉を要求するキャンドルデモは、連日続けられ、全国十の広域市と三十の市・郡に拡散している。オンラインでの「李明博大統領弾劾請願」署名が百二十万人を超えて久しい。李大統領は韓米同盟の修復を主張し、首脳会談で「二十一世紀の韓米戦略同盟」に合意し、軍事安保面で米国の従属化に拍車をかける一方、韓米自由貿易協定(FTA)の早期批准などを約束した。ところが、韓米首脳会談前日の四月十八日、米国産牛肉の輸入交渉が電撃的に妥結された。韓米首脳会談を前にした「朝貢のための交渉の結果」だった。米国産牛肉の輸入全面開放の問題点を見てみる。

 李大統領「食べなければすむことではないか」

 牛海綿状脳症(BSE)の感染履歴がある米国産牛肉は、国民の健康と直結した問題であるため、簡単に解決できる事案ではなかった。昨年九月、「農林部専門家協議会」の「韓米牛肉交渉戦略」によれば、@危険性が無い三十か月未満の牛に制限A七個の特定危険部位(SRM)の除去と検疫、危険度が高い内臓全体と四骨(牛の四脚の骨)、骨盤の骨、尻尾の骨など骨の輸入禁止B牛肉加工品輸入禁止を方針に掲げていた。

 しかし、今回の交渉では、こうした政府の方針がひとつも貫徹されなかった。特に@BSEの危険性が最も高い脳、脊髄など、内臓と骨の全面開放A30か月以上の牛を輸入できる条件を、米国が動物性飼料の禁止強化を「履行した時点」から、「公表した時点」に変更できるよう、米国に裁量を与えた。結局、「検疫主権」まで放棄してしまった。さらに今回の衛生条件の交渉では、米国でBSEが発生しても、米国政府が疫学調査を実施し、国際獣疫(動物の伝染病)事務局(OIE)が米国のBSE危険統制国家の地位をはく奪する場合にのみ、BSEの危険がある牛の輸入の中断が可能になっている。したがって、関連条項の改定なくしては韓国政府が思い通りに輸入を中断することができない。国民をBSEの危険にさらす「屈辱交渉」「一方的な譲歩交渉」は、今回の批判の核心のひとつだ。

 BSEの検疫と関連し、深刻な問題点が指摘されている。韓国民は人間BSEに感染しやすい遺伝的特性があるため、三十か月未満の牛もBSEの危険部位七個をすべて除去しなければならないという政府専門家の検討報告書の見解がある。米国食品医薬研究所(FDA)もBSE誘発物質―プリオンに汚染された化粧品が人間BSEを誘発する危険があると発表した。BSE感染の牛肉が全面輸入される場合、食用だけでなく、コラーゲンなどの化粧品、医薬品を通した感染の危険も伴うことになる。

 しかし李明博大統領は、米国産牛肉の安全性のみを強調しながら、「輸入業者が輸入しなければ、それだけの話ではないか。食べなければすむことではないか」などと無責任な言葉で国民を愚ろうしている。「米国産牛肉は、米国人と在米同胞、韓国人留学生が食べているので安全だ」(五月八日、国務総理の談話)という荒唐無稽な言葉も出てきた。

 国民「屈辱交渉を破棄し、再交渉しろ」

 国民の再交渉要求キャンドルデモが全国民的に拡散するや、李明博大統領は「米国でBSEが発生した場合、米国産牛肉の輸入を中断する」(五月七日)と約束したが、協定案を改定せずに一方的に中断すれば、韓米通商摩擦を引き起こすのは火を見るよりあきらかだ。世論をなだめるための発言ということだ。政府は国民の再交渉要求にもかかわらず、五月十五日、牛肉輸入交渉の結果に対する農林水産食品部長官の告示を行い、今月末から米国産牛肉の輸入を強行する方針だ。

 政府とハンナラ党の米国産牛肉の安全性強化対策も弱点だらけだ。@牛肉原産地表示義務をすべての食堂に拡大ABSEの危険があると判断される場合、牛肉給食の中断B牛肉の検疫官を輸出作業場に派遣―などだ。しかし、現時点で五十七万三千六百軒の飲食店を管理する力もなく、米国側がすべての輸出作業場に検疫官を受け入れるかも未知数だ。

 

 およそ千五百の団体と政党で構成された「牛海綿状脳症(BSE)の危険がある米国産牛肉の全面輸入に反対する国民対策会議」(BSE国民対策会議)は、@BSEの危険性がある牛肉輸入の無効と再交渉A交渉責任者の罷免B李明博大統領の責任表明と国民への公開謝罪―を要求し、国会特別法制定のための国会議員署名推進などを展開することにした。

 李明博政権とハンナラ党、保守言論は、全国民的な再交渉要求を反米勢力の扇動、政治的背後説、「思想攻撃」によって罵倒し、意図的なマスコミ報道をたれ流している。

 米国産牛肉が国内に流通すれば、韓国民はBSEの危険のなかで暮らすことになる。学生らの給食も安全ではない、潜伏期間が十年から三十年と指摘されているため、国民はBSEの恐怖におびえなければならない。国民はBSE感染の危険のなかに国民をおいやる政府の不道徳性に怒り、屈辱交渉の破棄と大統領の弾劾を要求している。

 民主労働党、統合民主党、自由先進党は、憲法上、政府の国民保護の義務を放棄した今回の交渉は、国会動議を受けてこそ効力を持つことができると主張している。五月十三日から開かれる韓米FTA批准動議案の聴聞会は、野党が牛肉の再交渉なしには、FTA批准は論議対象にならないという立場であり、米国産牛肉聴聞会になると見られている。


 

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