【解説】「不安定な過半数」で波乱必死/進歩陣営の団結が切実

     韓国総選挙の結果と今後の政局展望

 十年ぶりの政権交替をへて、ハンナラ党の李明博政権のもとでの四年間の国政を担う国会議員総選挙が九日、史上最低の投票率となる四六・〇%を記録して終了した。

 開票の結果、総数二百九十九議席(小選挙区二百四十五議席、比例代表五十四議席)のうち、ハンナラ党が百五十三議席(うち比例代表二十二議席)、統合民主党が八十一議席(同十五)、自由先進党が十八議席(同四)、親朴連帯が十四議席(同八)、民主労働党が五議席(同三)、創造韓国党が三議席(同二)を獲得し、無所属は二十五議席となった。

 ハンナラ党は、総選挙前の百十二議席から四十一議席増で単独過半数を確保し、統合民主党は百三十六議席から五十五議席減少して、改憲阻止線の百議席に届かなかった。

 だが「与大野小」国会といっても、ハンナラ党は十五の常任委員会すべての委員長を掌握できる百五十八議席に達せず、「不安な過半数」での政局運営をよぎなくされた。ハンナラ党内外の朴槿恵氏系の協力に依存せずには、安定的な政局運営ができないのが実情だ。

 今回の選挙の特徴は、史上最低の投票率に見られる政治不信、地域主義の再燃、与党分裂などをあげることができるだろう。

 与党の分裂に拍車

 今回の総選挙は当初、「李明博政権への評価」という要素もあると指摘されたが、有権者は国政安定と李政権に対する期待を重視し、一方で盧武鉉前政権への審判論が継続してハンナラ党が過半数を制したと分析されている。しかし、ハンナラ党は苦戦した。その原因は、「実兄公認」による李明博大統領支持勢力(親李)内部の権力闘争、新政府準備委員会の失策、「金持ち内閣」の人事の不手際、朴槿恵氏支持勢力(親朴)との党内分裂によるものだ。

 勢力分布をみると、親李系が首都圏の百十一議席中の八十一議席、親朴系は慶尚道を中心に五十九議席(ハンナラ党三十三議席、親朴無所属連帯十二議席、親朴連帯十四議席)だ。親朴系は政局主導の確保を狙っている。ハンナラ党は、李政権の安定的な国政運営のために、無所属の与党系当選者を対象に入党を勧誘している。しかし、親李系の姜在渉代表、李在五前最高委員、李方鎬事務総長、鄭鍾福事務副総長ら、ハンナラ党の候補公認を主導した人物の落選で親李指導部が事実上崩壊し、ハンナラ党主流派の独走は困難になったと予想されている。

 一方、ハンナラ党の公認から脱落、慶尚道地域で無所属連帯、首都圏などで親朴連帯を構成した親朴系の当選者らは、無条件の復党を要求しているが、ハンナラ党側は選別的に受け入れる雰囲気にある。親朴連帯は個別入党の場合、公職選挙法で比例代表の国会議員は任期開始の五月三十日以前に党籍が変わると当選が無効になるため、「党対党」の統合で復党を望んでいる。

 統合民主党は全羅道で議席を多数確保したが、孫鶴圭代表、鄭東泳、金槿泰、韓明淑、張永達議員ら大物と重鎮が苦杯をなめ、民主化運動圏の出身者、盧武鉉前大統領系、市民社会運動勢力が大幅に減少、旧民主党系が躍進した。盧武鉉政権への審判と前与党責任論から逃れられなかったとの評価だ。一方、全羅道の無所属当選者六人は民主党への復党意思を明らかにしており、注目される。

 民労党候補が与党を撃破

 民主労働党は九議席(小選挙区一議席、比例代表八議席)から、分裂事態で半分に議議席を減らしたが、慶尚南道泗川で農民代表の姜基甲候補がハンナラ党の実力者である李方鎬事務総長を破って、小選挙区で初当選し、労働者代表の権永吉候補が再選を果たした。民主労働党は近いうちに中央代議員大会を開いて指導部の選出方式を決定、党の革新作業に入る予定だ。同党は分裂した進歩新党との連合を指向している。

 民主労働党から分裂して創党された進歩新党は、常任共同代表の沈サンジョン、魯会燦候補が落選し、政治的に重大岐路に立つことになった。党の支持率も三%に達せず、比例代表議席も確保できなかった。

 自由先進党は忠清道で多数の議席を確保したが、院内交渉団体の要件である二十議席を確保できなかった。同党は無所属当選者を受け入れる方向を明らかにしたが、むしろ他党からの引き抜きの対象になりかねない状態にある。

 ハンナラ党が「不安な過半数」で政局運営に苦労するとの予想もあるが、守旧保守勢力が大連合する場合、改憲ラインの二百議席を越えるだけに、多数派の独走を警戒しなければならないだろう。

 李大統領は総選挙の勝利を背景に、金融と産業の分離廃止と投資規制の緩和など、大企業中心の経済政策を矢継ぎ早に推進するだろう。規制緩和は、水質汚染総量管理制の改編など環境規制の枠組みを変える内容と、職場内のセクハラ処罰緩和、育児休職後の復職規制緩和など、財界の要求にそったものだ。韓米自習貿易協定(FTA)を批准する国会運営も憂慮される。

 李政権の新自由主義政策の強行など、財閥中心の経済政策によって社会の両極化が一層深化することが憂慮されている。庶民の生活のためにも、李政権下での進歩陣営の役割が増大している。団結が切実に求められている。

(金明姫記者)


 

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