【主張】「テロ」指定解除を歓迎する

 こう着状態におちいっていた朝鮮半島の非核化のための六者協議は、今月初めのヒル米国務省次官補のピョンヤン訪問を契機に、再び動き出した。そして十一日午前(韓国時間十二日未明)、米国は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する「テロ支援国」指定を解除した。追加の食糧支援も行うという。われわれは、ブッシュ政権による「テロ支援国」指定解除を、心から歓迎する。

 ヒル次官補は金桂寛・外務次官らと協議を重ねただけでなく、軍関係者とも意見交換したという。今回の協議内容は公式には明らかにされていないが、北朝鮮の核申告に対する検証問題の妥協案と、「テロ支援国」指定解除問題、六者協議(〇五年)九・一九共同声明履行の第三段階である平和体制構築問題などが、具体的で実質的に討議され、北朝鮮から局面打開のための新たな提案がなされたようだ。米国務省は、「検証に関して相当の協力がえられた」と明らかにした。

 われわれは今回の朝米協議が実を結び、六者協議の合意が順調に履行されることを望む。ブッシュ政権は、北朝鮮に対する「テロ支援国」指定解除の約束だけでなく、エネルギー支援などの合意を守り、「行動対行動」の原則に基づいて、今度こそは必ず誠実に実行するよう強く求める。

 米国は現在、十一月四日投票の次期大統領選挙戦の最中にあり、来年一月末にはブッシュ大統領の任期が終わる。二〇〇一年九月の同時多発テロ事件後、ブッシュ共和党政権は「テロとの闘い」を掲げてアフガニスタンとイラクに侵攻した。しかし、早期決着の期待とはうらはらに、泥沼の戦争はいまも続いている。米国の侵略を受けた国々で多くの人々が犠牲になるとともに、多くの米軍人もまた、異国で無駄死にした。戦争の被害はそれだけではない。ぼう大な戦費負担は米国を追い込み、過去最悪といわれる米国発の世界金融危機、経済の破たんを招いている。ブッシュ政権の戦争政策によって世界は歴史的な難局に直面している。

 したがって、今回の米大統領選挙では、ブッシュ共和党政権の失政に対して容赦のない審判が下されるとの見方が大勢を占めている。

 一方、日本政府は、朝米関係が歴史的ともいえる大転換がなされようとしているにもかかわらず、拉致問題の進展がないことを理由に、米国に対して「テロ支援国」指定解除をすべきではないとの立場を伝えたという。さらに、日本が独自に行っている、万景峰号など北朝鮮船舶の入港や物資の輸入などを禁止する制裁措置を、半年間延長することを決定した。これは、すでに四度目の延長になる。

 われわれは、拉致問題を解決するためにも、六者協議の進展、朝米関係の改善にともなった朝日関係の正常化が必要だと考える。日本政府の措置は、まったくの本末転倒である。真に問題を解決しようとするなら、米国の例を見ても明らかなように、制裁を解除して対話しなければならない。

  「テロ支援国」指定解除による朝米関係の進展と、六者協議の前進は、日本政府の朝鮮半島政策の転換にとっても有利な条件となるだろう。われわれは、日本政府がこの機を逃さず、賢明に行動するよう促すものだ。


 

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