【新年辞】済州4・3民衆抗争60周年 6・15宣言固守し祖国統一を

在日韓国民主統一連合 議長 金政夫

 韓統連会員のみなさん!会員団体の在日韓国青年同盟、在日韓国人学生協議会、在日韓国民主女性会に集う青年・学生・女性の仲間のみなさん!きびしい経済状況のもとでも、わたしたちの組織と運動に対する物心両面での支援を惜しまない在日同胞のみなさん!

 そして、北朝鮮に対する不信と憎悪をあおりながら日本社会の反動化が推し進められる逆風の時代に、孤立を恐れず、朝鮮半島の自主的平和統一を支持する連帯運動に主体的に取り組んでいる、わたしたちの大切な日本の友人のみなさん!

 希望に満ちた新年を迎え、みなさんに心から謹んで新年のあいさつをおくります。

 昨年末に、韓国で大統領選挙が行われ、野党ハンナラ党の李明博候補が次期大統領に選ばれました。歴代の保守政治勢力を代表するハンナラ党へ政権交替が行われることで、これまでの南北の和解政策や改革志向的な政策が後退し、再び反動の時代が訪れるのではないかという懸念が、わたしたち在日同胞の間でも広まっています。

 確かに、今回の選挙は、盧武鉉政権と進歩勢力に対する、韓国民の厳しい審判であったという側面は決して軽視することはできません。

 五年前の大統領選挙では、ワールド・カップ・サッカーの「ベスト・フォー」進出と、二人の女子中学生が米軍の装甲車にれき殺された事件を契機に、全国民的な民族自主意識が高まって大きな風を巻き起こし、まさにそうした風に押されるようにして盧武鉉政権は出帆しました。

 しかし、米国の圧力と保守勢力の根強い抵抗によって改革的な政策は徹底されず、政策的な未熟さなどもあって、国民の期待は裏切られ政権と与党に対する支持は急速に下落してしまいました。また、韓国民は、景気の停滞と生活苦からくる経済的、社会的閉そく感からの脱却を渇望していました。「生きられない!替えてみよう!」という切実な国民の心情が、経済界出身である李明博候補の政策的手腕に対する期待として、あらわれたと見ることができるでしょう。

 しかし、今回の選挙結果を「進歩」から「保守」への回帰とみて、韓国民の保守政治勢力に対する期待のあらわれであり、南北和解政策への批判とみることは一面的であり、誤っています。

 経済と生活の安定のためにも、南北関係の和解と安定は大前提であり、そのことは、大統領選挙直前に行われた南北首脳会談を、韓国民の大半が支持したことからも明らかです。南北関係を過去の不信と対立の時代へと逆行させようという反動的な思惑は、韓国民の厳しい審判を受けることは間違いありません。

 現在、朝鮮半島情勢を規定している根本的な要因は、朝米関係の変化にあります。一昨年末から水面下で進められてきた朝米交渉は、六者協議における「二・一三合意」に結実し、段階を踏まえて合意事項を当事者が着実に実践することで、関係国間の相互信頼が醸成されています。六者協議は順調に進展し、朝米関係は、急速に好転しています。

 ブッシュ政権の北朝鮮に対する政策が、これまでの敵対・包囲による圧力路線から対話と協商路線へと転換し、ブッシュ政権は、究極的には任期内(今年末まで)に朝米関係正常化を実現することを目標としている、とまでいわれています。

 こうしたブッシュ政権の対北政策の変化は、日本と韓国にも大きな影響を及ぼしています。

対北強硬政策一辺倒であった安倍政権は、ブッシュ政権の政策転換にブレーキをかけようとさまざまに画策しましたが、結局は挫折し、日米間の対北政策の矛盾が増大するというジレンマの果てに、ついに、国会での施政方針演説の翌日に首相が突然辞任するという醜態をさらすことになりました。

 後を継いだ福田政権は、もはや前政権のような「突出した」対北強硬政策はとりえないでしょう。

 また、これまで、六・一五路線に露骨に反対し、盧武鉉政権の対北政策を猛烈に批判してきたハンナラ党でも、ブッシュ政権の対北政策の変化に対応した政策の修正を主張する勢力が、多数派を占めつつあります。あくまでも南北和解に反対するこれまでの党内主流派を形成していた反動勢力は、少数派に転落していくことは必至です。

 今回の選挙で、ハンナラ党を離党して立候補した李会昌候補は、こうした保守反動勢力を代弁し代表したともいえますが、彼がハンナラ党に復帰して、党内非主流を形成して政権に影響を与えようとするか、新党を結成して反動勢力の結集を図るかどうかは流動的です。しかし、歴史的に親米路線を基調としてきた保守反動勢力が、米国の政策に反対して政治勢力として延命することは、事実上不可能であるために、彼らは歴史のすう勢からは後退するしかないといえるでしょう。

 李明博次期政権は、対米協調を基本路線にしながら、ブッシュ政権の対北政策に沿う範囲内で、南北和解政策を進めていくと思われます。南北首脳による「十・四共同宣言」で約束された南北交流政策は、李明博当選者が主張してきた経済的実利の伸張と韓国経済の活性化にとっても、極めて肯定的なものです。米国の政策変化による圧力と干渉がない限り、対北政策は事実上、継承されていかざるをえないでしょう。

 このように、ブッシュ政権の対北政策の転換による朝米関係の変化が、現在、朝鮮半島情勢を規定している根本的な要因なのです。

 こうした変化は、六・一五共同宣言を固守し、米国の圧力と干渉をはねのけて和解と交流を推し進め、自主と民族大団結の力で戦争策動を阻止してきた、南北海外同胞による民族的な闘いの成果でもあることを、しっかりと認識しなければなりません。

 南北関係をさらに進展させ、朝鮮半島の自主的平和統一を促進する事業に、より積極的に取り組むことが、韓国社会のさらなる改革を促進することにもつながるのです。

 また、南北の和解をさらに進展させることは、国内外の反統一的で反民族的な反動勢力をさらに孤立させ、在日同胞社会の和合を促進することにもつながります。

 盧政権はこの二月末で任期を終えます。

 「合理的なものこそ現実的であり、現実的なものこそ合理的である」という有名な命題があります。

 それぞれの時代として現れる歴史は、低いものから高いものへと進んでいく人類社会の限りない発展の過程における一時的段階に過ぎません。そして、どの段階も「歴史的必然―歴史発展の必然的帰結」ということができるでしょう。

 金大中・盧武鉉政権の十年を「不毛な停滞期」と見て、保守政権の復権に幻想を抱くことは間違っていますし、同時に、保守政権の発足を歴史の後退と見て展望を悲観することも正しい立場ではありません。

 昨年は、一九八七年六月民主抗争の二十周年にあたる年でしたが、盧政権は、まさに、六月民主抗争がその成果として生み出した「歴史的必然」であったということができるでしょう。

そのことの根拠として、象徴的には、歴代政権としてはじめて、歴史の見直し、歴史の清算事業に取り組んだことをあげることができます。

 歴史の見直し作業が、極めて不十分な内容であれ、本格的に「制度化」され、包括的に取り組まれたことの意義は、決して過小評価されるものではありません。

 日本帝国主義(日帝)の植民地支配から解放された時点で、「祖国光復」のために最も重要で優先されるべきことは、主体的な歴史の清算事業でした。親日派による反民族行為を断罪することは、真に民族主体的な自主独立を実現するために不可欠な課題でした。

 しかし、李承晩政権時代に「反民族行為特別調査委員会」が結成されながら、親日派が反共親米勢力として再生し、政権の主流派として形成されていく過程で、歴史の清算事業はとん挫してしまいました。以来、六十年近い歳月を経て、盧政権がこの課題に初めて、そして大胆に取り組んだのです。

 また、金大中政権下で始められた「済州四・三事件」に対する歴史の検証作業は、盧政権下で政府の公式真相調査報告書が採択され、「国家権力による強硬な鎮圧によって良民が犠牲になった」事実を、政府として初めて認めて謝罪しました。さらに、盧大統領が「四・三事件」の五十八周年にあたる二〇〇六年の慰霊祭に出席して謝罪を行ったことは、盧政権の歴史性を象徴する感動的な出来事でした。

 こうしたことから、わたしたちは、六月民主抗争の歴史的な意味をあらためて再認識することができます。

 六月民主抗争の意義は、間接選挙制による永久独裁執権体制(維新体制)を終わらせたことにとどまるものではありません。本質的には、李承晩政権から続いた歴代独裁政権によって、抑圧され断絶されてきた歴史の空白を克服し、統一志向的な時代、真の「祖国光復への道」を切り開いたことにあるといえるでしょう。

 今年は、南北それぞれに政府が樹立されて六十周年をむかえる年です。

 わたしたちは、南北に政府が樹立され、分断が確定して六十年にもなるというこの現実を、民族的な恥辱として自覚し、祖国統一に向けた決意を新たにしなければなりません。

 一九九一年の「南北合意書」で明らかにされた、「南北の関係が国と国との関係ではなく、統一を志向する過程で暫定的に形成される特殊関係」であるという観点と立場に、わたしたちはしっかりと立たつべきです。

 そうした意味でも、今年、「済州四・三」六十周年をむかえる歴史的な意味は大きいといえます。

 一九四八年五月に予定された南側地域のみの単独選挙に反対し、過酷な暴力弾圧と残忍なテロ行為に抵抗してたちあがった済州島民衆の闘いは、まさしく分断に反対し、祖国の真の自主独立を求めた民族的な大義の闘いでありました。

 この済州四・三民衆抗争の意義をしっかりと認識し、済州民衆の抗争精神を継承して、祖国の自主統一運動を飛躍的に発展させることは、今年の重要な課題といえるでしょう。

 在日同胞のみなさん!日本の友人のみなさん!

 在日同胞の運命は、祖国と日本社会に深く結びついており、在日同胞の将来は、祖国統一を促進し、統一祖国と日本との互恵平等な友好親善関係を構築していく過程にこそ展望できるのです。

 わたしたち韓統連は、在日同胞の立場にしっかりと立ちながら、在日同胞に対する事業と日本の良心勢力との連帯運動を組織活動における二つの重要な柱として積極的に展開し、自主・民主・統一運動の前進に向け一層努力していきます。

 みなさんにとって、今年がどうかよりよい年でありますように!

 みなさんとみなさんの家族、友人たちにとって、健康で幸せな一年でありますように!

 二〇〇八年一月一日


 

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