在日和合に民団同胞の奮起を

在日和合に民団同胞の奮起を(下)

「共同声明で和合」が再生の道
政府に敵対して暴走の反動勢力

民団新聞は二回にわたって、「四・二四および五・一七事態調査委員会」の「特別報告」をほぼ全文掲載した。

 民団新聞は紙面を通して、あいまいでデタラメな「特別報告」をさらにわい曲して報道し、センセーショナルな「見出し」(「総括見解―北韓の統一戦線に民団を組み込む策謀」)をつけて強調することで、騒乱事態の「真犯人」たちの真意を明らかにしている。

 民団新聞によれば、「四・二四提議書」や、「五・一七共同声明」を「事態」と呼んで組織を紛糾させた本当の理由が、実は、六・一五共同行事そのものを「北韓の統一戦線に民団を組み込む策謀」と見なしていたことにあったというのである。

 これは、六・一五共同行事を公認し、行事に政府代表まで参加させている韓国政府の立場を公然と批判するものであり、一昨年の八・一五統一行事に、二十数人の参観団を派遣した民団(金宰淑・団長)の立場とも明らかに相違するものだ。

 このように重大な見解と立場の変更を、機関での論議も経ないまま、組織の機関紙である民団新聞が恣(し)意的に行っているのである。

 六・一五共同宣言にもとづいて南北の交流が着実に進展し、南北関係が不信と対立から和解と交流へと劇的に転換して既に七年の歳月が流れている。

 不信と対立は常に戦争の危機と結びついており、国民的な支持と共感のもとに促進されている南北の和解は、アジアと世界の平和と安定に寄与するものとして国際的にも歓迎されている。南北関係の変化は、もはや押し戻すことのできない時代の潮流なのだ。

 にもかかわらず、民団新聞の報道は、共同宣言を「北韓による統一戦線戦略に大韓民国を組み込もうとする策謀」などと時代錯誤的に中傷し、韓国政府に公然と敵対する立場を明らかにしたもので、団員と在日同胞に対する極めて重大な背信行為と言わざるをえない。

 昨年の組織紛糾の渦中に、騒乱事態の「真犯人」たちと、彼らにあおられた人々によって、韓国の極右ジャーナリストである趙甲済の主張を引用した謀略文書がばらまかれたが、その内容は、「(五・一七事態は)金正日―盧武鉉―金大中勢力によって企てられた『大韓民国転覆計画』の序章」という荒唐無稽(けい)なものだった。まともな神経の持ち主なら、ハンナラ党の議員でさえ相手にしないような読むに耐えないシロモノだが、組織の機関紙である民団新聞が、同じ様な主張を公然と行っているのである。

 民団騒乱事態は、その本質が六・一五路線に反対する反統一勢力の分裂策動であり、五・一七共同声明の無効化と、河丙ト・執行部の退陣を目的としたものであった。

 現在の鄭進・執行部が発足したことによって、騒乱事態の「真犯人」たち、すなわち、韓米日の反統一勢力の先兵となり、日本の公安警察の手先となって組織を紛糾させた彼らの目的は、表面的にはひとまず「成功」したように見える。

 しかし、なりふりかまわず自らの正体を露出して騒ぎすぎたために、彼らの目に余る分裂策動は内外からの厳しい批判にさらされている。

 そのうえに、彼らの狙いの核心であった五・一七共同声明の無効化策動は、当初から深刻なジレンマに陥っており、すでに破たんしつつあるのだ。

 現在、彼ら反動勢力は、「政府補助金問題」で恐慌状態に陥っているが、本質的には、五・一七共同声明の生命力が、彼らの矛盾を深化させており、彼らが必死になって声明の無効化を叫べば叫ぶほど、自らの墓穴を掘ることになっているのである。

 彼らは、一方的に「白紙撤回」を宣言したことで共同声明は無効になったと強弁しているが、社会通念上、こんな無責任が通用するはずがないということは、子どもでもわかりそうなものである。

 何よりも、共同声明の一方の当事者である朝鮮総連の意向を一切無視していることが致命的だ。

 民団中央が昨年七月六日、共同声明の「白紙撤回」を内外に言明したことに対して、総連中央本部は七月八日、副議長談話を発表し「ともに署名した総連側になんら事前協議もなく『白紙撤回』を内外に公言したことは、組織としての初歩的な常識と道理すら欠くことといわざるをえない」と非難して、「白紙撤回」言明を直ちに取り消すことを要求している(「朝鮮新報」七月十二日)。

 また、十月十八日に、鄭進・新執行部の「初仕事」として、副団長を筆頭とする民団中央代表団が、大勢のマスコミを引き連れて総連中央本部前で「核実験に抗議する」デモンストレーションを行ったが、これに対して総連中央は十月二十日、統一運動局長談話を発表。談話では、(このような行為が)「日本の治安当局の圧力に屈従して総連との対決姿勢を内外に誇示することで、総連を孤立圧迫すると同時に、五・一七共同声明を完全に無効化してしまおうと画策」したものだと指摘し、「五・一七共同声明の崇高な理念をけなし、無効化しようとすることは、全的に在日同胞の終始一貫した志向と要求に対する厳重な背信となり、許すことのできない挑戦である。まさしく、この五・一七共同声明を覆すために登場したのが現執行部だということは世間が皆知っている事実だ」と主張している(「朝鮮新報」十月二十五日)。

 (民団中央は、このような、核実験に対する抗議行動を各地方・地域レベルでも総連組織に対して行うことを通達したが、地域で総連との親睦交流事業を積み重ねてきた民団幹部・同胞らを当惑させ、結果的に、中央本部に対する地方の不信を増大させる結果となっている。)

 また、十一月十六日に開かれた「総連中央委員会第二〇期第三次会議」における徐萬述・議長による中央常任委員会報告では、「六・一五北南共同宣言の精神と同胞らの志向を反映し、北と南、海外同胞らの大きな支持を受けた『総連、民団五・一七共同声明』の理念と実践の意志を最後まで守り、広範な同胞との民族和合事業をさらに強化することで、祖国統一偉業に寄与するだろう」と述べている(「朝鮮新報」十一月二十二日)。

 共同声明の一方の当事者である総連は、五・一七共同声明は有効であり、民団の「白紙撤回」言明は認めないことを明らかにしているのである。

 これまでの歴代民団執行部は、対立し競合しながらも総連の存在を公認し、歴史的経緯からして民団と総連(だけ)が在日同胞社会を代表すると主張して、総連との対話と交流を重要な事業目標にしてきた。まして、「生活者団体」を標榜する以上、総連同胞との和合追求は必須課題でもあったはずである。総連が声明の無効化を認めないことによって、民団中央は深刻なジレンマに陥っている。

 しかし、われわれが五・一七共同声明を一貫して支持し、民団の「白紙撤回」宣言にもかかわらず声明の有効性を主張しているのは、決して、総連が無効化を拒否していることだけを根拠としているのではない。

 声明が、六・一五時代という民族史に在日同胞を合流させ、祖国統一と在日同胞の解放を促進するという歴史的意義をもっていると評価するからである。

 それゆえに、この声明を無効化しようとするならば、民団であれ、総連であれ、在日同胞と民族に対する背信行為として指弾されるべきだというのがわれわれの立場なのだ。

 民団が現在直面している組織衰亡の危機を克服する唯一の道は、中央に寄生した極右反動勢力の暴走を阻止して、五・一七共同声明の立場に立ち返り、真に「生活者団体」として、在日同胞社会の和合に努めることである。

 そうすることによって初めて、在日同胞の信頼を回復し、歴史的な「代表性」をもった組織として再生することができるだろう。

 民団同胞の奮起を訴える。

 (おわり)


 

[HOME] [MENU]