【新年辞】自主・民主・統一の立場で在日同胞の和合を促進し、日本の朝鮮半島政策の是正を 

(2007年1月1日)

 在日韓国民主統一連合 議長 金政夫 

韓統連の会員、会員団体のみなさん!

 いつもわたしたちの運動を物心両面で支えてくださっている在日同胞のみなさん!

 そして、朝鮮半島の自主的平和統一を支持し、朝鮮半島と日本との新たな関係を構築するために努力されている日本の友人のみなさん!

 希望に満ちた新年を迎え、みなさんに謹んで新年のあいさつをおくります。

 昨年はわたしたち在日同胞社会の将来を展望するうえで、きわめて重要な出来事がありました。

 民団と総連の和解をせん明した五・一七共同声明の発表は、在日同胞ばかりか国内同胞や海外同胞らの熱烈な支持と歓迎を受け、六・一五共同宣言を支持し祖国統一の気運を高めた歴史的な快挙でした。同時に、祖国と海外同胞社会との関連において、在日同胞社会の位置と役割の重大さについてもあらためて認識させてくれるものでした。

 しかし、共同声明に反対する韓国の極右反動言論と日本のマスコミによるすさまじい民団中央執行部に対するバッシングと、これに呼応して組織内部を紛糾させた一部の反動的な人々のせん動によって、執行部は退陣に追い込まれることになりました。

 わたしたちが見過ごすことができないのは、バッシングの論拠が、総連との和解そのものに反対し、韓国政府の対北政策に反対し、六・一五南北共同宣言にもとづく南北の和解に反対していたことです。

 南北の和解と交流の進展にあわせて、しかし、朝鮮半島情勢の急激な変化からすればかなり遅れて発表された共同声明のタイミングは、決して唐突でもなければ突出していたわけでもありません。

 祖国統一の機運にあわせ、在日同胞の生活と権利を守り発展させるために和解しようという、あまりにも当然で正当な内容の共同声明が、政治的意図による圧力と干渉によってわい曲されじゅうりんされたのです。

 この出来事の背景には、現在、核問題をめぐってし烈に対立している朝米関係を軸とする朝鮮半島情勢が深く影を落としていました。

 関係者に取材をした韓国の雑誌によれば、共同声明の発表の後、民団中央本部に戻ってきた幹部を、駐日米国大使館の一等書記官が待ち構えていたといいます。

 彼は民団幹部に対し、「ライス(国務長官)とヒル(国務次官補・六者協議米国首席代表)が関心をもっている」と言いながら、共同声明発表の経過と意図について追及したというのです。

 これは、米国が韓米日の連携によって北朝鮮を圧迫しようとしている時期に、余計なことをするなという露骨な干渉ではありませんか。

 また、「拉致問題」を掲げて北朝鮮バッシングで世論を扇動し、「北朝鮮の脅威」を口実に社会の反動化を加速度的に促進する日本政府の意図が深く関わっていました。

 安倍官房長官(当時)は記者会見で、総連と和解した民団に対して注視すると発言。続いて、警察庁長官は記者会見で、総連が破壊活動防止法対象団体であるので、ここと協力しようとする団体は同様にあつかうことになるだろうと、圧迫を予告。こうした方針にもとづいて国税庁と警察庁が民団幹部である商工人に直接的な圧力をかけたのです。

 さらに「維新民団」体制に固執してきた民団の歴代執行部と、本国の変化に対応した「改革」を志向する民団同胞との間で矛盾が深まり、葛藤が表面化したことが内部紛糾の要因でもありました。

 八七年の六月民主抗争によって直選制改憲が行われ、本国の維新体制は終えんしました。にもかかわらず民団の歴代中央執行部は、維新独裁政権に追随してきた「維新民団体制」を必死になって維持しようとしたために、本国状況とのねじれ現象が起こっていました。六・一五時代に入ってそうした矛盾は激化し、それが民団同胞らの閉塞感を深めることになり、新たな(本国状況の変化に対応した)変化を求めたことが、前執行部を生み出した背景といえるのです。

 そうした意味で、五・一七共同声明に反対した紛糾は、維新民団体制を維持しようとする民団内の守旧派・抵抗勢力による反攻という性格をもっていたといえます。

 今回の事態で明らかになった、在日同胞社会の和合に反対して露骨な干渉をした日米両政府の対応は、実は歴史的な経過と背景をもっています。

 わたしたち韓統連は、六〇年代から七〇年代初めにかけて闘われた民団民主化闘争を組織発足の前史としています。

 この民団民主化闘争を、日本と米国のつながりに焦点をあてて歴史的に検証してみると新たな構図が浮かび上がってきます。

 五・一六軍事クーデターは、米国情報部(CIA)による工作の成功例として、米国の関与が公然の事実として認められています。しかし、このクーデターを国内外に先駆けて支持したのが、当時の民団中央団長による支持声明であった事実は広く知られていません。

 国内同胞すら当初は、この軍人たちのほう起の目的や動機などについてわからなかったにもかかわらず、ただちに、これを「義挙」と評価して民団中央団長に支持声明を出させた背景に、駐日米国大使館の関与があったことは想像に難くありません。

 また、十余年にわたる民団民主化闘争が質的転換を迎えるのは、六五年の韓日条約でした。

 韓日条約体制による日本の経済支援によって、朴正煕軍事独裁政権は飛躍的に強化され、同時に、民団民主勢力に対する弾圧も、韓国情報機関と日本の公安警察とが一体となって激しさを増していったのです。韓日条約は、韓国軍事独裁政権の基盤が固められ、民団に対する日本公安権力の干渉が強化される契機となったのです

 また、日本の「戦後民主主義」も韓日条約体制と深く関わっているといえます。日米安保条約体制は明らかな軍事同盟体制であり、必然的に日本社会の軍事化を促進させるはずでした。しかし、日米安保が目的とした「防共の盾」「反共の槍」としての役割は、(沖縄を除いて)丸ごと韓国社会に転嫁され、韓国民衆の命と人権が踏みにじられていったのです。

 まさしく、平和憲法に守られた日本の戦後民主主義は、韓国民衆の犠牲のうえに成立したといっても過言ではありません。

 改憲まで日程にのぼるようになった日本社会の反動化は、六・一五時代という歴史的潮流によって、韓日条約体制が実質的に破たんし、これまで韓国に転嫁してきた社会の軍事化を日本が自前で担わざるをえなくなったことと無関係ではありません。

 さらに、米国に寄りそいながらも、今度は、自らの野望にもとづいて「アジアに向けた槍」として再武装しようとしているのです。

 これまで、北朝鮮に対するバッシングが恒常的に行われてきましたが、最近では日本政府の閣僚までが、韓国政府に対する敵意をむき出しにして政権批判を公然と行うに至っています。

 いまや日本政府の朝鮮半島政策は、南北の和解に敵対しながら、韓国政府を分裂と対立へと圧迫する強圧的な方向へと旋回しようとしているのです。

 したがって、朝鮮半島とつながりを持つ在日同胞の存在は、日本社会の軍事化を促進するうえで障害となっており、総連同胞だけでなく、民族と国籍にこだわる韓国籍同胞も警戒すべき治安管理の対象と見なされています。いまこそ、自らの命と人権を守るためにも、思想・信条を超えて在日同胞は団結しなければならないのです。

 国家のために銃を取ることができ、国家のために死ねることが「愛国」であり、そのような「愛国心」を育成する国民教育は、社会の軍事化を促進するうえで最も重要な事業であると考える人々によって、日本社会が危険な方向へと歩んでいることを、いままさに、わたしたちは目のあたりにしているではありませんか。

 在日同胞社会の分裂と日本社会の反動化、朝鮮半島情勢の緊張は結びついています。

 このことは同時に、在日同胞社会の和合は、日本社会の民主的発展、朝鮮半島情勢の安定(和解、共存・共栄)と結びついた課題であることを示してくれています。

 日本政府の朝鮮半島政策は、南北の和解を支持し、ピョンヤン宣言にもとづく朝日関係の正常化を促進する方向へと是正されるべきなのです。

 自主・民主・統一運動としっかりと連携し、在日同胞社会の和合を促進し、日本政府の朝鮮半島政策を是正させることは、祖国の自主的平和統一を促進することになります。

 また、このような闘いを推し進めてこそ、在日同胞社会の和合は実現するのです。

 現在、米国という超大国の一国覇権主義によって、世界は暴力が連鎖する混とんの沼におちこんでいます。しかし、イラク侵略戦争の惨禍がもたらしたすさまじい犠牲のうえに、ようやく世界は変化の兆しを見せ始めています。

 昨年十一月の中間選挙で、米国民はブッシュ政権の暴走にようやく歯止めをかけました。前職大統領をはじめとする米国の高位層までが、現政権の対外政策に明確な反対意志をあきらかにしています。もはや、力による世界一極支配という「ブッシュの構想」は内外からのあつれきによって破たんしつつあるのです。

 米国の金融制裁によってとん挫していた六者協議は、米国政府の対応の変化によって再開されました。昨年末、北京で朝米の二国間協議が行われ、現在、協議は継続しています。

 米国はこれまで、「敵とは対話しない。せん滅あるのみ」「核廃棄を明確にしない以上、対話という報償は与えない」「六者協議というテーブル以外の二国間協議はありえない」との発言を繰り返してきていました。それにもかかわらず、六者協議と朝米協議を再開したことは、米国の対応の変化が表面的で一時的なものというよりは、これまでの政策の根本的転換の可能性を含んでいると見ることができます。

 もちろん、決して楽観はできません。起死回生を狙う権力中枢によって、より危険な暴走の可能性も含んでいるからです。

 しかし、戦争か平和か、混乱か安定か。道はひとつしかないのです。

 すでに、一時は軍事攻撃に踏み込もうとしたクリントン政権が「圧力によって制圧するか体制を崩壊させる」という選択肢を捨てたとき、朝米の国交樹立という関係正常化だけが「実現可能で最も肯定的で国益にかなう」という判断を下しているのです。

 みなさん!

 在日同胞の運命は祖国と日本社会に深く結びついており、在日同胞の将来は、祖国統一を促進し、統一祖国と日本との互恵平等な友好親善関係を構築していく過程にこそ展望できるのです。

 今年、わたしたち韓統連は、在日同胞社会の和合を促進し、日本政府の朝鮮半島政策の是正を求めて、全力で取り組むつもりです。

 そのことが、自主民主統一運動の海外における担い手であるわたしたちの主要な課題であり、祖国統一を促進する時代の要請であると考えるからです。

 みなさん!

 わたしたちの理想に向かって、ともにがんばりましょう。

 みなさんにとって、今年がすばらしい一年でありますように。

 みなさんとみなさんの家族、そして友人たちが、どうか健康でありますように。

心から祈念しながら。

 二〇〇七年一月一日


 

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