<主張>日本の反動化と在日同胞の和合

<主張>日本の反動化と在日同胞の和合

 在日同胞社会の危機について語られて久しい。毎年、日本国籍取得者が一万人を超え、韓国・朝鮮籍からの離脱傾向はおさまる気配がない。

 歴史性をもった「在日同胞六十万人」の存在感を日本社会と本国に誇示することで、在日同胞の人権と民族的権利の擁護を訴えてきた「在日」の重みは、いまや、実体そのものが解体の危機にさらされているといえるだろう。

 韓流ブームの熱狂の一方で、「韓国」籍であることを負担に感じて帰化する同胞たちの増加をどのようにとらえればいいのか。北朝鮮バッシングの影響で、朝鮮籍を堅持してきた朝鮮総連同胞たちの組織離脱ばかりがけん伝されているが、組織からの離脱どころか、民族に対する忌避傾向は、韓国籍同胞もまた深刻である。数的減少の背景にある、民族意識の風化と民族的紐帯(ちゅうたい)の弛緩(しかん)が深刻なのである。

 民族であることを恥や負担に感じる同胞たち、実利優先で国籍を生活の方便としか見られない同胞たちの増加の背景には、祖国の分断と日本政府の差別排外政策が深く影を落としている。とりわけ在日同胞にとって、日本社会の現実は日常生活に直接反映するために、在日同胞社会を規定する、より重要な要因だろう。

 六・一五共同宣言によって南北の和解が飛躍的に促進し、本国の人びとの意識が大きく和解へと変化していったにもかかわらず、在日同胞社会は、いまだに不信と対立の沼から抜け出せないでいる。この背景には南北の和解に反対する日本政府の政策があり、加速度的な日本社会の反動化があることは否定できない。

 南北関係の変化に対応したピョンヤン宣言による朝日関係正常化への道は、「拉致問題」によって封じ込められ、「拉致問題」は、南北の和解に反対する反動勢力のよりどころとなり、日本社会の反動化を促進する「奇貨」として爆発的な威力を発揮している。すべて「北の脅威」に備えるとの口実のもとで、反動的な法整備などが進められてきたのだ。

 反動的で危険な実体を覆い隠す「美しい国」づくりのかけ声は、この日本の現在と未来を象徴する実に醜悪な言説だ。「美しい国」のために死ねる国民をつくりだすことが「愛国」であり、そうした体制に反対したり障害となる「非国民」は徹底的に管理し排斥する必要がある。こうした「非国民」に対する治安弾圧の前触れともいえるのが、現在、朝鮮総連に対して行われている弾圧攻勢であり、総連との和解に動いた民団執行部に対する抑圧であったといえるだろう。

 民団であれ総連であれ、祖国と民族にこだわる在日同胞にとって、その命と人権が脅かされようとしている現在、思想や理念の差異を超え、不信と対立を克服して和解することは、あまりにも当然であり、これ以上、引き延ばすことできない緊要な課題だ。

 六・一五共同宣言のもと、在日同胞社会が和解し団結を強めることは、祖国統一を促進し日本社会の反動化を阻止することにもつながるだろう。


 

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