<主張>6者協議の再開を歓迎する

<主張>6者協議の再開を歓迎する

 北朝鮮の核実験以降、唐家?・中国特使の米ロ訪問、ライス米国務長官の韓日中ロ歴訪、国連安保理の制裁決議、唐家?・国家主席特使をはじめ中国外交首脳陣の訪朝と金正日・国防委員長との会談など、あわただしい外交が展開された。

 特に注目されたのは、金国防委員長が中国特使との会談で「追加核実験については米国の対応を見守る」とする原則的な立場表明とともに、「金融制裁に関して完全な解除でなくても、何らかの改善に向けたメッセージがあれば六者協議に復帰する」との柔軟対応を示唆する発言であった。ボールは米国に投げられたのである。

 北朝鮮の核実験は国際社会を震かんさせたが、ブッシュ政権の対北政策が内外の厳しい批判にさらされている。

 クリントン政権と北朝鮮が合意した「核の廃棄と朝米関係の正常化」約束を一方的に破棄し、「北の核保有と戦争の危機」という今日の極限状況をもたらした最大の責任は、ブッシュ政権にある。

 発端は二〇〇二年九月の小泉首相の訪朝直後、朝日関係の進展に冷水を浴びせるようなタイミングで広報されたボルトン国務省次官による「北の高濃縮ウランによる核兵器開発疑惑」主張であった。十月に訪朝したケリー米特使の「疑惑の追及」に北側が激しく反発し、米側は北が「核疑惑」を是認したとして、「第二次核危機」が始まったのである。しかし、今回の核実験がプルトニウム型原爆であったことから、皮肉にも「ウラン型核兵器開発疑惑」は、米国のねつ造でなかったのかとの声すらあがっている。

 また、北朝鮮は昨年二月、核保有と核兵器の増産を宣言したにもかかわらず六者協議に復帰し、九月には「北の核廃棄と日米との関係正常化を『公約対公約』『行動対行動』の『同時行動原則』にもとづいて段階的に履行する」という共同声明を発表するに至った。しかし、六者協議の歴史的成果といえる共同声明を、まさに履行しようとする段階になって米側が唐突に持ち出したのが「北の紙幣偽造疑惑」であり、続く金融制裁だったのだ。

 ブッシュ政権の対北政策は、対話による外交的解決を主張しながら朝米の直接対話を拒否し、国際的圧力を加重して北朝鮮を屈服させるという、無視・圧迫政策といえるものだった。その目的が「核開発の阻止」よりは「体制の崩壊」にあることが事態をより複雑にし、一触即発の危機へと追い込んでいる根本要因である。

 ところが、体制が崩壊するどころか、核実験を成功させて核保有国であることを宣言し、結果的に北朝鮮が米国のアジアでの覇権を一層脅かすことになったことに、米国の保守層からも批判が起こり始めている。対話は報償でなく外交の手段なのだ。ブッシュ政権は北朝鮮のメッセージを真しに受け止め、直接対話に臨むべきだ。

 しかし一方で、ブッシュ政権は国連による制裁行動を強化しながら、日米韓の連携による北朝鮮に対する海上臨検行動という強硬政策の準備に奔走している。韓国まで加担して海上臨検が実施されることになれば、局地的軍事衝突は必至であり、これは周辺国を全面的戦争へと巻き込む極めて危険な策動といわざるをえない。

 十月三十一日、北京で朝米中協議が行われ、六者協議再開について合意された。対話による朝鮮半島の核問題の根本的解決を願う。


 

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