<主張>米国は朝米対話に応じるべき

<主張>米国は朝米対話に応じるべき

 9・11同時多発テロ事件から5周年を迎えた。この事件の前と後では、世界の状況は劇的と言えるほどに大きく変わった。旧ソ連と東欧の社会主義諸国が相次いで崩壊したあと、脱冷戦期と言われた90年代、人びとは冷戦に代わる世界秩序の構築に期待を寄せた。それは世界の国ぐにが互いに自主権と多様性を認定、尊重しあうことで世界の平和と繁栄が促進されるという新たな秩序になるはずだった。旧ソ連の崩壊後、唯一の超大国となった米国が、国際社会の平和的な秩序の構築と維持で果たすべき役割と責任もますます高まっていた。ところが、9・11後の米国の外交・軍事政策は、世界の人びとが求めていたものとは正反対で、逆に米国の独善的な政策のために世界に戦争と紛争がまん延することになり、混迷はいっそう深まっている。

 9・11の直後、「テロとの戦い」を主張するブッシュ政権は、アフガニスタンに一方的な軍事攻撃を展開するとともに、イラク、イラン、北朝鮮の三国を「悪の枢軸」と罵倒(ばとう)し、三国に対する先制攻撃の可能性を示唆した。実際にブッシュ政権は3年前、イラクを先制攻撃してフセイン政権を打倒する軍事侵略を現実のものとした。またイランと北朝鮮に対する米国の敵視政策は現在、一層強まっており、緊張が極度に高まっている。

 ブッシュ政権による9・11後の先制攻撃戦略によって、皮肉にもこれまで以上にテロ事件が頻発しているのが国際社会の現状だ。国際社会の悲劇と混迷の根本原因は、ブッシュ政権の戦争政策によって多くの国の自主権が乱暴に踏みにじられてきたことにある。また、ブッシュ政権が敵対国と決めつけた国家といっさい対話しないことも深刻な問題である。1ヶ月前にレバノンに対するイスラエルの侵略戦争が起こったが、ブッシュ政権はイスラエルの侵略行為をひたすら擁護した。この時もイスラエルの後見人であるブッシュ政権がイランはじめイスラエルに反対する国家や組織との対話をいっさい拒否したため、戦争が長引き多くの犠牲者を出した。

 北朝鮮に対するブッシュ政権の姿勢は転換されるべきだ。昨年9月19日、6者協議で朝鮮半島の核問題解決に向けたロードマップを定めた共同声明が採択されたにもかかわらず、その直後に米国が北朝鮮に対する金融制裁を実施したため、北朝鮮が反発して6者協議は暗礁にのり上げてしまった。事態がこう着し深刻化するなかで、北朝鮮は米国との直接対話による問題解決を重ねて求めているが、ブッシュ政権はそれに応じようとしない。

 われわれは、ブッシュ政権が朝鮮半島の核問題を解決するために韓国、中国、ロシア、日本との二国間対話はしても、なぜ当事者の北朝鮮とだけは直接対話を拒否するのか、極めて不思議に思う。ブッシュ政権が本当に平和を追求したいのなら、当事国との真しな対話を開始すべきではないか。

 国家間の問題は当事者同士の粘り強い対話と協議を通じてのみ解決できる。またそうしなければならない。戦争によっては何も解決しないことは、イラクやアフガニスタンの現状が雄弁に語っている。米国では11月に中間選挙を迎えるが、選挙を前後して米国の国際社会に対する姿勢と政策が根本的に転換されるよう、強く望みたい。


 

[HOME] [MENU]