読売新聞 3月26日付社説への抗議文

 北朝鮮への軍事行動を支持し、朝鮮半島の戦争の危機を煽る妄言に抗議する

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 韓統連は27日、 読売新聞が26日付の社説「盧武鉉政権―米韓同盟の修復はできるのか」で、盧武鉉政権が「北朝鮮の核問題で、対話による平和的解決のみを主張している」が、これは「軍事行動も含め、『あらゆる選択肢』を排除すべきではない、とする米国とは基本認識を異にする」ものであり、「北朝鮮の異常な体制を相手に対話だけで解決できると期待するのは、間違いだし、危険でもある」と主張したことに対して、「北朝鮮への軍事行動を支持し、朝鮮半島の戦争の危機を煽る妄言」だとして抗議文を発表。同日午後、ソン・セイル国際局長が読売新聞本社を訪ねて、楢崎広報部長に抗議文を手渡し、抗議の申し入れをした。楢崎部長は、「論説室に必ず伝達する」と答えた。以下は韓統連の抗議文と問題の社説である。

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読売新聞御中

北朝鮮への軍事行動を支持し、朝鮮半島の戦争の危機を煽る妄言に抗議する

 貴紙は三月二十六日の社説「盧武鉉政権―米韓同盟の修復はできるのか」で、盧武鉉政権が「北朝鮮の核問題で、対話による平和的解決のみを主張している」が、これは「軍事行動も含め、『あらゆる選択肢』を排除すべきではない、とする米国とは基本認識を異にする」ものであり、「北朝鮮の異常な体制を相手に対話だけで解決できると期待するのは、間違いだし、危険でもある」と主張した。

 これは、北朝鮮への軍事行動を支持し朝鮮半島の戦争の危機を煽る危険極まりない妄言であり、韓国国民を含め朝鮮半島に生きる我々同胞の生存権を軽視し、韓国政府の正当で自主的な外交政策に対する不当で露骨な干渉であって、決して容認できない。

 軍事境界線をはさんで膨大な軍事力が対峙し、常に一触即発の緊張状態にある朝鮮半島において、北朝鮮に対する軍事行動はただちに全面戦争に拡大する危険性を帯びていることは誰も否定できない事実である。韓国国内で、米国のイラク攻撃に反対する反戦運動が高まり、韓国軍の派遣に対しても激しい反対運動が展開されているのは、ブッシュ政権のイラク攻撃の論理がそのまま朝鮮半島に適用され、「イラク後」に米国による北朝鮮への先制攻撃が現実化するのではないかという危機意識を圧倒的多数の国民が持っているからである。あらゆる軍事的圧力に反対し平和的解決を主張する盧武鉉政権の主張は、国民の意志を代弁した正当なものである。

 ブッシュ政権は、「あらゆる選択肢」を排除すべきではないといいながら、実は朝米間の直接対話という最も合理的で解決可能な選択肢を徹底して排除している。北朝鮮は米国との対話を通して、核開発問題を含めた両国の懸案問題について一括解決が可能だと明らかにしている。にもかかわらず、対話を拒否して軍事的圧力によって屈服させようとする米国の一方的な姿勢こそ批判されるべきではないか。

 貴社説は、朝米枠組み合意を踏みにじってきた米国の対応についてはまったく言及せず、北朝鮮が国際社会にとって一方的な脅威であるかのように事実をわい曲している。また、米国の軍事戦略に基づく在韓米軍の再配置問題をブッシュ政権の盧武鉉政権に対する不快感の表明であるかのように記述していることも、まったく根拠のない主観的で感情的な表現だ。在韓米軍の一部撤収を含めた再配置問題は米国内で数年来検討されてきた問題であって、盧武鉉政権に対する「不快感」などで簡単に軍事政策を変更するなどありえないことはわかりきったことだ。

 イラクですでに多くの犠牲者が生まれており、世界中の世論が一日も早く戦争を終結させるよう念願しているこのときに、「イラク後」を見据えて、韓米日一体となって北朝鮮への軍事圧力を迫ろうとするこの社説は、時代の流れに逆行した危険なものだ。戦争に反対し平和的手段で解決を求めるよう訴えることこそ、社会の公器としての正論ではないのか。

 国際的な合意や世論を無視し独走するブッシュ政権の異常な戦争政策に無批判に追随し、軍事的圧力だけで解決できると期待するのは間違いだし、あまりにも危険だといわざるを得ない。貴紙が言論としての正道に立ち戻ることを切望する。

2003年3月27日

在日韓国民主統一連合

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<参考・読売新聞 03年3月26日付社説(2)>

[盧武鉉政権]「米韓同盟の修復はできるのか」

 韓国の盧武鉉政権は、北朝鮮にどう立ち向かうのか。

 北朝鮮が核武装化への危険な行動をエスカレートさせているとき、米韓同盟は、かつてない緊張関係の中にある。

 その米国との関係修復を、いかにして図るつもりなのか。

 盧武鉉政権は、イラク戦争では米国への支持を表明した。

 戦後復興をにらみ、六百人規模の建設工兵隊と、百人規模の医療部隊をイラクに派遣することも閣議で決めた。国会の同意を得た後、五月にも派兵する方針だという。

 盧大統領の支持層である若い世代には反米意識と反戦感情が根強い。その中で米国支持を打ち出したのは、対米同盟関係の修復を何としても図りたいという狙いがあるのだろう。北朝鮮への対応をめぐり、悪化した対米関係に苦慮した結果である。

 北朝鮮に対し宥和(ゆうわ)的な「太陽政策」を金大中前政権から継承した盧政権は、北朝鮮の核問題で、対話による平和的解決のみを主張している。

 軍事行動も含め、「あらゆる選択肢」を排除すべきではない、とする米国とは基本認識を異にする。

 しかし、北朝鮮の異常な体制を相手に対話だけで解決できると期待するのは、間違いだし、危険でもある。

 北朝鮮は、盧武鉉政権の発足直後、米朝枠組み合意を完全に破って、原子炉を再稼働させた。

 北朝鮮が、核兵器や弾道ミサイルの開発を続けていくのであれば、国際社会は毅然(きぜん)と対応しなければならない。

 ところが、北朝鮮の核開発に対する脅威認識が、日米と韓国では、まったく異なっている。

 このため、ブッシュ米政権は、盧政権への不快感を公然と示している。

 ラムズフェルド国防長官は最近、三万七千人の在韓米軍のうち、軍事境界線付近に展開する第二師団をソウル以南に後退させ、兵力の一部を米国に撤収させる意向を表明した。

 北朝鮮の攻撃を真っ先に受け止めるという在韓米軍の役割を、根本的に変更させる変化だ。在韓米軍の縮小につながる動きでもある。

 日本の安全保障構想にも抜本的な変更を迫ることになりかねない。

 北朝鮮の脅威削減を図る目的で、共同歩調を取っていくことが、これまで日米韓の共通認識だった。

 しかし、脅威の基本認識で一致できないのであれば、その発想も変えなければならない。

 (2003/3/26/09:23 読売新聞)