<参考資料>

朝鮮学校、中華学校、韓国学園などのアジア系民族学校に対する差別の助長に断固抗議し、

すべての外国人学校卒業生に国立大学受験資格を認めることを要請する(要請書)

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2003年3月10日

文部科学大臣  遠山 敦子 様

反差別国際運動日本委員会

朝鮮学校、中華学校、韓国学園などのアジア系民族学校に対する差別の助長に断固抗議し、すべての外国人学校卒業生に国立大学受験資格を認めることを要請する(要請書)

2003年3月6日に貴文部科学省は、「民間評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールの卒業生だけに大学受験資格を付与し、朝鮮学校などの残りの民族学校については今後の検討課題とし、従来通り認めない」方針を決め、中央教育審議会大学分科会でこれを正式に発表しました。反差別国際運動日本委員会は、今回の決定が朝鮮学校、中華学校、韓国学園などのアジア系の民族学校(以下、民族学校)に対する明らかな差別であり、それらの学校に通う子どもたちに対する差別の助長につながる判断であることを懸念し、すみやかに民族学校を含むすべての外国人学校の卒業生に国立大学の受験資格を認めることを強く要請します。

 今回決定された方針は、日本が批准・加入している国際人権規約や人種差別撤廃条約などの国際人権基準に明らかに反しています。そもそも今回の方針決定以前に、日本国内において朝鮮学校を含む民族学校の子どもたちが、高等教育機関へのアクセスについて不平等な取り扱いを受けていたことは、人種差別撤廃委員会や子どもの権利委員会などで懸念され、大学受験資格の承認など、差別撤廃のために適当な手段を講じるよう再三勧告されてきたところです。例えば、「国の教育課程に従うものであるときは、締約国が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認める」よう勧告されています(社会権規約委員会の日本政府報告書審査における最終所見/2001)。そういった状況にもかかわらず、各種学校の中で、インターナショナルスクールと民族学校の対応を分けるという行為は、それらの勧告を無視した「人種差別」であり、今回の決定の前提とされている「教育の国際化」の実現とは逆行していると言わねばなりません。

文部科学省幹部が「今は、朝鮮学校に資格を認めることに国民の理解が得にくい」と、朝鮮民主主義人民共和国との関係が今回の決定に影響したことを認めています(毎日新聞3/7)。大学受験資格という子どもの将来に大きく関わる大切な問題が、一時期の外交関係や政治情勢などによって、振り回されるべきではないと考えます。さらに、日朝首脳会談以降、民族学校に通う子どもたちに対する暴力などの嫌がらせが頻発している中で、さらなる差別を生みだしてはならないという観点からも今回の方針は早急に改められるべきです。

既に国連の人権条約実施諸機関の勧告(*2)などを受け、公立・私立大学の半数が大学独自に外国人学校卒業者の受験資格を認めているのに対し、依然として国立大学が認めていません。

以上のことを踏まえ、反差別国際運動日本委員会は、民族学校を含むすべての外国人学校卒業者に国立大学の受験資格を認めるため、学校教育法を見直すなどの適切な法的措置を早急にとることを求めます。そしてそれが実現されるまでは、少なくとも国立大学を今回のような方針で縛るのではなく、各大学の自主判断に委ねるよう方針が改められるよう要請します。人権教育・啓発に関する基本計画(2002年3月)の中で、貴文部科学省が示している「異文化を尊重する態度や異なる習慣・文化を持った人々と共に生きていく態度を育成するための教育の充実を図る」という方針を実現するとともに、教育の真の国際化を実現するためにも、その前提となる教育の機会提供における差別の撤廃を強く求めます。

 

*2 民族教育を受ける権利、民族学校の処遇に関する、国連人権条約機関による日本政府各報告書審査で出された最終勧告

(以下、すべて政府訳。外務省ホームページより抜粋。)

(人種差別撤廃委員会・2001)

16. 委員会は、韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別に懸念を有する。韓国・朝鮮人学校を含む外国人学校のマイノリティの学生が日本の大学へ入学するに際しての制度上の障害の幾つかを除去するための努力は払われているが、委員会は、特に、韓国語での学習が認められていないこと及び在日韓国・朝鮮人学生が高等教育へのアクセスについて不平等な取扱いを受けていることに懸念を有している。締約国に対し、韓国・朝鮮人を含むマイノリティに対する差別的取扱いを撤廃するために適切な措置をとることを勧告する。また、日本の公立学校においてマイノリティの言語での教育へのアクセスを確保するよう勧告する。

(子どもの権利委員会・1998)

13. 委員会は、差別の禁止(第2条)、児童の最善の利益(第3条)及び児童の意見の尊重(第12条)の一般原則が、とりわけアイヌの人々及び韓国・朝鮮人のような国民的、種族的少数者に属する児童、障害児、施設内の又は自由を奪われた児童及び嫡出でない子のように、特に弱者の範疇に属する児童の関連において、児童に関する立法政策及びプログラムに十分に取り入れられていないことを懸念する。委員会は、韓国・朝鮮出身の児童の高等教育施設への不平等なアクセス、及び、児童一般が、社会の全ての部分、特に学校制度において、参加する権利(第12条)を行使する際に経験する困難について特に懸念する。

(社会権規約委員会・2001)

13. 委員会は、日本社会において、少数者集団、とりわけ部落及び沖縄コミュニティー、先住性のあるアイヌの人々、並びに在日韓国・朝鮮の人々に対する、特に雇用、住宅及び教育の分野で法律上及び事実上の差別が存続していることに懸念を有する。

32. 委員会は、少数者の児童が、公立学校において、母国語による、自らの文化についての教育を享受する機会が極めて限られている事実について懸念を表明する。委員会は、少数者の学校−例えば在日韓国・朝鮮の人々の民族学校などが、たとえそれが国の教育課程に沿うものであっても、公的に認められず、それゆえ、中央政府の補助金も受けられず、大学入学試験受験資格も与えられない事実についても懸念を有する。

40. 締約国が現在、ウトロ地区に住む在日韓国・朝鮮の人々と協議中であるということに留意する一方、未解決の状況を考慮し、委員会は、締約国に対し、部落の人々、沖縄の人々、先住性のあるアイヌの人々を含む日本社会におけるすべての少数者集団に対する、法律上及び事実上の差別、特に雇用、住宅及び教育の分野における差別をなくすために、引き続き必要な措置をとることを勧告する。

60. 委員会は、かなりの数の言語的少数者の児童生徒が在籍している公立学校の公式な教育課程において母国語教育が導入されることを強く勧告する。さらに委員会は、それが国の教育課程に従うものであるときは、締約国が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認めることを勧告する。

(規約人権委員会の最終見解・1998)

13. 委員会は、朝鮮人学校の不認定を含む、日本国民ではない在日韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別の事例に懸念を有する。委員会は、第27条に関する委員会の一般的な性格を有する意見23(1994年)が、第27条による保護は国民に限定されないと述べていることについて、締約国の注意を喚起する。