<資料>朝米核問題に関連する基本文献

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核問題に関する共同声明(93年6月11日)

 

 朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)と米国の政府間協議が、1993年6月2日から11日まで、ニューヨークで行われた。会談には、北朝鮮政府を代表して姜錫柱第1外務次官を首席とする代表団、また米国政府を代表してロバート・ガルーチ国務次官補を首席とする代表団が出席した。

 双方は、協議で、朝鮮半島の核問題を根本的に解決することを目指して、政策的諸問題を討議し、核拡散防止の目的にかなう南北非核化共同宣言に対する支持を表明した。

 北朝鮮と米国は、次のような原則に合意した。

 ――核兵器を含め武力は使わず、このような武力による脅威も与えないことを保証する。

 ――全面的な保障措置(核査察)の公正な適用含め、朝鮮半島の非核化、平和と安全を保障し、お互いの主権を尊重して、内政には干渉しない。

 ――朝鮮の平和統一を支持する。

 以上の原則に準じ、北朝鮮・米国双方の政府は平等かつ公正な基礎にたって、対話を継続することに合意した。

 これと関連して、北朝鮮政府は、核拡散防止条約(NPT)からの脱退発効について、必要と認める限り、一方的に一時停止させることにした。

 

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朝米基本合意文(94年10月21日)

 

 朝鮮民主主義人民共和国政府代表団とアメリカ合衆国政府代表団は、1994年9月23日から10月21日までジュネーブで、朝鮮半島核問題の全面的解決に関する会談を行った。

 双方は、朝鮮半島の非核化、平和と安全を実現するために、1994年8月12日付朝米合意声明に明記された諸目標を達成し、1993年6月11日付朝米共同声明の諸原則を堅持することが持つ重要性を再確認した。

 朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、核問題の解決のために次のような行動措置を取ることを決定した。

 

一、    双方は、朝鮮民主主義人民共和国の黒鉛減速炉と諸関連施設を軽水炉発電所に交替するために協力する。

 

 1.アメリカ合衆国は1994年10月20日付アメリカ合衆国大統領の保証書簡に従い、2003年まで合わせて200万キロワット発電能力の軽水炉発電所を朝鮮民主主義人民共和国に提供するための諸措置を責任もって取る。

 ―アメリカ合衆国は、自己の主導下で朝鮮民主主義人民共和国に提供する軽水炉発電所の資金と諸設備を保障するための国際連合体を組織する。この国際連合体を代表するアメリカ合衆国は、軽水炉提供事業における朝鮮民主主義人民共和国の基本相手となる。

 ―アメリカ合衆国は連合体を代表し、この合意文が署名された日から6ヵ月以内に朝鮮民主主義人民共和国と軽水炉提供契約を締結するために最善を尽くす。契約を締結するための交渉はこの合意文が署名された後、できるだけ早い日時内に開始される。

 ―朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、必要に応じて核エネルギーの平和利用分野における双務的協力のための協定を締結する。

 2.アメリカ合衆国は、1994年10月20日付アメリカ合衆国大統領の保証書簡に沿って、連合体を代表し、1号軽水炉発電所が完工する時まで、朝鮮民主主義人民共和国の黒鉛減速炉と諸関連施設の凍結によるエネルギー損失を補償するための諸措置を取る。

 ―代用エネルギーは、熱および電気生産用重油で提供する。

 ―重油納入は、本合意文が署名された日から3ヵ月以内に開始、納入量は合意された計画に沿って毎年50万トンの水準に達するようにする。

 3.軽水炉提供と代用エネルギー保障に対するアメリカ合衆国の諸保証を得たうえで、朝鮮民主主義人民共和国は黒鉛減速炉と諸関連施設を凍結し、究極的には解体する。

 ―朝鮮民主主義人民共和国の黒鉛減速炉と諸関連施設に対する凍結は、本合意文が署名された日から1ヵ月以内に完全に実施する。この1ヵ月間とその後の凍結期間に、朝鮮民主主義人民共和国は国際原子力機関が凍結状態を監視するよう許容し、機関にこれに関する協力を十分に提供する。

 ―軽水炉対象が完全に実現された時、朝鮮民主主義人民共和国の黒鉛減速炉と諸関連施設は完全に解体される。

 軽水炉対象建設期間、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、5メガワット試験原子炉から出た廃燃料の安全な保管方途と、朝鮮民主主義人民共和国で再処理をせずに他に安全な方法で廃燃料を処分するための方途を探求するために協力する。

 4.朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、この合意文が署名された後、できるだけ早い日時内に2つの専門家協議を行う。

 ―1つの専門家協議では、代用エネルギーと関連する諸問題と、黒鉛減速炉計画を軽水炉対象に交替するうえで提起される諸問題を討議する。

 ―もう一方の専門家協議では、廃燃料の保管および最終処分のための具体的な諸措置を討議する。

 

 二、双方は政治および経済関係を完全に正常化するために努力する。

 

 1.双方は、この合意文が署名された後3ヵ月以内に、通信サービスと金融決済に対する制限措置などの解消を含めた貿易と投資の障壁を緩和する。

 2.双方は、専門家協議において領事およびその他の実務的問題が解決するにともない、相互の首都に連絡事務所を開設する。

 3.朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、相互の関心事となる問題の解決が進展するにともない、関係を大使級に昇格させる。

 

 三、双方は朝鮮半島の非核化、平和と安全のために共同で努力する。

 

 1.アメリカ合衆国は核兵器を使用せず、核兵器で威嚇もしないという公式保証を朝鮮民主主義人民共和国に与える。

 2.朝鮮民主主義人民共和国は、終始一貫して朝鮮半島の非核化に関する南北共同宣言を履行するための諸措置を進めるだろう。

 3.朝鮮民主主義人民共和国は、この基本合意によって対話を促す雰囲気が醸成されるにともない、南北対話を進めるだろう。

 

 四、双方は国際的な核拡散防止体系を強化するために共同で努力する。

 

 1.朝鮮民主主義人民共和国は核拡散防止条約の加盟国として残り、条約にともなう保障措置の履行を許容するだろう。

 2.軽水炉提供契約が締結されれば、凍結されない施設に対する朝鮮民主主義人民共和国と国際原子力機関との保障措置協定にもとづく通常・特定査察が再開される。

 契約が締結されるまでは、凍結されない諸施設に対する保障措置の連続性を保障するための国際原子力機関の査察が継続される。

 3.軽水炉対象の相当な部分が実現された後、そして主要核関連部品などが納入される前に、朝鮮民主主義人民共和国は国際原子力機関と自己の核物質冒頭報告書の正確性および完全性の検証と関連する協議を行い、それに従い機関が必要と認めるすべての措置を取ることを含む機関との保障措置協定(通報/403)を完全に履行する。

 

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朝米共同コミュニケ(2000年10月12日)

 

 朝鮮民主主義人民共和国国防委員会・金正日委員長の特使である国防委員会第一副委員長の趙明禄・朝鮮人民軍次帥が2000年10月9〜12日、米合衆国を訪問した。

 

 訪問期間、趙明禄特使は、金正日・国防委員会委員長が送る親書と、朝米関係に関する委員長の意思を、米合衆国クリントン大統領に直接伝えた。趙明禄特使と一行はオルブライト国務長官とコーエン国防長官をはじめ米行政府の高位官吏に会い、共通の関心事となる諸問題に対して幅広い意見交換を行った。双方は、朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国間の関係を全面的に改善できる新たな機会がもたらされたことについて深く検討した。すべての会談は、真しで建設的で実務的な雰囲気の中で行われ、この過程を通じ、互いの関心事についてよりよく理解できるようになった。

 

 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、歴史的な南北首脳の出会いによって朝鮮半島を取り巻く環境が変化したことについて認めながら、アジア太平洋地域の平和と安全を強化するために利益になるよう両国関係を根本的に改善する措置を取ることを決めた。

  これと関連して双方は、朝鮮半島で緊張状態を緩和し、1953年の停戦協定を強固な平和保障システムに転換して朝鮮戦争を公式に終息させるために、4者会談などの様々な方途があるということで見解を共にした。

 朝鮮民主主義人民共和国側と米合衆国側は、関係を改善することが国家間の関係で自然な目標となり、関係改善が21世紀の両国人民にとって共に利益になると同時に、朝鮮半島とアジア太平洋地域の平和と安全も保障することになると認め、双務関係で新たな方向を取る用意があると宣言した。初の重大措置として双方は、両政府とも他方に対して敵対的意思を持たないと宣言し、今後、過去の敵対感から脱した新たな関係を樹立するためにあらゆる努力を傾けるという公約を確言した。

 双方は、1993年6月11日付朝米共同声明に指摘され、1994年10月21日付基本合意文で再確認された諸原則に基づいて不信を解消し、相互信頼を構築し、重要関心事を建設的に扱っていける雰囲気を維持するために努力することで合意した。

 これと関連して双方は、両国間の関係が自主権に対する相互尊重と内政不干渉の原則に基づくべきだということを再確認し、双務的および多務的ルートを通じた外交的接触を正常に維持することが有益だということについて留意した。

 

 双方は、互恵的な経済協調と交流を発展させるために協力することで合意した。双方は、両国人民に有益で東北アジア全般での経済的協力を拡大するうえで有利な環境をもたらすために寄与する貿易および商業の可能性を探求するため、近いうちに経済貿易専門家らの相互訪問を実現させる問題について討議した。

 双方は、ミサイル問題の解決が朝米関係の根本的な改善とアジア太平洋地域での平和と安全に重要な寄与となるだろうとの見解を共にした。朝鮮は新たな関係構築のためのもう1つの努力として、ミサイル問題と関連した会談が続く間にはすべての長距離ミサイルを発射しないだろうと米国側に通報した。

 朝鮮民主主義人民共和国と米合衆国は、基本合意文に沿って自らの義務を完全に履行するための公約と努力を倍加させることを確約しながら、こうすることが、朝鮮半島の非核平和と安全を成し遂げるために重要だと固く確言した。

 このため、双方は基本合意文に沿った義務履行をより明白にすることについて見解を共にした。これと関連して双方は、金倉里地下施設に対する接近が米国の憂慮を解消するうえで有益だったということに留意した。

 

 双方は、近年、共通の関心事となっている人道主義分野での協力活動が始まったことについて留意した。朝鮮側は、米国側が食糧および医薬品支援分野で朝鮮の人道的需要を満たすうえで意義ある寄与をしたことについて謝意を表明した。米国側は、朝鮮が朝鮮戦争時に行方不明になった米軍兵士の遺骨を発掘するために協力してくれたことについて謝意を表明し、双方は、行方不明者の行方を可能な限り最大に調査、確認する作業を迅速に前進させるために努力することで合意した。双方は、以上の問題とその他の人道問題を討議するための接触を続けることで合意した。

 双方は2000年10月6日の共同声明に指摘されたように、テロに反対する国際的努力を支持、鼓舞することで合意した。

 

 趙明禄特使は、歴史的な南北首脳の出会いの結果をはじめ、最近の数ヵ月の間の南北対話状況について米国側に通報した。米国側は、現行の南北対話の継続的な前進と成果、また安保対話の強化を含めた南北間の和解と協力を強化するための諸提案の実現のため、あらゆる適切な方法で協力するとの確固とした公約を表明した。

 趙明禄特使は、クリントン大統領と米国人民が訪問期間、温かく歓待してくれたことに謝意を表した。

 朝鮮国防委員会の金正日委員長にクリントン大統領の意思を直接伝え、大統領の訪問を準備するためにオルブライト国務長官が近いうちに朝鮮を訪問することで合意した。

 

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「核問題」と関連した朝鮮外務省代弁人談話(02年10月25日)

 

合意順守しないのは米国

 新世紀に入り、朝鮮半島と東北アジア地域の情勢には新たな画期的な変化が起きている。

 北南、朝ロ、朝中、朝・日関係は新たな重要な時期を迎え、半世紀以上途切れていた北南鉄道の連結や、日本との過去の清算をはじめとする20世紀の古い遺物をなくすための大胆な措置が取られた。

 われわれは変化した現情勢とわれわれの具体的実情に合わせ、経済管理でも一連の新しい対策を講じ経済特区を設置するなど、経済活性化のための措置を引き続き講じている。

 こうした事態の発展はすべて、アジアと世界の平和に対する実践的寄与となる。

 したがって、米国を除く世界のほとんどの国々がこれを支持歓迎し、われわれはここから大きな鼓舞を得た。

 こうした中でわれわれは、米国とも敵対関係を根源的に解消し、平等な立場から懸案問題を解決できるであろうとの期待を抱き、先日米国大統領の特使を受け入れた。しかし、遺憾なことにわれわれは特使の訪問を通じ、われわれを力で圧殺し朝鮮半島と東北アジア地域での肯定的な情勢発展を逆転させようとのブッシュ行政府の敵対的企図が、絶頂に達していることを確認することになった。

 米国特使はなんの根拠資料もなしに、われわれが核兵器製造を目的に濃縮ウラニウム計画を推進し、朝米基本合意文を違反しているとの言いがかりをつけながら、それを中止しない限り朝米対話もなければ、とりわけ朝・日関係や北南関係も破局状態に陥るとした。

 あまりにも一方的で傲慢無礼な米国の態度には、驚きを禁じえなかった。

 しかし、こうした盗人猛々しい強盗の論理がわれわれに通じるだろうと考えたのならば、大きな誤算だ。

 朝鮮半島の核問題について言えば、およそ半世紀前から米国が世界制覇戦略に沿って対朝鮮敵対視政策を追求しながら、南朝鮮とその周辺地域に膨大な核兵器を備蓄し、小国であるわれわれを核兵器で脅迫してきたことから生まれた問題である。

 1994年10月、朝米基本合意文が採択されたが、米国はその履行問題についてはすでに発言する資格を喪失している。

 基本合意文の第1条に沿って、米国がわれわれに軽水炉発電所を2003年までに提供する代わりに、われわれは黒鉛減速炉とその関連施設を凍結することになっているが、われわれが核施設を凍結してから8年が経つこんにちまでも、軽水炉は基礎工事を終えたに過ぎない。

 これにより、われわれは軽水炉1号機が完工する計画であった2003年には年間100万キロワット、その翌年からは年間200万キロワットの電力損失だけを被ることになった。

 基本合意文第2条に沿って、双方は政治および経済関係を完全に正常化する方向に進むはずであったが、過去8年間、米国の対朝鮮敵対視政策と経済制裁は継続されており、こんにちに至ってはわれわれを「悪の枢軸」として攻撃するまでに及んだ。

 基本合意文第3条に沿って米国は、核兵器を使用せず核兵器による威嚇もしないという公式的な保証をわれわれに提供することになっていたが、米国はそうした保証提供の代わりに、われわれを核先制攻撃対象に含めた。

 基本合意文第4条と合意文に付属する非公開了解録第7項に沿って、われわれは軽水炉の「タービンと発電機を含む非核部分の納入」が完全に実現した後に核査察を受けることになっていたが、米国は当初から核査察を受けなければならないという一方的な論理を持ち出し、あたかもわれわれが合意文を違反しているかのように国際世論を誘導した。

 今回われわれはこのように非公開了解録を初めて公開しなければならなくなった。

 結局、基本合意文の4条項のうち米国が順守したものはひとつもない。

 米国が合意文を採択する時に履行の意思を持っていたのか、あるいはわれわれがそのうちに崩壊すると踏んでウソのサインをしたのかは米国だけが知っていることだ。

 

自主権、生存権 脅威の除去

 しかし、ブッシュ政府がわれわれを「悪の枢軸」と規定し核先制攻撃対象に含めたのは、われわれに対する明らかな宣戦布告であり、朝米共同声明と朝米基本合意文を完全に無効化したものだ。

 ブッシュ政府は、われわれに対する核先制攻撃を政策化することで、核拡散防止条約(NPT)の基本精神を踏みにじり、北南非核化共同宣言を白紙化した。

 ブッシュ政府の無謀な政治、経済、軍事的圧力策動により、われわれの生存権は史上最悪の脅威を受けており、朝鮮半島には深刻な事態が到来することになった。

 こうした状況下で、われわれが座視していると思えば、これほど単純な考えはないだろう。

 われわれは米大統領特使に、増大する米国の核圧殺脅威に対処し自主権と生存権を守るため、核兵器はもちろんそれ以上のものも持つことになるであろうことを明白に述べた。

 自主権を生命より大事にするわれわれにとって、米国の傲慢無礼な行動に対する答えとしてこれ以上妥当なものはない。

 われわれが武装解除しなければ攻撃するという米国に、なんら事実を解明する必要はなく、その義務はなおさらない。

 しかし、われわれは最大の雅量をもって、米国が第1にわれわれの自主権を認め、第2に不可侵を確約し、第3にわれわれの経済発展に障害をもたらさないという条件で、この問題を協商を通じて解決する用意があることを明らかにした。

 現在、米国と一部の追従勢力はわれわれが武装を解いた後に協商しようとの主張を展開しているが、これはとても非正常な論理である。

 われわれが丸腰になるなら何をもって対抗するというのか。

 それは結局、われわれに屈服しろということだ。

 屈服は死である。

 死を覚悟したものにかなう者はいない。

 これが、先軍政治を最後まで掲げようというわが軍隊と人民の信念であり、意志である。

 われわれの立場は終始一貫している。

 朝鮮半島に醸成された深刻な事態を打開するために、われわれは朝米間で不可侵条約を締結することが、核問題解決のための合理的かつ現実的な方途になると認める。

 米国が、不可侵条約を通じてわれわれに対する核不使用を含む不可侵を法的に確約するのであれば、われわれも米国の安保上の憂慮を解消する用意がある。

 小国であるわが国にとって、すべての問題解決方式の基準は、自主権と生存権に対する脅威の除去である。

 この基準を満たすためには協商の方法もありえるし抑止力の方法もありうるが、われわれはできる限り前者を望んでいる。