朝日首脳会談をどう見るか(参考資料集)

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ここに紹介する資料は、韓国のインターネットに掲載されたものです。韓統連の見解ではありませんが、韓国内の論調を参考資料として紹介します。

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統一ニュースに掲載された韓国民権研究所常任研究委員のチャン・チャンチュン氏のピョンヤン宣言の逐条解説です。(翻訳:韓統連中央宣伝局)

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(統一ニュース 09-18)

<寄稿>朝日ピョンヤン宣言解説

 

チャン・チャンチュン(韓国民権研究所常任研究委員)

 

 9月17朝日日の首脳は2回の首脳会談後、共同宣言に署名した。

 共同宣言の全文は次のとおり。

 

金正朝日鮮民主主義人民共和国国防委員長と小泉純一郎・日本国総理大臣は2002年9月17日、ピョンヤンで出会い会談を行った。

 両首脳は、朝日間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本的利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。

 1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾けることとし、そのために2002年10月中に朝日国交正常化交渉を再開することとした。

 双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、朝日間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。

 

2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明した。

 双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識のもと、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。

 双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。

 双方は、在朝日鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。

 

3.双方は、国際法を遵守(じゅんしゅ)し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、朝日が不正常な関係にあるなかで生じたこのような遺憾な問題が今後、再び生じることがないように適切な措置をとることを確認した。

 

4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。

 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。

 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。

 朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降もさらに延長していく意向を表明した。

 双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。

 

 朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長 金正日

日本国総理大臣 小泉純一郎

 2002年9月17日

 ピョンヤン

 

1.第 1項に対する解説

 

まず、「この宣言に示された精神及び基本原則」という表現が目を引く。 「(基本)精神」とは、「朝日間の不幸な過去を清算」することと、「懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立」することであり、「基本原則」とは「双方の基本的利益に合致」することが第1の原則で、「地域(北東アジア地域−筆者)の平和と安定に大きく寄与」することが第2の原則だ。

したがって第1項は、「(基本)精神と基本原則」に基づいて朝日関係を「国交正常化」することに「誠意をもって取り組む強い決意」を明らかにしたものだといえる。また朝日対話に臨む両国の「態度と姿勢」に対する合意だといってもよい。

 

2.第2項に対する解説

 

最も関心を引いた部分の1つである。とくに「村山談話」の水準で過去清算に言及するというのが日本の立場だったので、韓国でも相当な反発を買っていた。一見すると「村山談話」と同じ水準のように見える。「痛切な反省と心からの謝罪(おわび)の気持ちを表明」したというのがそれにあたる。しかし、今回の日本の謝罪は「村山談話」を越える意味がある。

それはまさに「日本」に対する言及だ。95年当時に村山総理は、「私は」と表現して、総理として日本の謝罪を表明したのではなく、1個人の立場にすぎなかった。もちろん「日本側」というのが「朝鮮を訪問した小泉と日本の官吏」を意味するのか、そうではなく日本政府、あるいは国家的実体としての日本を意味するのか、解釈の余地はあるが、明確に「小泉個人」の「謝罪」でないことだけは明らかだ。

 「謝罪」部分とともに、もうひとつ関心を集めたのが、「賠償か、経済協力か」の問題だった。第2項は「双方が適切と考える期間」に「経済協力を実施」することに合意し、経済協力の内容は国家的には「無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援」で構成され、民間経済活動の側面では「国際協力銀行等による融資、信用供与等」で構成される。

 このような合意には、北朝鮮側が日本側の立場を充分に考慮、あるいは配慮したものと見られる。もし北朝鮮がこれまで一貫して主張してきたように「謝罪・賠償」を主張したなら韓国、中国、フィリピンなど、すでに過去清算が行われた(ママ)諸国との関係のために、日本の立場が困難になり、関係正常化に対して日本が否定的に臨む可能性がある。

 北朝鮮としては「誠意をもって取り組む強い決意」を見せて、「あらゆる努力を傾ける」という小泉総理の転換的な態度を尊重して、内容的には大きな差がない「賠償」問題を、「経済協力方式」で解決する方向で日本に考慮、あるいは配慮したものだといえる。

 「1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則」に合意したことも同様の脈絡で理解できる。ただ、われわれが留意しなければならないのは、「1945年8月15日以前に生じた事由」だけに言及されており、「解放後の過去史」に対しては、何の言及もないという点だ。

 この問題はすなわち、解放後の「対朝鮮敵対政策」で「朝鮮人民に深刻な物質的、精神的被害をあたえた犯罪行為」まで「放棄」したのではないということだ。北朝鮮はこの間、一貫して植民地統治時代の犯罪のみならず、解放後の犯罪行為に対しても明確な態度を見せて来たことに照らして見ると、「解放後の過去史」は、いまだに解決すべき問題として残っているのだ。もちろん解放後の過去問題はすでに朝日首脳が「(基本)精神と原則」に合意をしたので、今後の「国交正常化会談」の過程で解決する可能性が高い。

 そうであるなら、植民地支配に対する「謝罪・賠償」問題は終結されたのか、という問題が残る。朝日政府間では解決されたと見なければならない。したがって、今後の「国交正常化会談」では、植民地支配に対する「謝罪・賠償」問題が会談の足かせにならないだろう。

 しかし、民間次元では厳然たる別問題だ。いまも南と北、そして過去に日本植民地支配を受けた多くの民間の被害者らが日本に謝罪・賠償を要求する闘いを展開しているように、アジア諸国の被害者らの「謝罪・賠償」を要求する闘いは継続されなければならず、また継続するだろう。

 

3. 第3項に対する解説

 

首脳会談の数日前、共同通信社社長との書面インタビューで金正日総書記が「朝日関係の不正常な関係が改善されれば、日本の人々が憂慮している安保問題のようなものも問題となりえないでしょう」と述べたが、第3項はまさにそのインタビュー内容とほぼ正確に一致している。

 「国際法を遵守(じゅんしゅ)」するという表現は、互いにそれぞれの体制を認定して尊重するという意味だ。これは第2項で表現されている「在朝日鮮人の地位に関する問題」に対する解決法でもある。過去とまったく同じように在朝日鮮人を差別したり弾圧するなら、これは「国際法に違反」することになるからだ。

 また第3項は、北朝鮮では「行方不明者問題」として、日本では「拉致問題」として争点となった事案に対する賢明な接近と解決法だといえる。すなわち、「遺憾な問題」として表現することで、北朝鮮は日本に、日本は北朝鮮に合意の余地をあたえたのである。

 またそれが本質上、「行方不明者」であろうが「拉致問題」であろうが、「今後、再び生じることがないように適切な措置をとることを確認」することで、朝日間の関係改善をさまたげるもうひとつの問題を解決したのである。

 このように敏感な事案に対して、朝日双方が賢明に解決できた背景は、まさに第1項で「(基本)精神と基本原則」に合意したからである。

 

4.第4項に対する解説

 

1、2、3項が「双方の基本的利益に合致する」項目だとするなら、第4項は「地域の平和と安定に大きく寄与」する項目だ。

 「この地域の関係各国」とは韓国と中国、ロシア、米国をさしている。また「この地域の関係国間の関係が正常化」されるということは「朝米正常化」を意味する

したがって朝日、朝米関係が正常化されるにつれて「地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備」するということであり、その「枠組み」は2000年の朝米共同コミュニケに明示されている4者会談や日本が主張する6者会談(4者会談+ロシア、日本)のようなものになるだろう。

核問題と関連して「国際的合意」は国際原子力機関(IAEA)の安全措置協定、核拡散禁止條約(NPT条約)、 94年の朝米ジュネーブ基本合意書だ。朝日双方がこのような「国際的合意」を遵守するということは、次のような2つの意味を持つ。

 第1に、北朝鮮がジュネーブ基本合意書履行の意志を再度宣言したことだ。

第2に、日本もまたジュネーブ基本合意書の「軽水炉提供のためのコンソーシアム」である朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の理事国として、その責任を果たすことを宣言したのである。

 したがって、このような合意は朝米間で尖鋭な対立を見せている核査察優先(米国の主張)、電力損失補償優先(北朝鮮の主張)の問題を対話を通じて解決することに合意したのであり、これは核査察の強要を通して北朝鮮を圧迫し、有利な立場で核会談を行おうとした米国の意図が破たんしたことを意味する。米国は小泉総理が朝日首脳会談で核査察を要求することを何度も明らかにしたことがある。

 北朝鮮が「ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降もさらに延長していく意向を表明」したことは、米国にとっては深刻な圧迫となるだろう。「延長を表明」したのではなく「延長していく意向を表明」したことは、今後朝米間のミサイル会談進ちょく結果によって、「延長できる」との余地を残すことと同時に、「こちらはすでにこのように充分な解決意思を示したので、次は米国の番だ」という北朝鮮の米国への圧迫でもある。

 また、このような北朝鮮の立場に日本の小泉総理が署名したということは、日本も北朝鮮のミサイル政策を「認定」したことになる。これは50年を超えて維持されてきた米日同盟構図において、日本が脱皮していることを意味するものとして、米国にとっては最悪の状況として認識されるだろう。

 第4項中間にある「核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認」したという部分も、北朝鮮の対話意志を日本が確認したもので、米国の対北敵対政策、ひいては対北強硬政策に深刻な打撃となるだろう。

 

5.総評−今回の「ピョンヤン宣言」は、「第2のモスクワ宣言」であり「北東アジア平和宣言」である

 

端的に今回の朝日首脳会談と「ピョンヤン宣言」は、昨年の朝ロ首脳会談と「モスクワ宣言」と同様に、とてつもない情勢破壊力を持っているといえ、北東アジアと朝鮮半島の情勢を北朝鮮が確固として主導しているといえことを見せつける宣言だといえる。

 また「ピョンヤン宣言」は、この間、北東アジアで敵対関係を維持した2つの国が「(基本)精神と基本原則」にしたがって「国交正常化」の道に進むことに合意し、朝鮮半島ひいては北東アジアの平和を保障する「平和宣言」だということができる。

 

6.情勢展望と課題

 

@朝日関係正常化が加速化するだろう

朝日関係正常化をさまたげてきた「植民地支配の謝罪・賠償」問題、「行方不明者(拉致)」問題、「核とミサイル」問題などに関する解決策が合意され、朝日関係の正常化をさまたげてきた最大の足かせが除去された、と見ることができる。また朝日関係正常化の「(基本)精神と基本原則」に対する両首脳間の合意も朝日関係正常化を促進させる作用をするだろう。

朝日関係の正常化が、これ以上の停滞や後退なく「ピョンヤン宣言」にしたがって進行されるようにするためには、南と北の大団結が非常に重要だ。南と北が大団結して民族自主の立場を確固として、民族的力量を不断に強化し、日本国内の軍国主義者らの対北敵対行為と朝鮮半島分裂行為に立ち向かってこそ、朝日関係正常化を促進できる。

 

A米国は北朝鮮との関係で対話か戦争かの極端な選択を迫られることになった

 関係国のなかで、唯一北朝鮮との対話が断絶されている国がまさに米国だ。また米国は先に分析したように、日本総理の北朝鮮訪問を通じて得ようとした目的を1つも果たせず、むしろ日本が北朝鮮の立場を「確認」してくれる状況になってしまった。

 米国は日本の小泉総理が、「米国の電力損失補償優先論」ではなく、「朝鮮の核査察優先論」を展開することを期待したが霧散し、日本の小泉総理が北朝鮮のミサイル開発など大量破壊兵器の拡散に対して国際世論を喚起することを期待したがそれも崩れた。

 「モスクワ宣言」に合意したロシアとは異なり、日本は半世紀を超える米国との同盟関係を維持して来たという点で、朝日「ピョンヤン宣言」は、「モスクワ宣言」より一層大きいな衝撃として米国に認識されるだろう。

 すでに米国は両極端の選択に直面することになった。北朝鮮で核とミサイル問題に対する平和的解決の原則を提示し、それを日本が認めた以上、大量破壊兵器開発を口実にした「北朝鮮脅威論」や「悪の枢軸としての北朝鮮」との発言がますます通じなくなった。

 米国の政策決定者らは、「対北対話派」と「対北強硬派」とに鮮明に分かれ、対北政策と朝鮮半島政策を樹立するうえで深刻な分裂様相を見せ、国際社会は対話を通じて問題を解決せよと、米国の政策決定者を圧迫するようになるだろう。このような状況は、米国に対話で解決するのか、戦争で解決するのか、という極端な選択を強要ことになるだろう。

 米国が戦争を放棄して対話による解決の方向に進むよう、民族自主力量を確固として構築することが切実に要求されており、このための国際的連帯もまた、より重要な課題として提起されている。

 

B朝鮮半島の分断体制を崩す有利な契機になるだろう

 朝日関係の正常で国交が樹立されると、「大韓民国を唯一の合法政府」とした「韓日基本条約」の修正は不可避となる。これはただちに、「大韓民国の領土は、朝鮮半島とその付属島嶼(しょ)とする」との韓国憲法の領土条項まで影響を与えることとなり、統一時代にふさわしい憲法改正論議のスタートとなろう。

 また、憲法上の領土条項は、朝鮮民主主義人民共和国という明確な国家実態を「反国家団体」と規定した国家保安法の不合理性につながり、国家保安法の改定または、廃止にはずみがつくことになる。

 このような全般的な過程は、50年を超えて堅固な城壁のように存在してきた分断体制を崩し、統一の体制へと進む過程へとつながるだろう。

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統一ニュースに掲載された統一問題専門家・金南植氏の朝日首脳会談の分析です。(翻訳:韓統連中央宣伝局)

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(統一ニュース 2002-09-27)

<寄稿>朝日ピョンヤン宣言、どう見るべきか

金南植(統一ニュース常任顧問)

すでに報道されたように、朝日関係は新しい歴史的転機を迎えるようになった。9月17日、日本の小泉総理のピョンヤン訪問と金正日総書記との首脳会談、そして2人の首脳名義で発表された「ピョンヤン宣言」は、朝日間の関係だけではなく、朝鮮半島をめぐる北東アジアの新しい国際秩序を予想させる政治的な大事件と見ることができる。ある側面では、2000年6・15南北共同宣言に次ぐ事件と評価できるかもしれない。

まず、日本が急がねばならなかった立場を知らねば

このような大事変的な意味を持つ小泉総理のピョンヤン訪問と首脳会談、そしてピョンヤン宣言に対して国連をはじめとする国際社会は、朝鮮半島および北東アジア地域の平和と安保に対する記念碑的な貢献だと評価した。韓国と日本でもそれを肯定的に評価したし、韓国政府はもちろん日本国民もそれを支持・歓迎し、小泉総理の支持率が急上昇するきっかけとなっている。

ところが、このような朝日関係の肯定的変化に対して、とくに4項目のピョンヤン宣言に対する評価において、望ましくない視角と観点がさまざまな媒体を通じて現われている。そのような現象の中で、日本総理がどうしてこの時点でピョンヤンまで出かけて首脳会談を通した国交正常化のためのピョンヤン宣言を採択しなければならなかったのか、という日本側の立場には、大きな関心を向けられていないのが支配的だ。

 あたかも北朝鮮が米国との関係、そして国内の経済事情などの要因によって性急に会談を開こうとしたとの視角で、ピョンヤン宣言に盛り込まれた内容が日本側の要求を全面的に受容することで、結果的に北朝鮮は従来の立場から大きく譲歩したと見ている。

 ところが、ピョンヤン宣言に対する正しい理解のためには、なによりもまず日本が急がなければならなかった立場が理解されなければならない。すなわち小泉総理がピョンヤン訪問という積極性を発揮した背景と、日本の国益が何なのかをまず理解しなければならないのである。

 まず指摘したいのは、日本が第2次大戦の終結という戦後処理問題の最後の歴史的課題を解決しなければならないという点だ。戦後半世紀が過ぎたのに戦後処理問題がいまだに完結されていないのは、日本としては非常に恥かしい外交的課題である。

それで冷戦時代が解消された90年代に入り、遅ればせながら日本は北朝鮮との正常化を試みたが、朝米関係の悪化と米国の対北政策の同伴者としての役割を果たさなければならなかったために成功しなかった。したがって、十数年間の遅々とした朝日関係に対して小泉総理は、これ以上このような外交的課題を延ばすことができないし、それによる政治的負担を1日も早く解決するという考えを持ったはずだ。

 第2に、日本はだれもが公認する経済大国である。しかし、それに見合う政治的位相は非常に低い位置に置かれている。日本としてはこのような乖(かい)離現象を1日も早く乗り越えて、国際社会でいわゆる政治大国としての影響力を行使したいというのは、当然の要求だと見られる。そのひとつの例として、国連の安全保障理事会への進出をあげることができる。だから戦後処理問題の完結は、日本の重要な外交的課題に他ならない。

 第3に、朝鮮半島問題をはじめとする北東アジアの安全保障問題において、自身の国益から発する日本独自の発言権と影響力行使をあげることができる。とくに日本は朝鮮半島の統一と安保問題に独自の影響力行使ができない状態だ。 90年代後半、朝鮮半島問題においては南と北、米国と中国という4者会談方式で平和問題を解決しようとする努力があった。このような4者会談に対して、ロシアと日本は自分らが排除されたことに内心不満を抱き、ことあるごとに6者会談を主張した。

 最近の北東アジア安保問題で6者会談が重要な問題として浮上

ところで日本が6者会談の構成員になるためには、北朝鮮との関係改善が前提になる。日本はこの間、対北政策において独自的な立場を取るより、米国が主導する韓米日3者共助という枠組みにとどまる水準で満足するほかなく、とくに北東アジアの安全保障問題においては、独自の主張ができなかった。

北朝鮮の場合、以前の4者会談を通じて朝鮮半島の平和問題を解決しようとしたが、何の成果も収めることができなかった。北朝鮮はロシアとの関係がここ数年間で新たな発展を遂げている状況下で、ロシアの6者会談要求を受容することができるし、ロシアとともに日本との関係改善が実現すれば、日本も参加させる新しい多者会談の枠組みを形成することに反対せず、ある面ではそれを望ましいこととして受け入れることも予想される。これは米国の一方主義的な軍事的圧力と干渉をけん制するためにも必要なことだからだ。

ところで6者会談が円満に運営されるためには、日本だけでなく、米国も北朝鮮との関係改善が前提されなければならない。これはまったく不可能なことではなく、朝米間の会談が成果的に進行すれば朝米基本合意書で合意した内容どおりの関係正常化も予想することができる。

 第4に、北朝鮮が自衛的な国防力の強化と国際社会での位相が非常に高まるにつれて、日本は相対的に北朝鮮との関係改善の必要性を切実に感じるようになったと見られる。90年代の米国による対北朝鮮孤立と圧殺政策は、北朝鮮の崩壊を目的としたものだった。日本はそれに同調したが、それによって朝日関係は悪化の一途をたどった。

 しかし、北朝鮮の中距離ミサイル打ち上げ実験と多段階ロケットの試験発射の成功は、北朝鮮の自衛的国防力が相当な水準に達したことを示すものだったし、日本としては安保上の大きな憂慮を持たざるを得なかった。そして金正日総書記が新しい政治方式として創造した先軍政治は、自衛的国防力をいっそう高める結果をもたらした。

これとともに2000年6・15共同宣言以後、南北関係は和解と協力、そして南北民族の大団結という方向で急速に発展するようになったし、事実上、南北間の戦争はないとの社会的雰囲気が造成された。これらが反映して国際社会は、北朝鮮との修交を急ぐようになり、イギリス、カナダ、イタリア、ドイツなど先進国が先を争って北朝鮮と国交正常化を果たして相互協力関係へと発展するのに至った。このように国際社会において北朝鮮の政治軍事的位相が高くなったことが、小泉総理のピョンヤン訪問を導いた重要な与件のひとつだった。

第5に、北朝鮮は90年代後半期から「苦難の行軍」、強行軍という厳しい時期を乗り越えて99年から「強盛大国」建設に入り、経済強国という歴史的課題を解決するために経済管理方式を「実利保障」の方向へと改善しながら、これに総力を傾けている。最近では自立経済を基本とする自主的開放を大胆に展開している状況だ。

 東北地域はロシアの極東地域と連結させる開発方式、例えば朝鮮半島縦断鉄道(TKR)とシベリア横断鉄道(TSR)との連結のような、長期的で展望性のある開発計画を推進しているし、ここには金剛山観光と元山−咸興を経由して七宝山観光事業を、またこの地域の重工業をはじめとする北部工業基地の発展、そして西部地域の場合、新義州を特別行政区に設定して、資本主義方式で大胆な開放的経済開発を推進し、南部地域の場合、開城を中心にした軽工業団地の造成、その他にEUをはじめとする東南アジア諸国との選別的分野別経済協力などを推進している。

日本の「脱米化」を通した「普通の国家」への試み

このように北朝鮮が意慾的な経済開発を推進することと関連して、日本としては北朝鮮経済開発に積極的な参加を望んでいると見ることができる。このような経済開発への参加は、政治的関係の改善なしには不可能なので、北朝鮮との政治関係の改善を急いでいるのである。とくに日本は経済的に非常に困難な状況に置かれており、北朝鮮経済建設への参加は、日本の経済沈滞を脱する1つの突破口の役割を果たすはずだ。

 第6に、日本は先に指摘したように、経済大国であることに比して政治・軍事的には米国の影響下から脱することができない。米国の従属変数として独自の外交権行使と軍事権行使ができない状態だ。そして米国に軍事基地を提供しているという点で「基地国家」との汚名を免れない。そのため日本の世論は「正常国家」、「普通の国家」へ様変わりしなければならないとの声が大きいのだ。このような流れはかなり以前からあったし、ここ数年間で急激に高まっている。このような現象に対して近隣諸国は保守化または右傾化、国家主義化などと憂慮しており、一角では軍国主義の復活と批判している。

しかし、このような国家主義化は、反米ではなく脱米的な性向と見ることができるようだ。小泉総理はこのような日本の保守化または国家主義化、脱米化の流れに乗っており、それを代表する人物と見ることができるようだ。こうした側面から見ると、小泉総理のピョンヤン訪問は、米国との事前合意なしに行われた独自の政治行為と見られる。ところで小泉総理がピョンヤン訪問をするまでに1年という期間を必要とし、この期間に北朝鮮との非公式接触を行ってきたことがわかっている。

小泉総理がピョンヤン訪問をこの時期(9月17日)にしたのは、米国が対イラク戦争を敢行しようとすることと関連があるだろう。米国が世界第1の軍事強国であることは疑いないが、その軍事力には限界がある。したがって米国が対イラク戦準備に集中する時には朝鮮半島への軍事的関心がそれるほかない。

 これは米国の基本戦略である「Win & Hold」戦略が、今日の中東と朝鮮半島にそのまま適用されているとも見ることができる。小泉総理は正しくこのような状況を感知して、米国との事前協議なしにピョンヤン訪問という政治的決断を下したと見られる。要するに米国の影響圏から脱して、日本みずからの国益を追求するために、小泉総理は最初から独自行動をしたと見られる。

 本来首脳会談とは、双方にとって重大な国益と係わる問題を解決するための最高位級会談だ。とくに双方が敵対関係、あるいは深い葛藤関係にあるなかでの首脳会談は、双方の国益が満たされる時にだけ可能で、これには政治的決断が必要である。そして首脳会談で合意された内容は、必ず実践しなければならない政治的負担が、どんなレベルの会談よりも大きいのである。

 このような意味において、ピョンヤン宣言は突発的で大きな変数がない限り実現すると見なければならないだろう。とくにピョンヤン宣言では、これまで足かせになっていた植民地清算問題といわゆる日本人拉致問題に対して、互いに納得に値する立場表明と、それに対する合意を導き出したので、今後の国交正常化会談ではとくに障害要因として作用しないものと展望される。

「ピョンヤン宣言」は文章よりも内容がどのように実践されるのかがより重要

 以上のように、朝日ピョンヤン宣言が出されたことは、双方の国家利益の要求から始まったとはいえ、さまざまな状況から見て、日本側がより積極性を帯びていた事実を見出すことができる。したがって北朝鮮としては、朝日関係改善に関する従来の立場から譲歩、または後退する理由がない。もちろん会談とは相互間の「give & take」が慣例になっているが、北朝鮮はこの間の朝米交渉やその他の交渉過程で原則を守って来たという点に注目する必要がある。

 よってピョンヤン宣言の文句だけで性急に評価するのは、本質を歪曲することになりかねない。ピョンヤン宣言はどこまでも政治宣言だ。そのため、さまざまな状況、たとえば相手の立場を考慮して発表する。ピョンヤン宣言に盛られた合意内容がどのように実践されるのかに関心を向けなければならないと考える。そして朝鮮半島の周辺環境がどう肯定的に変化していくかに注目しなければならない。

 次に、ここで強調しなければならない点は、北朝鮮の立場だ。周知のように朝鮮半島問題は、北朝鮮を一方とし、韓米日3者を他方する矛盾関係だ。韓米日3者は、米国が主導する3者だ。そのため対北政策を推進するにあたって、これまで韓米日共助という枠内で進行されて来たのである。

  ところで、6・15共同宣言による南北政府間会談が進行されおり、一方で小泉総理と金正日総書記との首脳会談、そしてピョンヤン宣言は、朝日関係の矛盾関係を乗り越える1つの転換点になり、したがって韓米日3者共助体制は、その内容において従来のそれとは根本的な変化をもたらされている。

 9月22日の第4回ASEM会議で韓日両首脳は、米国が北朝鮮と対話を通じてすべての問題を解決して行くよう互いに努力すると合意したが、これはこのような点を証明している。また翌23日に開かれたASEM会議で26か国の首脳は、「米国と北朝鮮の対話再開の展望が継続的に改善することを希望」するとの対米圧迫的な「朝鮮半島平和のための政治宣言」を採択した。

 (*9月25日、ブッシュ大統領はキム・デジュン大統領に電話をかけて早いうちに特使をピョンヤンに行かせるという内容を伝逹した。そして米国務省はニューヨークで北朝鮮との実務接触が頻繁に進行されていると発表した。引き続き26日、ホワイトハウスはジェイムズ・ケリー米国務省東アジア太平洋担当次官補が10月3日、朝米高位級会談を再開するために北朝鮮を訪問すると発表した。)

 朝日関係改善は日米軍事同盟にも大きな影響を与える

 一方、朝日関係の改善は日米軍事同盟に大きな影響を与えざるを得ない。日米軍事同盟は、北東アジアをはじめとするアジア地域に対する米国の軍事的支配の基本軸だ。そのような同盟体制の一方が北朝鮮との関係改善を急ぎ、北東アジア地域に対する安保問題で互いに協力するということは、日米軍事同盟が追求する目的に大きな障害をもたらすほかない。日米軍事同盟は北朝鮮の軍事的脅威を阻止するということに重要な目的があり、したがって朝日関係の改善は、日米軍事同盟の強化・維持の名分を大きく喪失させる結果をもたらすのである。

このように対北政策を調整する韓米日3者共助体制の質的変化、また日米軍事同盟の名分弱化などは、朝鮮半島の統一において重要な内的、外的な力学的変化をもたらすと考えられる。たとえば3者共助体制において、対北政策に関する従来の米国主導の強硬な立場は取ることができないし、日米軍事同盟で北朝鮮を従来のような攻撃対象とのみ規定するのは困難になるだろう。また朝日間の関係改善は、駐韓米軍の駐屯名分とその役割にも変化の要因として作用することが明らかだ。

朝鮮総連の地位も向上することで彼らの政治生活の境遇も大きく改善し、さらには朝鮮半島統一に寄与する幅が拡がるという点は再論の余地がない。このように朝日修交問題を単純に北朝鮮と日本との過去清算を通した関係改善問題とだけ見ずに、民族の歴史的課題である統一問題に主眼点を置いて見なければならず、とくに統一の外的環境、そのうちでも朝米関係において米国をして対話の方法で解決するしかないようにしたのである。

 小貧大失という古語がある。一角ではピョンヤン宣言の内容で北朝鮮があまりに譲歩したと評価しているが、このような主張が前述した古語に符合しないか深く考える必要がある。金正日総書記と小泉総理の共同名義で発表されたピョンヤン宣言は、先に指摘したとおり、民族史的な課題である統一問題を解決するための金正日総書記の高度な戦略的判断と「より大きな政治」から始まったものだといえる。

 

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統一連帯のホームページに掲載されたカン・ジョング(東国大学社会学科)教授の朝日首脳会談に関する分析です。(翻訳:韓統連中央宣伝局) 

 

朝日首脳会談に対する正しい歴史的評価

 

カン・ジョング(東国大学校社会学科教授)

 

歴史的な朝日首脳会談がついに開かれた。予想されたように、幅広く非常に破格的、安堵のため息がもれる、あるいは、残念で非常に失望させ憂慮させる、怒りをもたらす会談――など多様な評価が現われた。

まず極端な反民族的反応は、2大主流新聞(東亜日報、朝鮮日報)と1つの巨大政党(ハンナラ党)だ。彼らは最初から会談自体には関心を持っておらず、自分らの取り分にだけ目を光らせ、ひたすら彼らに付与された民族史的責務は放棄している。彼らは過去清算や賠償などの歴史的な問題や、朝鮮半島平和に関わる民族史的懸案には徹底して顔をそむけたまま、新聞のトップ記事を日本人拉致問題にだけあてて「北朝鮮悪魔論」と「キム・デジュン政権のあら捜し」で一貫している。暗うつな冷戦および開発独裁時代もそうだったし、また日本植民地時代の暗黒期にも彼らはそうだった。

日本人拉致問題は、日本人にとって重要で必ず根本的に解決されなければならない問題に他ならない。これと同じように過去の日本植民支配下で、数十万ないし数百万の朝鮮人が慰安婦、報国隊、徴兵、不逞(てい)鮮人、予備検束などの名目で日本帝国主義によって強制拉致され、それによって幾多の死と廃家亡身した朝鮮人拉致問題も、過去清算の次元で必ず解決されなければならない問題に他ならない。しかし、日本人の問題にそのように死を覚悟した決断する日本人が、どうして数万倍に逹する朝鮮人拉致問題はそっぽを向くか?それでも人類社会の正常な一員と言えるか?こうした非正常的な日本人より一層日本人らしい姿を見せる被害当事者の朝鮮人がいる。彼らは正しく、韓国の主流2大新聞と主流政党だ。あたかもパク・チョンヒが日本人より一層日本人らしい朝鮮人として、皇軍の中の皇軍だったという話と同じだ。

憤怒する一団は被拉北家族問題らにも現われている。北朝鮮が日本人拉致問題には前向きに対処しながら、なぜ拉北者問題には微温的に対処するか?また日本と比べてキム・デジュン政府が北朝鮮に対して「弱腰交渉ばかりするか」と送還問題を持ち出してくる。そして主流言論と政治勢力がここに加勢する。

しかし、彼らが拉北者問題を正しく解決しようとするなら、当然、拉南者問題を取り上げなければならない。南側もこの拉南の事実を認めて、彼らを北へ送還し、同時に北も送還しなければならないと主張すべきである。どうして自分たちの苦痛だけが苦痛で、北朝鮮の被拉南家族の苦痛には顔をそむけるのか?また、こんなやり方でこの問題を正しく解決できると思うのか?家族の場合には、このように公平な視角で問題を見られないかもしれない。しかし、マスコミや政党がこうした問題を知っていながら扇動するのは、家族の苦痛受け入れて問題解決をはかるよりは、これを悪用して自分たちの私利私欲を満たそうとする下心のためだ。彼らの黒い野心を分断と戦争の犠牲者である家族が正しく理解しているのかどうか、実に嘆かわしい。

何か悔しくて失望したからと「北朝鮮よ、お前もか」との反応が現われる。そうだ。なにしろパク・チョンヒとキム・ジョンピルが乱闘劇を演じた韓日協定が成立し、韓国と日本の間での正しい過去清算がなされなかった状況において、北朝鮮は徹底的に真の謝罪と賠償などの原則を守って来た。そのために朝日協定でこの過去清算に始末をつけることを待ちこがれ、期待して来た。しかし、現実は切なくも韓日協定の水準を少し上回る程度のように見える。だからため息が出ても仕方ないだろう。

そうだからといって、われわれは朝日修交と関係正常化をやめて原点に復帰せよと自信をもって主張できるか?一抹のさみしさと背信感にまみれてパク・チョンヒとキム・ジョンイルに対して、まったく同じように両非論で一貫きるのか?残念ではあるが、総体的な構図の中で朝日会談を理解しなければならないだろう。そして共通の責任を痛感すればこそ、これから正しい歴史の建て直しを創出していけるだろう。

やはり、破格的で安堵ため息をついた首脳会談だった、と見るのが、総体的で正しい評価だろう。何より首脳会談は個別的な単一の事件では決してない。破格的な新義州経済特区、京義線と東海線の復元着工と休戦線の鉄柵の部分的な解体、 6・15共同宣言局面への南北関係の完全復元、ASEMの朝鮮半島平和宣言、韓日首脳の朝米対話促求宣言、「鉄のシルクロード」出発など、一連の総体的構図の中で首脳会談は開催された。首脳会談は単独ではなく、これらの総体構図の中で作られたのだ。だれが作ったのか?

まず、北朝鮮は2つの危機に直面している。1つは短期的な生存権で、他の1つは長期的な生存権だ。短期的な生存権は最近、イギリスの世論調査で世界で最も危険な人物の第2位を占めたブッシュの支配する米国が、北朝鮮を「第2のイラク化」する戦争策動だ。

イラクの次の打撃対象として北朝鮮を選定する「悪の枢軸」規定、先制攻撃の0順位として北朝鮮を名指した核態勢秘密報告書(NPR)、和解・協力政策の平和優先主義を拒絶した「米議会朝鮮半島報告書」、最近秘密が明らかにされた98年のクムチャンリ核危機当時に核爆弾の一種のBDU−38を搭載して実施した対北模擬核戦争演習、再度北朝鮮の第2のイラク化と米国単独の先制攻撃を明示したブッシュドクトリン、ラムズフェルド国防長官による北朝鮮の核兵器保有を既定事実化する詐欺劇の演出などは、北朝鮮の生存権と運命共同体に他ならない韓国の生存権を同時に脅かす。

ここに西海交戦以後、「これからは北の艦艇のNLL侵犯の兆しが見えたら海軍のみならず、空軍戦力、ペックリョン島とヨンピョン島にある地上軍戦力が合同で対応する」とし、「空軍戦闘機の哨戒飛行範囲もNLL付近へ拡大する」と明らかにし、偶発的でささいな衝突でも陸海空合同作戦という全面戦争を想定した韓国軍部の好戦性と、これを全面的に扇動する主流言論と政党勢力の戦争病に直面している。

これらの動きを見ながら戦争の脅威に備えないなら、その指導者は94年に戦争危機を放置しながら1時間遅れたら民族が共倒れする戦争に突入する構図を作ったキム・ヨンサムと何ら変わらないだろう。まさに直接的な被害当事者の責任者である南北の指導部が立ち上がるほかなかった。米国のお先棒だけを担いできた日本も、第2の被害当事者になるほかなく、ロシアや中国も第3、4の被害者となる。

まさにここから北東アジア5か国は合奏曲を演奏するしかなかったし、北東アジアの地殻変動の種子が振りまかれた。こうして南と北は民族共同体で、北東アジアは安保と経済協力体として力を合わすことがができるようになる。南北縦断鉄道が開通してシベリアと中国の東北3省が朝鮮半島と有機的に結合し、ひいては北東アジアとヨーロッパまでが連結される展望だ。この鉄のシルクロードは朝鮮半島、東アジア及び世界の平和はもちろん、北朝鮮、シベリア、中国東北3省経済開発で韓国、日本、ロシア、中国などに数十年間の経済活性化をもたらしながら経済共同体へと発展していけるはずだ。この過程で北朝鮮の長期的生存権である北朝鮮経済の回生が可能だろう。

このような脱米東アジア協力体の道で、南と北は朝鮮半島では共助と自主で、北東アジアでは調整者と均衡者としての職分を担当することで、21世紀の東アジアとともにする朝鮮半島時代という新しい歴史の位相を定立して行かなければならない。

これは私たちにおのずと近付くことはない。まさに米国の帝国主義勢力、これに付和雷同する日本と韓国内の親米隷属事大主義らの反歴史的な策動を打ち崩すことで作られ創造されるのである。

 

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朝日首脳会談に関する国内論調の翻訳資料(日韓ネット大畑正姫さん選定・翻訳)です。

 

韓国のインターネットから

 

★ハンギョレ新聞社説(2002.9.17、21:08)

 …(前略)共同宣言の合意は、2000年10月以後単に中断されてきた国交正常化会談の再開だけを意味するものではない。両首脳の数十年間にわたる懸案をめぐって率直な意見交換により、国交回復に向けた大きな流れをつかんだというところで、新たな歴史の章を開いたといえよう。今後、日朝が正常な関係になれば、朝鮮半島の緊張緩和の流れはその大勢となるだろう。

 …(中略)金正日委員長が長い間、北朝鮮政府に対する「侮辱」だとしておくびにも出さなかった日本人拉致疑惑について、対象者の生死をも明らかにして謝罪したのは、それなりの誠意をみせたものだ。アメリカとの十分な事前協議もなく、ピョンヤン行きを決断して政治的カケに出た小泉首相としても、自国民を説得できる成果を上げたものだといえよう。彼が金委員長からミサイル発射実験の猶予を2003年以後にも続けるという約束を取り付けたのは、ブッシュ米政府の疑いを軽減する役割を果たすだろう。

 日朝関係正常化は、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言以来、北東アジアに渦巻いていた乱気流を追い払うという意味において力づけられる発展的な出来事だ。しかし、(略)過去清算において両首脳が日韓基本条約締結のときと同じように、経済協力方式に合意したのは、大変遺憾だ。これによって、朝鮮半島の南側だけでなく北側も不幸な過去を正面から清算して、日本と真の友好の道を切り開く絶好の機会を永遠に失ってしまうという憂慮が現実化したと思われる。

 

★「統一ニュース」(2002.9.18)から、「専門家の視点」

▲コ・ユファン教授(東国大学北朝鮮学専門)

 予想通りといえよう。特に北の最高指導者が失踪者の問題を認めたのはすごいことだ。両首脳が目標地点をしっかり見据えたので、今後はスピードアップするのではないか。金正日委員長は性格からして、一度やると決めれば速度を増すスタイルだ。

 だが、予想外の副作用で後退の可能性も否めない。とりわけ日本の場合、小泉が世論を納得させられないとすれば、日朝関係の今後の日程が遅くなったり、長期的に遅延することもあり得る。経済協力による資金支援もまた、国交交渉に入りこれが最終段階に入ってこそ実質的な問題となる。したがって、小泉が日本でどのように世論を説得できるかにかかっていよう。

 変数としてみれば、アメリカの変数、日本の国内変数、北の経済変数、これらの変数が作用しよう。アメリカ関連では、北として核査察の問題をアメリカの望むとおり聞いてやる用意があるようだ。現在の北の姿勢は、今までとまったく違う性格のものだ。日朝関係の積極性をみても、アメリカの要求さえ受け入れる意志をも持って、積極的な姿勢でのぞんでいる。

 

▲ チェ・ジュンフプ(統一研究院、国際関係研究室)

日朝は基本的方向をつかんだと思う。これは南北関係にも肯定的な作用をするだろう。注目すべきはデリケートな日本人拉致問題を率直に謝罪したことに、日本の首脳が受け入れたことだ。国内の世論をみるべきだろうが、かなり意味のある部分だ。

しかし、ミサイル発射の猶予は少し足りなかったかもしれない。アメリカが望むレベルとはいえないのだが、これは日本が北に強く要求できなかったようだ。核査察もアメリカが今まで要求していた水準を満足させるものではないようだ。今後、日朝間でミサイルと核査察問題のアメリカ側の条件がどのように北側が受け入れられるかが、大きな変数となろう。

また、賠償ではない経済協力方式となったのは、国交が回復してこそ本格的支援が行われる問題でもある。また、資金をどのように使うかという問題も簡単ではない。この点で、日米韓の緊密な協議が行われよう。資金の透明性については、一定の協議がなされるべきだ。

今回日本の意図は、朝鮮半島の平和構図が維持されるべきだとする大きな枠組みで問題をみているようだ。アメリカがイラクに対する露骨な攻撃をするとしている中で、これが東アジアに及ぼされるのは防がなければならないと考えているようだ。

日米間には、日朝首脳会談以前にある程度の調整があったのではないか。首脳会談当日のラムズフェルドの発言は、日米間に調整がなかったとする意味とは違うようだ。基本的な調整があった状態で、日本が主体になるところから、アメリカ側としては任せた、ということだろう。

 

▲ チョン・セジン(中央大学、国際関係学科)

今回の結果は、とても力づけられる方向性を指し示している。以外にも迅速で率直な懸案が整理、解明されたようだ。特に、核査察とミサイル猶予問題は、全体的に可能なレベルで提示されたと思う。ボールはアメリカに渡ったが、アメリカが今後どのように反応するかがキーポイントだろう。

拉致問題について、日本の世論がむしろ悪化し、日朝関係の進展に影響を与えるとみるのは、あまり悲観的な見方ではないか。だが、小泉首相の日本での政治的立地と世論説得の程度によって、首脳会談の成果がどのような方向に進むか、決定される可能性が高い。

今後の変数は、アメリカの変数、日本の国内政治の力関係、北内部の変数があるが、ここで北の変数は固定的変数だ。問題は、アメリカがどの水準でスピードを調節するのか、また日本の国内世論動向がどのように流れるのかも、外部の変数として作用するだろう。

北の積極的な姿勢は、既存の姿勢や立場が変わったからではない。特にアメリカのイラク攻撃に対する危機感を解消するために戦術的に、急いで変えたというレベルのものではない。北の最近の動きが果敢で迅速だということより、対話の相手となるアメリカが対話に応じなかったためだ。北の立場は一貫している。

今回の日朝首脳会談は、南北関係の側面からみても、肯定的な意味合いをもつ。また、アメリカの対北強硬ムードを和らげるのにも、大きく寄与するだろう。広義には、東アジアの冷戦体制の解体に寄与すると思われる。

 

★ハンギョレ新聞(2002.9.17)「日朝会談、韓国政府の反応」

 

…(前略)韓国外交部は今回の日朝首脳会談で過去清算と賠償問題に進展があった場合、1965年の日韓条約に与える影響について、内部的に法律的検討を行ってきたことが明らかになった。

政府当局者は「日韓基本条約第3条に、韓国を<国連決議195条による唯一合法政府>と規定した部分があるのだが、これは国連決議195条の管轄権範囲に関する現実的解釈によって解消することは可能だ」としながら、日韓条約そのものの改定については否定的な姿勢をみせた。彼は「日韓条約の改定というのは、パンドラの箱を開けるようなもの」として、「日朝交渉の進展をみながら、韓国政府の公式立場を明らかにしていくだろう」と述べた。

 

★ 「寄稿―ピョンヤン宣言の解説」

チャン・チャンジュン(韓国民権研究所、常任研究員)

…(長文略:宣言文の項目別解説A4、4ページ、すべて省略)

 

5.総評

 一言でいうなら、今回の「平壌宣言」は昨年の朝ロ首脳会談と「モスクワ宣言」と同じように、巨大な情勢の破壊力をもっており、東アジアと朝鮮半島情勢を北朝鮮が確固として主導していることをみせている宣言だ。

 また、今回の宣言は今まで敵対していた両国が「(基本)精神と基本原則」ののっとり「国交正常化」の道にすすむことを合意することによって、朝鮮半島と東アジアの平和を保障する「平和宣言」だといえよう。

 

6.情勢と展望

@      日朝関係正常化はスピードアップするだろう。

(略)… 

 日朝関係正常化が「平壌宣言」通り進むためには、南と北の大団結が重要だ。南北が団結して民族自主の立場を確固として、民族的力量を高めてこそ、日本国内の軍国主義者や北への敵対行為を防ぎ、日朝関係の正常化を進めることができるだろう。

 

A      アメリカは、北との関係で対話か、戦争かという二者択一を迫られることとなった。

(略)…

   アメリカは小泉首相が「アメリカの電力損失補償優先」ではなく、「北の核査察優先」〔でまとめてくれること〕を期待したが、そうはいかなかった。また、小泉が北のミサイル開発など、大量破壊兵器拡散の国際世論を喚起してくれることを期待したが、これもやはり、はずれてしまった。

 「モスクワ宣言」のロシアとは違い、日本はアメリカの半世紀の同盟国だ。このようなところからも「平壌宣言」は「モスクワ宣言」より、アメリカにとってショックだっただろう。

 もはやアメリカは、二者択一のがけっぷちに追い込まれた。北が平和の原則を示し、これを日本が認めた以上、大量破壊兵器開発を口実とした「北脅威論」や「悪の枢軸」などは通じなくなった。

 アメリカ内部も「強硬派」と「対話派」にはっきり二分され、朝鮮半島政策と北政策をめぐって深刻な分裂が起きるだろう。国際社会は対話をアメリカに要求、つきつけるだろう。このような状況はアメリカに、対話か戦争か、二者択一を強いることになろう。

 アメリカが戦争を放棄し対話による問題解決へ進むよう、われわれは民族自主の力量をしっかり固め、国際連帯も今こそ重要になっている。

 

B      朝鮮半島の分断体制を崩す有利な契機

 日朝国交が正常化すれば、「大韓民国を唯一合法政府」とした「日韓基本条約」は修正されねばならない。これは即ち、「大韓民国の領土は、韓半島とその付属島嶼とする」とした韓国憲法の領土条項まで影響を与えることとなり、統一時代に合った憲法改正論議のスタートとなろう。

 また、憲法上の領土条項は、朝鮮民主主義人民共和国という明確な国家実態を「反国家団体」と規定した国家保安法の不合理性につながるところから、国家保安法の改定または、廃止に弾みがつくことになる。

 このような全ての過程は、50年間堅固な城壁のように立ちはだかっていた分断体制を崩し、統一の体制へと進むプロセスへと移行することになろう。