4月13日午後  韓統連代表が、教科書わい曲で文部科学省へ抗議の申し入れ

植田むねのり議員(社会民主党)ら社民党議員らと5人ともに

在日韓国民主統一連合の宋世一国際局長、在日韓国青年同盟の李政秀副委員長ら代表団は4月13日、「新しい歴史教科書をつくる会」が作成した教科書が検定を通過したのを受け、文部科学省に抗議の申し入れ活動を行った。

 申し入れには、社民党の植田むねのり(紹介議員)、日森文尋、あべともこ、山内恵子、北川れん子衆議院議員ら5人の議員が同席、文部科学省側からは、船橋徹教科書企画官、上口孝之教科書検定調整専門官らが出席した。

 冒頭、代表団から抗議文を伝達(別紙)し、あわせて日本政府の公式立場である村山談話(95年)や日韓首脳で合意した日韓パ−トナシップ宣言(98年)とは完全に背く状態が続いていると主張、文部科学省の立場を問いただした。

 これに対し、船橋教科書企画官は「厳正に検定した。再修正はあり得ない」「それを前提に各諸国の理解を得るべく協議していく」という態度に終始した。

 さらに代表団側は「教科書作成はあくまで民間で作成するものであり、政府としては介入できない」という立場に対し、「近隣諸国条項」が加えられる発端となった82年の教科書論争の際、「日本政府の責任において是正する」とした当時の宮沢官房長官談話や、98年6月に町村文相が「歴史教科書は『変更』している。検定提出前に是正できないか検討している」などの発言や介入の事実をあげ、文部科学省はもっと是正のための努力を傾けるべきだと強調した。

 これらに対しても文部科学省側は、「その82年にできた『近隣諸国条項』に依拠し、137ケ所を修正させた」との説明をくり返し、町村文相発言は「個人的見解に過ぎない」と弁明した。

 一方、従軍慰安婦問題など過去の植民地支配の事実が次々に削除されている事実に関し、「明らかに事実と違うものは修正させられるが、そうでないものは必要以上には注文をつけらない」とし、「例えば従軍慰安婦問題など、記述のないものでも、特定のものを加筆しろとは言えない」との立場を崩さなかった。

 代表団は、重ねて是正を要求するとともに、それがなされない場合、より強い抗議活動も辞さないとの立場を明らかにした。

 


<抗議声明>

歴史を歪曲した教科書検定合格に抗議する 


 アジア諸国の人々が強い関心を持ち、その是正を要求してきたにもかかわらず、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定を通過した。日本政府は、検定は厳正に行われたので問題はなく、また、教科書の歴史認識や歴史観が政府の考えと一致するものではないと強弁しているが、これはき弁にすぎない。私たちはこのような教科書の検定合格に対し、深い憂慮を表明しながら、これを検定によって公認した日本政府、文部科学省に強く抗議するものである。

 韓国政府も3日、外交通商省声明で「自国中心主義的な史観から過去のあやまちを合理化・美化する内容を含んでいる」として憂慮を表明し、日本政府に歴史のわい曲を防ぐよう強く求めていたが、9日には、崔相龍大使の一時帰国を決定している。

 この歴史教科書の問題点は、過去の侵略と植民地支配に対する反省が自虐的であると強く批判しながら、過去の歴史を正当化する自国中心の歴史観を打ち出したところにある。露骨な歴史わい曲については部分的に修正されたとはいえ、加害の事実に対する認定と反省が最初から排除されており、皇国史観に回帰して史実を無視していることは明白である。

 さらに、私たちが問題にせざるをえないのは、この教科書が例外的に突出した存在でなく、全体の歴史教科書の流れを誘導する役割を果たしているという点である。今回の検定を通過したほとんどの教科書から従軍慰安婦に関する記述がないことなど、今回の検定において、過去の歴史を合理化しようとする日本政府の歴史認識が強く反映されたと見ざるをえない。

 歴史教科書が国際理解と人類平和に寄与する方向に記述するよう、ユネスコが勧告しているように、歴史教科書は次世代の正しい歴史認識を通して未来に歩むことを教える教材である。にもかかわらず、このような歴史教科書が公認されたことは、ユネスコの勧告に背き、時代に逆行するものだといわざるをえない。自国の歴史を賛美するために他国の歴史をそしり、侵略戦争を正当化する、このような歴史教科書によって、誤った歴史認識を持たされた青少年たちが、どのような国際理解を育てることができるだろうか。

 また、日本には、過去の侵略と植民地支配の結果として日本に在住することになった、私たち在日同胞が居住しており、多くの子供たちが日本の学校で学んでいる。子供たちは、これまでも、過去の歴史について正しい教育が行われてこなかったために、学校の中でもいわれなき差別にさらされてきた。そのような境遇にある在日同胞子弟が、過去の歴史を正当化する歴史教育が行われていくならば、これからさらにどれほど傷つけられることになるだろうか。

 日本政府が、侵略の事実を否定し過去の清算も回避しながら、アジア民衆に対する犯罪行為を正当化するわい曲した歴史を、日本の未来に責任を持つ青少年に教え込もうとする意図は何だろうか。私たちは、日本が再侵略の野望を抱いていると強く警戒せざるをえない。私たちは、日本政府が、国内外の批判と憂慮に真しに応えるためにも、このような歴史教科書の採用を認めないことはもちろん、正しい歴史教育を行うために抜本的な措置を取ることを強く要求するものである。

2001年4月10日

在日韓国民主統一連合


 毎日新聞(4月14日、東京版)で報道 

在日韓国人の2団体、文部科学省に抗議

教科書問題で検定合格取り消し求め

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定に合格したことに対し、在日韓国人でつくる「在日韓国民主統一連合」(郭東儀議長、800人と、「在日韓国青年同盟」(姜聲実委員長、400人)は13日、文部科学省に抗議を申し入れた。

 申し入れには、2団体の代表4人が参加し、社民党の国会議員4人(ママ)が同行した。代表らは「歴史をわい曲した教科書の検定合格は、アジア諸国との関係を悪化させる」として、「つくる会」の教科書の合格取り消しをもとめ、町村信孝大臣当ての抗議文も提出した。