韓国言語風景―揺らぐ文化・変わる社会

渡辺吉鎔(ワタナベ・キルヨン)著作

 

 韓国と言えば儒教の国という一般認識を持つ人が多いようだ。だが、世界中に拡がる情報化の波は、韓国にも押し寄せている。

 だが著者は、韓国の情報化に対して、詩人ハ・ジェボンの詩を引用しながら、人が物となってしまう影の部分を指摘する。また、社会派詩人パン・ノヘの詩を紹介しながら、韓国民衆の労働運動への共感の背景を示してくれもする。

 そして、南北分断という現実の中で、統一を希求する韓国民衆の心情を、詩人ファン・ジウの詩を通して伝えてくれる。とりわけ言語の分野で南北が、ローマ字表記を統一したという事実を紹介していることについて、私は南北統一に向けての希望を感じた。

 その他、韓日文化の「言語」を通じた共通性と異質性など、ハングルについて知らない人でも、興味深く読める。

 本書は、生き活きと躍動する韓国の今を知る上で、絶好の一冊といえるだろう。

           (岩波新書:650円)

 

 

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