MABUI

 

 3人の少年少女の生き様を中心に、1945年から50年の激動と混乱の沖縄を描いたこの作品は、その時代背景から来るイメージとは裏腹に実に優しい映画だ。

 全般的に平明なストーリーの中で、時折唐突なセリフ回しに戸惑う場面もあったが、そうした微々たる難点をも包み込んで余りあるほど、この映画がもつ独自のゆったりとしたテンポは、背景に映し出される沖縄の自然や音楽と穏やかに調和し、見るものの呼吸や鼓動とも調和していく。まるで沖縄民衆が刻み出す日々のテンポがそうであるかのように。

 典型的なハリウッド映画に見られる奇想天外で大げさな、まるで観客に「ここで盛りあがらんとウソやぞ!」と迫り来るかのようなパフォーマンスに少々うんざりしていた私個人にとっては、久々に素直に五感を開放し、試写会の35ミリ画面に溶け込んでいくことができた。

 唯一、登場人物の朝鮮人女性エイミーの生い立ちが映画の中では分かりにくかったのが心残りだが…

 主人公の一人、清秀の祖父が随所で奏でる三線(サンシン=沖縄の弦楽器)と歌の響きが、この映画のもつ哀調を引き立たせて絶妙であった。

多くの民間の出資とボランティア協力を得て完成した、文字通り手作りのこの作品は、当時の沖縄と真正面から向き合った秀逸の作である。

(上映時間:96分 3月6日から劇場公開。チケット:一般1400円を購入される方は韓統連大阪本部まで)

 

 

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