◇ジュネーブ合意から5年−朝米関係の展望

朝米関係の正常化へのプロセスを明記した朝米基本合意文(いわゆるジュネーブ合意)が1994年10月に調印されて5年が経過した。今後の朝米関係の展望と私たちの課題について考えてみたい。

 

●朝米正常化を阻んでいるのは誰か

●第2の核施設疑惑問題で明らかになったこと

●劇的変化の可能性を内包する韓国の自主・民主・統一運動

 

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●朝米正常化を阻んでいるのは誰か

 朝米基本合意文では、北韓が黒鉛減速炉と関連施設を凍結する一方、米国は2003年までに軽水炉2基を北韓に提供し、1号軽水炉が完成するまでのエネルギー損失分として重油を毎年50万トン補償することが明記されている。合意に基づき北韓は、合意文調印後1ヶ月以内に黒鉛減速炉の完全凍結を実施したが、軽水炉建設作業は、97年8月にようやく基礎工事に着手したばかりで、完成予定は、大幅に遅延し、2007年以降になると予測されている。また、損失補償のための重油提供については、昨年10月までに納入予定の97年度分が、ようやく今年2月には完了することとなったが、98年度分については、米国議会が新たな条件を提示しているためその実現いかんは予測し難い。さらに、基本合意文では、調印後3ヶ月以内に貿易と投資の障壁を緩和することになっているが、5年目を迎えた今になっても規制の全面解除には至っておらず、北韓に対する経済制裁は事実上一層強化されている。

 以上の経過から明らかなように、朝米関係の正常化を妨げてきたのは、合意文を履行しない、あるいは遅延させてきた米国に全的な責任があるといわざるを得ない。

 

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●第2の核施設疑惑問題で明らかになったこと

 米国は、最近になって新たな核施設疑惑を持ち出し、その査察抜きに合意履行はできないと内外の世論を扇動している。そもそも、新たな疑惑施設なるものは、米国が一方的に主張しているもので、主権国家が自国内の施設について、他国の強制的査察要求に応じる義務などあろうはずもない。これは、合意を履行してこなかった米国自身の責任を北韓に転嫁し、あわよくば新たな譲歩を引き出そうという狡猾な術策である。しかし、北韓は、意外にも査察要求を全面拒否するのではなく、「朝米関係を考慮して」「1回限り、応分の補償」という前提で応じる姿勢を見せている。これは、朝米関係正常化に対する北韓の強力な意思の表明であり、新たな疑惑施設が核関連施設ではないという自信の現われである。まず、朝米関係正常化の強い意志がないとすれば、理不尽な米国の査察要求に応じる必要はない。また、核関連施設であるならば、いくら莫大な補償金を積まれようが、一回査察に応じればそれまでで、北韓による根本的合意違反として、朝米基本合意そのものが水泡に帰してしまうからである。したがって、新たな核施設疑惑問題は遠くない将来、米国の体面を取り繕う形を取りながら決着することになるだろう。

 ただ、今日までの過程がそうであったように、あくまでアジアに覇権を打ちたてることを夢見る米国は、今後も、様々な難関を作り出し、合意履行を遅延させたり、軍事的威嚇を強めることにより、少しでも多くの譲歩を引き出そうとするだろう。

 朝米関係正常化交渉は相当な紆余曲折が予測される。

 

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●劇的変化の可能性を内包する

         韓国の自主・民主・統一運動

 それでは、私たちの課題は何か。アメリカが結局は対話に応じるしかないとして、その時期をひたすら待つのか。

 最も変化の可能性を内包しているのが南北関係だろう。外資導入を至上目的とする韓国政府の対米従属の深化状況からするならば、現時点で、米国の意に反して、南北関係の改善を推進するのは従来以上に困難とも言える。しかし、生存権をかけて闘う韓国労働者の闘いの矛先が、眼前の金大中政権から、その背後で経済的従属を強要する米国に向いた時、さらに、韓国民衆の潜在的統一熱望が噴出し南北統一運動の一大高揚へと発展した時、韓国政府は、南北関係の画期的転換に踏み出す可能性を有している。その時、アメリカは、南北朝鮮に対する影響力確保のために、いやおうなく朝米正常化に踏み切らざるを得ない。

朝米正常化の鍵を握っているのは、交渉当事者の北韓と米国のみでなく、韓国民衆、そして私たち海外同胞による自主・民主・統一運動であると言えるだろう。

 

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