◇在日同胞問題欄

◇民族教育を考えるシリーズ第1回

歴史教育、自分のルーツの教育が、民族教育の原点!

韓統連大阪民族教育懇談会 座長 金隆司

◆民族教育を考えるシリーズ連載にあたって

◆人権貧国日本で深化する同化・帰化傾向

◆歴史教育の重要性

◆家庭教育の重要性

◆民族教育懇談会をよろしく

 

◇朴正恵先生講演会「民族講師として歩んだ25年を振り返って」

民族講師会共同代表、大阪市総括技術指導者 朴正恵

 

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民族教育を考えるシリーズ第1回

歴史教育、自分のルーツの教育が、民族教育の原点!

韓統連大阪民族教育懇談会 座長 金隆司

 

◆民族教育を考えるシリーズ連載にあたって

 現在、在日同胞が抱える切実な問題の一つとして

民族を知らずに日本に同化・帰化してしまうという問題がある。そこで、民族教育について取り上げ、4回シリーズで様々な角度から考えてみることにした。家庭で、学校で、職場・地域で話しあってみて下さい。          (自主編集委員会)

 

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◆人権貧国日本で深化する同化・帰化傾向

 昨年、世界人権宣言50周年にあたり、国連人権委員会から日本政府に対して勧告があった。その内容は、国際人権規約B規約(市民的および政治的権利)の順守事項について「前回(93年)の勧告がほとんど実行されず遺憾」としたうえで、具体的要求事例として△在日朝鮮人への差別撤廃△永住外国人への滞在許可証携帯義務の廃止等をあげている。

 国連の度重なる勧告にもかかわらず一向に改善にむけて努力しない日本政府とそれを容認する日本社会。人権貧国日本は、今や世界の常識という事だろうか。そのような日本社会で、在日同胞が民族的に生きていく事は容易ではない。

 毎年1万人前後が日本国籍へ帰化し、帰化者の累計が20万人を超えている一方で、帰化せずに韓国籍・朝鮮籍を維持している同胞が約65万人存在している(97年度統計)。この65万人という数字を多いとみるべきか少ないとみるべきか。

 いずれにしても以降も若い一・二世の帰化者が増大していく一方、一世が減少していけば、同胞社会が総体としてますます日本人化していくのは必至である。

 明日の同胞社会を考えるなら、在日同胞の民族教育は、思想信条の違いを乗りこえて考え実践しなければならない最重要課題である。

 

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◆歴史教育の重要性

 昨年10月、金大中大統領が訪日した。異国の地で、生活基盤を確保して、はや半世紀。日本帝国主義による植民地支配の生き証人ともいえる在日同胞に対して、差別に屈する事なく民族的に生きていく意義を感じる様ななんらかのメッセージが期待されたが、触れたのは「参政権の要望」のみというのはなんとも寂しい限りである。

 一方、終始未来志向を強調した韓国大統領に比べ、11月に来日した中国の江沢民国家主席は、歴史認識問題にこだわった。「歴史問題を解決するカギは日本にあり、日本政府がまじめに経験と教訓をくみ取り、歴史を否定し、わい曲する勢力をきちんと押さえ込むように望む」というメッセージを真摯に受けとめた日本人はどれ程いただろうか。

昨年のサッカーのW杯で優勝したフランスチームのFWのジョルカエフはアルメニア系でシラク大統領はアルメニア訪問に彼を同行させたそうだ。

 ジョルカエフは「自分の祖父はアルメニアからフランスまで歩いてきたが、自分は大統領の専用機で祖父の故郷(くに)アルメニアに帰るのだ」と大変喜んでいたそうだ。アルメニア人は商売上手で世界各地で活躍している事から、よくユダヤ人と比較されるが、ユダヤ人が世界各地で同化しているのに対し、アルメニア人は民族意識を捨てずにほとんど同化しなかったという。

 歴史教育は重要だ。自分の国の歴史、そして自分達の両親、祖父母の歴史。

 何故、在日同胞は日本に住んでいるのか。自分の両親は、祖父母は、どこの地に生まれどのように日本にやってきたのか。学校では教えてくれない歴史教育、自分のルーツの教育が、民族教育の原点であるように思える。

 

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◆家庭教育の重要性

 教育は国家百年の大計といわれる。それほど教育とは大切であり、かつ難しく、また時間のかかるものだ。教育の中で学校の占める位置は大きいが、それだけでは充分ではない。民族学校に通わせているから民族教育は安心というものでは決してないだろう。

 これは私自身の体験談だが、民族学校に通っている娘(当時小5)が、音楽の時間に「朝露(アチムイスル)」を習い、他の生徒は「メロディがきれい」という事で気に入って歌っていたのに、うちの娘だけが歌わなかったという。その理由は、幼い時にアボジに無理やり集会に連れられて、いつも聞いた歌のイメージが何か暗く、悲壮感ただようもので、無理に腕をつかまれてシュプレヒコールをさせられた記憶がよみがえり歌えなかったという事であった。

 親が子供にとって良かれと思っていた体験が、当の子供にとってはどのように受けとめられ残っているのか。あらためて、民族教育における家庭教育の難しさとともに重要性も痛感した次第である。

 

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◆民族教育懇談会をよろしく

以上、民族教育について最近思う所を述べてきたが、現在、韓統連大阪本部には、民族教育を推進していく委員会として民族教育懇談会がある。韓統連、民主女性会、韓青の3団体で構成され、生まれてまだ2年たらずのヨチヨチ歩きの状態だが、民族教育に関する様々な組織やサークルが数多くある大阪の地で、以降キラリと光る活動をしたいと思っている。当面、連続公開セミナーを予定しているので、皆さんの参加と以降の支援、叱咤激励をよろしくお願いする次第である。

 

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朴正恵先生講演会「民族講師として歩んだ25年を振り返って」

民族講師会共同代表、大阪市総括技術指導者 朴正恵

 現在、民団・総連系民族学校や公立学校民族学級で民族教育を受けている同胞児童・生徒は全体の約1割6,500名に過ぎない。そんな中でも、時には行政と闘い、或いは理解を得ながら、西成区長橋小学校で25年間教壇に立つと共に、現在は民族講師会共同代表、大阪市総括技術指導者として民族教育の普及にリーダーとして尽力されているのが、朴正恵(パク・チョンヘ)先生である。

 去る11月23日に布施リブレで開催された民主女性会の月例会で先生の講演があった。民族学校や民族学級での民族との出会いがたとえ短い時間、或いは浅い内容であっても、大人になって再び民族と出会う機会があった時、韓国人(朝鮮人)として生きる上で、いかに大きなバネになるかを数多くの経験を挙げて強調されていた。また、当たり前であるはずの本名を名乗ることが、涙あふれる本名宣言として緊張が入り交じった中でいまだに行われていることに、本人の勇気に拍手を送りながらも、逆に日本社会に厳然と残る民族差別に言いようの無い怒りを訴えておられた。民族差別がまかり通っていた私たちの学生時代を思い出すとともにこれからの同胞の子供たちの将来を案じながら、約30名の参加者全員が夢中で3時間の講演に聞き入っていた。

 

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