「在日コリアンの胸のうち」

 辛淑玉(シン・スゴ)

光文社 税込:819円

 私はマニュアル本が嫌いだ。

 日本人は、七五三には千歳飴(金太郎飴)を食べ、正月には蒲鉾を食べ、節分には巻き鮨を食べる。誰が食べてもみんな同じ(模様)で個性が全くない。

 成長すると、皆が同じような雑誌を読み、同じ番組を見聴きする。健康も、恋も、風俗も、すべて模範例とマニュアルによって構成された情報に対してだ。そして慣れる。

 そのせいか、この国の大衆は、マジョリティ(多数派)を形成したがり、マイノリティ(少数派)に対しては、排他的な傾向が強い。しかも「和」といった表現を使い、これを美徳とすら考える人が多くいる。さらに恐ろしいのは、バラエティ番組や目撃・対面番組により、喜怒哀楽までもがマニュアル化されているということだ。

 こういった情況が続けば、この国に住む人たち(私たちも)すべてが金太郎飴のようなものの見方、考え方(哲学)をするようになるだろう。しかも、何か意図的な力さえも感じる。

 今回、紹介する本は、これらマニュアル化に対抗するワクチン効果が期待できる。

 辛淑玉さんの感じ方や答え方は、私たち在日韓国人にとっては模範例であり、マニュアルであるかもしれない。だが、この本は、人間本来の感じ方を確認し、正しく考える方法を持つための扉となるだろう。

 扉の鍵は、あなた自身の手である。

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