「在日朝鮮人〜歴史・現状・展望〜」

朴 鐘 鳴(パク・チョンミョン)編

 在日朝鮮人、そのことばは何と重たいことだろうか。出自は、誰であれ選択不可能なものだ。生まれついてみれば、たまたま朝鮮人であったり、たまたま日本人であったり、こればかりは本人が望む望まいとかかわらない。

 最近、日本の自由党・公明党が、定住外国人に地方参政権を付与する法案の提出を行なったり、あるいは、朝日がまだ端緒についたばかりとは言え、国交正常化に向けて動き出すなど、とみに在日同胞に関する問題がクローズアップされてきている。

 2000年が、新たな千年紀の始りであるかどうかの論議はさておき、21世紀を見すえた在日同胞像が議論されるべき時期に来ていることは間違いないところだろう。

 本書は、そのタイトルにある通り、在日同胞の歴史・現状・展望について、様々な角度から論述している。特に第9章においては、朝鮮学校に通うチマ・チョゴリの女子学生に加えられた暴行暴言事件など、現在、在日同胞が受けている差別の事例を具体例を持って明らかにしている。

 在日同胞問題を考える上で、豊富な視座を提供してくれる労作である。

(明石書店 2700円)

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