2000年4・13韓国総選挙について考える

 

 来たる4月13日、韓国では第16代国会議員選挙が実施される。今回の総選挙は、2千年代の韓国政治の進路を定める重要な選挙であり、執権2年目を迎えた任期半ばの金大中政権に対する国民の審判の意味もあわせ持っている。

 しかし、今国内外で最大の注目を集めているのは、市民団体が打ち出した落選運動である。1月12日に420以上の市民団体が結集して発足した「2000年総選挙市民連帯」は、「贈収賄事件への関与歴、選挙違反、民主化や人権に対する態度などを総合的に判断し、公認不適格者を発表し、政党に公認を与えさせないことを目的とし、もしも不適格者が政党の公認を受けた場合は、積極的な落選運動を展開する」とした。また、「労働組合以外の団体は選挙運動ができない」という現行選挙法の即時改正も要求している。

 圧倒的な国民の支持に表れているように、この落選運動は、韓国民の既成政治に対する不満が爆発寸前の状態にあることを物語っている。その国民の批判的意志を表面化させたことの意義は小さくない。また、市民の政治参加を阻んでいる選挙法の改正に一石を投じたことも有意義と言えるだろう。

 しかし、冷静にこの落選運動が与える影響ともたらす結果について考えてみる必要がある。政党公認問題を提起されている当事者である政党とは、現在の与党である新千年民主党(略称民主党、旧「国民会議」、金大中総裁)と自民連(金鍾泌名誉総裁・朴泰俊総裁)、そして野党のハンナラ党(李会昌総裁)に他ならない。今回の落選運動により、不適格者として名指しされた候補は、当然苦境に立たされるだろうが、その結果当選可能性を高めるのは対立政党の候補である。国民の目から見て明らかに国会議員としてふさわしくない人物数名を国会の場から退場させることが可能かもしれないが、そもそもそのような人物を臆面もなく公認しようとしているのが現在の与野党なのである。このような既成政党中心の政治構図はそのまま温存されることになる。これが、はたして韓国民の求める新たな韓国政治の出発となりうるだろうか。

 また、総選挙を前に最大の関心が落選運動に集まっているかのようだが、今、韓国政治が焦点とすべき問題は山積している。昨年かつてない汎国民運動へと発展した韓国民主主義の核心問題である国家保安法の撤廃要求。200万失業、1千万貧困層と言われる深刻な生存権の危機。米軍による良民虐殺事件の発覚を契機とする対米関係の再定立要求。朝米関係改善の進展と朝日関係正常化交渉再開の一方で、一向に進展しない南北当局者間対話。2千年代最初の総選挙で真の争点として浮上しなければならないこれらの重要課題が、後ろに追いやられている感をぬぐえない。

 今まさに求められているのは、このような国民的要求に立脚した新たな政治勢力の登場であり、既成政治の厚い壁を突破して国会進出を勝ち取るための広範な国民連合ではないだろうか。

 すでに、既成政党の枠にとらわれない新たな改革政党として民主労総の支持を受けた「民主労働党」が名乗りをあげているが、現時点では、幅広い国民の支持と共感を充分に集めているとは言えないのが実情だ。しかし、民主労働党を含め、多くの市民・社会団体が緩やかな連合を実現し、国民の改革要求を正しく反映した政策・公約を打ち出し、その実現にふさわしい新鮮な候補者を各界各層から共同で公認し、来たる総選挙に臨むならば、韓国政治は一大転機を勝ち取ることができるだろう。

 落選運動に対する圧倒的な支持と共感に表れた韓国民の意志を、誰がどこに導いていくかが問われている。

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