西 便 制(ソピョンジェ)

 

 パンソリ(歌劇)は、韓国の民衆の間で、李朝時代から長く培われてきた民衆芸術である。

 この映画は、そのパンソリを生業とする親子の生き様を通じて、韓国文化の根源である「恨」の世界を伝えようとするものである。

 この映画が韓国で封切られた時、韓国映画史上、空前絶後のブームとなったことは、今も記憶に新しい。聞くところによると、この映画を見て、子どもにパンソリを習わせるオンマ(お母さん)たちが増えたとのこと。

 全編を通じて流れているのは、監督であるイム・クォンテクの私たちの民族とその伝統文化に対する深い愛着である。特に、秋の紅葉をバックに「アリアリラン、スリスリラン」と親子3人が民謡を歌いながら踊るシーンは、情愛に満ちたシーンであった。

 そして圧巻なのは、生き別れになった姉弟が、再会した時の場面である。弟がプク(太鼓)を叩き、姉がパンソリを歌う。いちどは貧しさに耐えかねて、父と姉のもとを去った弟ではあったが、別離の距離を一気に縮めるように。

 だが、姉弟は、お互いにそれと告げることもなく、また、各々の現実に引き戻されていく。

 この映画は、韓民族の持つ情念の世界を、見事なまでに描ききった秀作である。

(韓統連大阪本部にビデオがありますので、ぜひご覧になって下さい)

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