第168号 2002年 5月 25日 


韓 国 人 権 ニュース

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(人権消息 第2097号 5/21)

ワールドカップを理由に基本権を制約してもいいのか

クォン・ドゥソップ(民主労総法律院弁護士)の人権コラム

最近、ワールドカップを前に労働者のストに対して、一部のマスコミは「お客さんを招待しておいて宴会の席をひっくり返す体たらく」だとか、「韓国はストのために頭が痛いとの印象を外国人に植えつける」などの理由を突き付けながら、これを集団利己主義だと罵倒(ばとう)している。ワールドカップのために基本権を制約してもよいとの論理だ。

 このようにマスコミは、ストライキによっていつも経済が危機に直面しているように報道しながら、経済損失と市民の不便のみを強調して、ストをする労働者に反社会的な行為者とのレッテルを貼る。すべてのストを不法とし、明日でも国が亡びるかのように罵倒する記事のなかに労働三権を保障する憲法の精神を見出すのは困難だ。労働者の主張と要求が何なのかを真しに扱う記事を探すのは難しい。

 2001年の民主労総の6月集中ストライキ当時、マスコミは「この干ばつの時になぜストなのか」との論理を突き付け(一体、ストライキと干ばつに何の関連があるといってこんな主張を展開したのか)、韓国で支配的なシェア占める3大新聞社は「赤いはちまきはずせ」(中央日報、2001.6.14)、「航空・病院労組の相次ぐストライキ、全国を揺さぶる」(朝鮮日報、同)、「政府、不法ストを放置か」(東亜日報、同)などを1面トップ記事にしている。

「赤いはちまき」は、労働者のストに理念攻勢を仕掛けるもので、東亜日報は直接的に政府の警察力投入を要求する見出しを選んでいる。放送でもストライキが始まった6月12日、KBSの9時のニュースは「経済から再生を」との題目で、ストライキの時期を問題視したし、MBCも同日のニュースデスクで、「地は乾いて空はふさがれ、市民の憤怒が爆発しました」と報道した。

 このようにマスコミの目に映ったストライキは、社会悪として清算されなければならない何かであり、ひとつの犯罪行為だ。労働者の当然の基本権との考えは、どこにも見出せない。社会の公器であることを放棄し、労働者の基本権に徹底的に顔を背けるマスコミを通じて、労働者の声や主張が伝わることを期待するのは不可能に見える。

政府はワールドカップ時の労使平和宣言を推進するとしながら、政府一丸となった共助体制を構築して、御用労組を押し立てて雰囲気を高めながら、スト放棄を強要している。マスコミもワールドカップこそが先進国へ跳躍でき、対外信任度を向上できる最大の好機だと声高に叫ぶ。本当に先進国へ跳躍したいのか。それならこうすべきだ。ワールドカップ期間中に航空会社とホテルの労働者らがストをしても、「ストライキは基本権であり、これを責めてはならない…週50時間の長時間労働と交代勤務に苦しむ労働者らは、ストライキをせざるをえず、そのためにワールドカップ中継が見られないのだ、寛容さを持ちなさい」と、政府がマスコミと国民を説得することだ。

 

(民主労総・各社会団体 5/23)

発電労働者への人権弾圧を直ちに中断しろ!

発電労組への人権弾圧中断要求社会団体記者会見文(抄)

2・25ストの重要な主体のひとつだった発電産業労組が38日間の長期ストライキを終わらせて現場に復帰して以後、発電現場で政府当局と会社側によってほしいままにされている各種労組弾圧措置と人権侵害措置を確認しながら、市民社会団体は深刻な憂慮を表明する。

現在、発電産業現場では全体組合員約5,500人の6%を超える351人に対する大量解雇と、さらに16%を超える894人への大量告訴告発、そして425億ウォンに逹する損害賠償請求と、一般組合員のほぼ全員にあたる約4,000人の組合員の賃金と財産に対する仮差し押さえ、屈辱的な誓約書の強要、そして甚だしくは社宅からの退去圧力など、どこの職場でも見られない深刻な弾圧がほしいままにされている。手続きと公平性を無視した懲戒の不当性は、法に定められた不当解雇救済申請を通じて確認されるが、会社内部の規定上、保障されている再審手続きを非正常的に延ばしてまでも、組合員と労組の一方的な屈服を強要する会社の態度は、今後の深刻な副作用をもたらすしかない非理性的で無理な過剰対応にほかならない。

政府当局と会社側の懲戒と弾圧で、発電産業現場は再度緊張が高まっており、発電労働者と家族らは怒りをおさえて現場を守っている。大多数の発電労働者らは、賃金仮差し押さえによって、いまや家族の食事さえ心配しなければならない状況だ。また351人に逹する解雇者らは、生計はもちろん告訴告発による司法処理の脅威と社宅退去圧力に苦しんでおり、家庭も動揺している。ストライキ指導部に責任を問うことはありえても、このように無理な懲戒は、懲戒の水準を超えた明白な人権弾圧であり、共同体の破壊という最悪の弾圧だ。

前回の発電産業労組ストの裏側には、会社側の強圧的な労務管理があったことはすでに広く知られた事実である。そのような点から、現在のように発電会社側が合法的な労働組合をまったく無視したまま、事態収拾のための団体交渉も拒否して、組合員に対する無慈悲な人権弾圧をほしいままにしていることは、発電産業現場で、より大きな労使葛藤と第2のストライキを誘発するだろうという点から、使用者側の覚醒を促す。また会社側の団体交渉拒否は、刑事処罰の対象になる不当労働行為であることを指摘したい。

あわせて経営陣のこのような無責任な態度を傍観して、むしろスト以後に繰り広げられている反人間的な人権弾圧を助長しているという点から、政府当局もその責任を免かれない。

国家基幹産業である発電所に対する民営化政策に対しては、別に国民的論議空間を作り、妥当性の是非を、真の公共性の担保と環境にやさしい構造改革という側面から論議しなければならないのはもちろんだが、現在行なわれている発電労働者への無慈悲な人権弾圧は、直ちに中断されねばならず、労組との誠実な交渉を通じて、諸般の問題を解決することを強く要求する。

ワールドカップを控えて政府は、労使平和(協調)と無争議に言及している。しかし、政府と会社の人権弾圧行為によって、多数の発電労働者らが苦しんでいる現実において、労使平和は口先のものに過ぎない。弾圧一辺倒の政策は労働者の極限的な反発を呼び、産業現場の平和を破る重要な障害要素になるしかない。もしも労使平和に対する政府当局の意志が明確なら、現在、発電産業現場で行われている人権弾圧行為を直ちに中断して、労組との虚心坦懐な対話に出なければならない。誠実な労使交渉と大和合措置だけが問題解決の近道になるだろう。

われわれのこのような要求にもかかわらず、政府当局と会社側が既存の強圧的な人権弾圧状況を改める可視的な措置を取らないなら、われわれは反人倫的な人権弾圧行為に対する真相調査団を構成して調査に乗り出し、その結果を次々と国民の前に公開する一方、国際人権団体に告発する措置を取るなど、積極的な共同対応をして行くことを明らかにする。

2002.5.23  市民社会団体一同(参与連帯、経済正義実践市民連合、環境運動連合、緑の連合、女性団体連合、民主社会のための弁護士の集い、民族自主民主主義全国民衆連帯)