第150号 2001年 12月 22日 


韓 国 人 権 ニュース

韓国人権国際センター

271-0051 松戸市馬橋1800番地 三和ビル

電話 047309-5511 FAX 047348-6666

<メニュー> <バックナンバー>


 (人権消息 第2000号 12/18)

軍事訓練の代わりに監獄を選んだ良心

代替奉仕活動を訴えて兵役を拒否

 ある若者が17日、兵役拒否を宣言し、軍隊ではなく失業者の自活共同体を訪ねて、「民間代替奉仕活動」を始めた。今年27歳のオ・テヤン氏は、この日の午後1時までにヌンサン訓練所に入営しろとの通報を受けていた。これで韓国社会でも、良心的兵役拒否が「エホバの証人」の信者だけの特殊な問題を超えて、軍隊に行かねばならないすべての者にとって普遍的な問題となり始めた。これにより、国民の基本権として認定されるかどうかが注目される。

 オ氏は97年春、北朝鮮の食糧難が発生し、子どもはもちろん大人までが飢餓を経験しているという事実に接して、5年間、毎週金曜日に昼食を抜いて、一食分のお金を集めて北朝鮮同胞を支援している平和活動家だ。彼はまた、「戦争と貧困のない平和な世界を作る」という平素の希望が仏様の生き方と一致すると悟り、2年前から仏教に帰依した平凡な仏教徒だ。

 このようなオ氏が良心的兵役拒否を決心するようになったのは、昨年の2月だ。オ氏は、インターネットで「エホバの証人」らの兵役拒否者の手記に接して衝撃を受けた。3年の監獄生活と出所後には犯罪者とのらく印を甘受してまでも、「殺人者にならない」という良心を守るために、兵役を拒否する彼らの姿が、当時兵役特例の国家試験を準備していたオ氏の存在を揺さぶったという。

 「仏様の生涯と教えは、奉仕する生、平和な人生を生きるという私の信念を一層強くしてくれる土台だった。困難なことが起こったときには『仏様ならばどうするだろう』と問いかけ、いまも銃剣を振り上げている仏様など想像することもできない」。苦悩に苦悩を重ねたオ氏は、結局、「仏教徒」の宗教的信念と平和・奉仕の人生観を確信して、これにしたがい「到底、軍事訓練と銃を取ることはできない」との結論を下した。

 しかし、オ氏は「現代には、兵役の義務が軍事訓練などの狭い意味を超えて、存在している」とし、「私は一切の『兵役の義務』を拒否するのではない」と強調した。国防部の発表によると、すでに国家は公益公務員、産業機能要員、芸能体育特殊技能者、海外奉仕協力要員ら、非戦闘分野の活動を「兵役」と認定している。

 ただ、これは現在、能力があったり、一定の身体的条件を持っていたりする者だけに許容される。これに対してオ氏は、△非戦闘分野の兵役活動に対して許容基準を良心によるものまで拡大し、△このような兵役の幅を広げ、奉仕活動まで含めるようにしなければならないと主張した。

 オ氏は、良心的兵役拒否を宣言したこの日午後、ソウル地方兵務庁を直接訪ねて、兵役拒否事実を知らせた。これでオ氏は、入営日が3日後の20日に入営忌避者として自動分類され、刑事告発される。現在、オ氏はソウル市ポムン洞にある、ある失業者自活共同体で「民間代替奉仕活動」を実践しているが、所轄の警察から出頭要求書が来たら、出頭する計画である。

(人権消息 第2001号 12/19)

ネパールからの移住労働者、アガス氏の望み

研修制度の廃止、不法滞在労働者の合法化

「何とか自由に暮らしたいのだが、出入国管理所のせいで安心して暮らすことができない」

国連が定めた「世界移住労働者の日」を前にした16日、アガス氏(仮名)は小さな望みを語った。アガス氏はこの地で不法滞在(未登録)状態で暮らしている26万人の移住労働者の一人だ。

94年に故郷のネパールから研修生として韓国に来たアガス氏は、ソウルのプラスチック工場で働くようになった。韓国に来る前、「技術も学べ、お金も稼げる」との話を聞いてやってきたが、それは研修生制度の外面にすぎず、現実はそうではなかった。約束の残業手当はなかった。さらにアガス氏は賃金500ドルのうち毎月210ドルが天引きされていた。

当時のアガス氏は、これが勤労基準法で禁止されている強制貯蓄の一種であり、研修生制度を管掌する中小企業協同組合が、ここから毎年数十億ウォンに達する利子収益を上げている事実を知るすべもなかった。ただ彼は、後でお金を返してくれるはずはないとみていたし、技術も学べないので、むしろ逃げ出して自由に働かなくてはと決心し、職場を離れた。これは他の移住労働者が、不法滞在状態となる経路と大きく異ならないだろう。

アガス氏はその後今まで、石工場、養鶏場、建物の外装会社、新聞配達など、選り好みせずに誠実に仕事をした。しかし、「不法滞在者」という不安定な身分のために、アガス氏はいつも犯罪者のように、取り締まりの目を意識せざるをえない。今年も同様であった。

法務部は6月と7月を集中取り締まり期間と定め、1か月間に2千人以上の移住労働者を取り締まり追放した。10月の末に、再び無期限取り締まりに突入した。取り締まりにかかり保護所で追放手続き中の人たちのなかには、ネパール人労働者も多数いた。アガス氏には他人事ではなかった。「移住労働者が来て10年をこえるが、移住労働者の安全と人権は韓国政府の眼中にないようだ」とアガス氏は語る。

一方では、移住労働者を取り締まり追放し、他方では研修生という名のもとに、移住労働者を国内に導入する状況をどのように見るべきなのだろうか。

アンサン外国人労働者センターのパク・チョヌン牧師は、「全体の外国人移住労働者のうち、不法滞在移住労働者が65%、研修生が35%を占めていること自体が、研修生制度の問題点を示している。にもかかわらず、研修制度が維持されているのは、研修生から紹介費、強制積立金などを受け取り利益を得てきた、中小企業協同組合中央会などの既得権団体のせいだ」と語った。

移住女性人権連帯のイ・グミョン氏は、「研修生制度をなくし不法滞在労働者を合法化し、彼らが正当に働ける権利を保障しなければならない」と強調した。

この韓国の地で、労働者として働いて7年をこえるアガス氏は、現在民主労総傘下の平等組合の組合員として活動している。「私たちの人権のためには、私たちが直接立ち上がり闘わなければならない」と彼は信じているからだ。

一方18日、平等労組移住労働者支部、移住女性人権連帯などは、ソウル、インチョン、プサンなどの出入国管理所前で、不法滞在移住労働者の取り締まり・追放の中断と不法滞在者の赦免を求める請願書類を大統領府に提出しようとしたが、車で移動中に警察に制止され、請願さえできなかった。

イ・ヨンジュ移住労働者支部長は、「世界移住労働者の日に、移住労働者の人権保障を求める請願手続きさえできない現実が嘆かわしい」と語った。