第116号 2001年 3月 10日 


韓 国 人 権 ニュース

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(人権消息 第1804号 3/3)

証言のため来たのに監獄へ

国情院、領事館に事前連絡して訪北した在米韓国人を拘束

国家保安法裁判に出廷した証人までも、国家保安法違反で拘束し、「国情院の無理やりな法執行」への疑惑が高まっている。

2月28日、国情院は「利敵表現物」制作・販売などの容疑で起訴した、ソン・ヨンヒョン(42、図書出版サルリムト代表)氏側の証人として出廷するために、韓国に入国したソン・ハクサム(56、民族統一学校校長、在米自主連合副議長)氏を国家保安法上の潜入脱出、会合通信、利敵表現物制作・販売共犯容疑で拘束した。

拘束令状には、ソン・ハクサム氏が反国家団体の構成員であるキム・ミョンチョル氏の指令を受けて、ソン・ヨンヒョン氏と連絡をとり、『キム・ジョンイルの統一戦略』という利敵評現物を制作・販売し、北韓を訪問して指令を受け、国内外を行き来して、数回に渡ってソン氏らと通信を交換したと記載されている。

しかし、ソン・ヨンヒョン氏の家族と人権団体の関係者らは、「国情院の主張は到底納得しがたい」と反発している。民家協のソン・ソヨン幹事は、「国情院が恐ろしげな事件に膨らませているが、事件は簡単だ。南北関係がどれだけ変化しても、このような本が売られるのを妨害するということ、そして、このような種類の本が出版されるのを、根源的に封鎖するというのが国情院の本心だ」と指摘した。

キム・ミョンチョル−ソン・ハクサム−ソン・ヨンヒョンのラインにしても、家族は「とんでもないことだ」という反応だ。本の著者はキム氏であり、版権がソン・ハクサム氏にある以上、本を出版するためにソン・ヨンヒョン氏がソン・ハクサム氏と連絡を取って会うのは当然なのに、商売上のやりとりが指令を伝達する関係に変貌してしまった。

ソン幹事は、ソン・ハクサム氏の訪北を国情院が潜入・脱出と規定していることも「話にならない」と指摘した。「ソン・ハクサム氏は、訪北する前にニューヨーク駐在の韓国総領事と話をし、訪問後も同じ過程をふんだ」というのだ。

問題はキム・ミョンチョル氏が、反国家団体の構成員かどうかという点だ。ソン・ハクサム氏の指令授受とか会合通信容疑も、結局、キム氏が「反国家団体」だという朝鮮総連の構成員だというところから類推されるからだ。キム氏の本が利敵評現物だという根拠も、事実はその内容にあるというより、著者にあるという点を勘案すると、キム氏が朝鮮総連の構成員でないなら、ソン・ヨンヒョン氏とソン・ハクサム氏の容疑は、根本的に崩れ去ることになる。現在、キム氏が朝鮮総連の構成員だという信頼にたる証拠はただの一つもない。

国情院が提示した証拠とは、せいぜい「領事の確認書」だけだ。これに対してソン・ヨンヒョン氏の代理人のキム・スンギョ弁護士は、「キム氏は総連の機関紙を発行する『朝鮮新報社』で働いたことがあるが、85年に退職したことを確認する書類を総連から受け取って裁判部に提出した」と明らかにした。

キム弁護士はまた、「過去に在日同胞が関連した事件で、反国家団体の成員だと証明するために、領事証明が伝家の宝刀ように登場したが、領事証明はたいがい、『日本関係当局の資料によれば』という形式で、証拠能力をもつとはいいがたい」と語った。

このような理由で、キム・ミョンチョル氏が書いた『キム・ジョンイルの統一戦略』が市中で販売されるのを防ごうとして、「国情院がいいかげんに事件を急造した疑惑」が説得力をもつのである。

 

(人権消息 第1805号3/6)

国家保安法撤廃は公共の利益に反する

チュンチョン市、横断幕の掲示を妨害

地方自治体が、施行されている法律に反対するという理由で、「国家保安法撤廃」の横断幕の掲示を妨害するなど、政治的な表現の自由に制動をかける事件が発生した。カンウォン道民衆大会委員会(キム・ジョンユ共同代表)は、昨年12月、チュンチョン市が運営する公共掲示板に、国家保安法撤廃を主張する横幕をつけた。しかし、横幕は当日午後、市庁によって撤去された。

「国家保安法に対する法的・社会的利害関係が衝突している時期に、特定団体の主張を掲示するのは、公共の利益に合致しない」という理由だった。民衆大会委員会の抗議に、市庁都市課の職員は、「カンウォン道の国情院から掲示物を撤去することを要求してきたので、どうしようもなかった」と明らかにした。また、最初に掲示許可申請をしなかったという手続き上の理由もあげた。しかし、まず掲示物をつけて、次に市庁に通報して、掲示許可を受けるのが慣例だった。

今年2月、民主労総のカンウォン本部(キル・ギス本部長)は、「国家保安法撤廃」の横幕を市庁の屋外掲示板に掲げようと申請した。チュンチョン市は昨年の民衆大会委員会の横幕事件と同じ理由をあげて、掲示を不許可にした。市庁の都市課関係者は、「国家保安法が現在施行されている以上、その法律に明確な反対を表明する広告物は、屋外広告物などに関する法律によって許可できない」とし、「国家保安法が改正されない限り、この方針は変わらない」とつけ加えた。

これに対してカンウォン本部のソ・チョルサン政策部長は、「市内のあちこちに『水道料金の引き上げ反対、戸主制撤廃』などの現行法に反対する横幕があるのに、唯一『国家保安法廃止』の横幕だけを掲げてはならないというのは、話にならない」と語気を強めた。カンウォン本部は、チュンチョン市に対して行政訴訟を起こす予定だ。

現行の屋外広告物等管理法第21条は、「この法律を適用するにあたっては、国民の政治活動の自由、その他国民の自由と権利を不当に侵害しないように注意しなければならない」と規定している。